鹿島建設・三菱ケミカル等6社、建設系廃プラの油化ケミカルリサイクル実証が完了
環境省の支援事業のもと、鹿島建設・竹中工務店・三菱ケミカル等6社が建設現場発の廃プラスチックを油化するケミカルリサイクル技術の実証事業を完了させた。CO2排出15%削減、既存の産廃処理と同等コストでの実施可能性が確認された点を、ケミカルリサイクルが実証段階から商業化検討へ進む一例として取り上げる。
30秒でわかる要約
建設系廃プラ、選別困難な混合廃棄物へのケミカルリサイクル適用を実証
事実鹿島建設・竹中工務店・日本通運・リファインバース・あおぞら・三菱ケミカルの6社は、環境省「令和7年度プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業」の実証事業として、建設現場から排出される廃プラスチックを対象にしたケミカルリサイクル(油化)の静脈系サプライチェーン構築と、環境性・経済性評価を実施し、2026年6月2日付で完了を発表した。
事実実証では、東京都内6か所の建設現場から廃プラスチック55トンを回収し、選別・集積後に油化原料へ加工、再生油を製造した。既存のリサイクル可能率は35%だったが、技術対応により最大50%まで拡大できる可能性を確認したという。
事実LCA(ライフサイクルアセスメント)分析の結果、CO2排出量を15%削減できる可能性が示された。また、現状の産業廃棄物処理と同等程度のコストで実施できる可能性も確認されたとしている。
技術的な詳細
事実今回のケミカルリサイクルは、廃プラスチックを熱分解して油化し、再生油として利用する方式である。建設系廃プラスチックは、複数樹脂の混合や汚れ・異物の付着が多く、マテリアルリサイクル(メカニカルリサイクル)では処理が難しいことが多い廃棄物区分とされる。
分析油化方式は、樹脂種の選別精度に左右されにくいという特性上、こうした混合・汚染度の高い建設系廃プラとの相性が比較的よいと考えられる。一方、原文の発表内容には反応温度や触媒の有無など、より詳細な工程条件の開示はなく、技術方式の細部は「未確認」である。
開発段階・実証/導入状況
事実今回の実証事業は令和7年度(2025年度)に採択され、2026年6月2日時点で完了が発表された。発表文では「本実証で得た知見を活かし、プラスチック資源の有効活用に向けた取組みを推進」する予定としており、商業プラントの稼働時期や投資額など、商業化に関する具体的な計画は本記事執筆時点で確認できる公開情報からは「未確認」である。
分析「実証事業の完了」であって「商用化の決定」ではない点に注意が必要である。開発段階としては、実証段階から商業化検討へ移行する節目にあると位置づけられる。
この動きの位置づけと今後の注目点
分析この動きを取り上げた理由は、①ゼネコン(鹿島建設・竹中工務店)が実証に加わっている点で、建設業界からの動脈静脈連携の広がりを示していること、②マテリアルリサイクルが難しい混合・汚染廃プラへのケミカルリサイクル適用可能性を、具体的な回収量・改善率・CO2削減率という定量データ付きで示した点、の2点にある。
分析ケミカルリサイクルという技術分野全体の大きな流れの中では、この事例は「要素技術としての有効性を、特定の廃棄物区分(建設系廃プラ)に絞って実証した」段階に位置づけられる。プラスチック資源循環全体で見ると、容器包装等の廃プラのケミカルリサイクルは既に商業プラントの稼働例があるが、建設系という排出源に特化した実証は相対的に新しい取り組みと考えられる。
分析今後ウォッチすべき点は、①商業化に向けた投資判断(プラント建設等)の発表時期、②実証で確認された「既存処理と同等程度のコスト」がどの前提条件(原油価格・処理量規模等)に基づくものかの詳細開示、③他のゼネコン・建設会社が同様の取り組みに追随するかどうか、の3点である。
実務への示唆
分析建設系廃プラの排出・処理に関わる事業者にとっては、油化ケミカルリサイクルという処理ルートの選択肢が実証段階で具体化しつつある点を押さえておく価値がある。ただし商業化の時期・条件は未定であり、現時点で自社の処理計画に織り込む段階ではない。今後の商業化発表・処理コストの実勢データを継続的にウォッチしたい。
📎 一次情報・出典
環境省「建設系廃プラスチックのケミカルリサイクルに関する実証事業の結果について」 →三菱ケミカルグループ ニュースリリース(2026-06-02) →三菱ケミカルグループ 先行プレスリリース(参考) →
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