背景・概要

事実DIC株式会社と株式会社エフピコは2024年11月6日、DIC四日市工場(三重県四日市市)に竣工した色柄付き発泡ポリスチレントレーの水平リサイクル設備が11月5日に竣工し、11月から本格稼働を開始したと発表した。

事実本設備により年間約1万トンの再生ポリスチレンを供給できる体制を整備した。両社は今回のマテリアルリサイクルと並行して、2026年の設備稼働を目標にケミカルリサイクルの技術開発も進める方針である。

技術的な詳細

事実DICの溶解分離リサイクル技術(Dic法)は、色柄付き発泡ポリスチレントレーを溶解し、着色成分を分離・脱色することで透明PSへ再生する。同社はこれを「業界で初めて」の色柄付き食品トレーの水平リサイクルと位置づけている。

分析従来、食品トレーのマテリアルリサイクルは白色・無地トレーが対象になりやすく、色柄付き(印刷・着色)トレーは選別や脱色の難しさから水平リサイクル(同用途への再生)が進みにくい領域だった。溶解・分離工程で着色成分を除去できるかどうかが再生樹脂の食品トレー適性を左右するため、脱色後の樹脂純度や異物混入率、食品衛生基準への適合性が技術的な焦点になる。具体的な脱色後純度や不純物混入率の数値は公表資料からは未確認である。

開発段階・実証/導入状況

事実専用設備が竣工し、11月より本格稼働を開始。年間約1万トンの供給体制を整備した。

分析単発の実証ではなく専用設備による本格稼働と年間供給量の公表があるため「普及開始過程」と判定した。ただし現時点では単一拠点(四日市工場)での稼働であり、他拠点への展開は確認できない。

この動きの位置づけと今後の注目点

分析このニュースが重要なのは、これまで水平リサイクルが難しかった「色柄付き」トレーという領域に、専用設備・年間1万トン規模という商業スケールで踏み込んだ点である。食品トレー分野のマテリアルリサイクルが対象範囲を広げる転換点になり得る。

分析押出加工という技術の大きな流れの中では、溶解・分離という前処理技術の高度化によって、従来は再生困難だった発泡PS廃棄物のリサイクル原料化率を引き上げる動きの一つに位置づけられる。マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを並行整備する両社の方針は、単一技術への依存を避けるポートフォリオ戦略とも読める。

分析今後は、脱色後の再生樹脂の食品衛生適合性(食品接触材料としての認証状況)、年間1万トンに対する実際の稼働率、対象トレーの回収スキーム(店頭回収・自治体回収等)の拡大状況、2026年目標とされるケミカルリサイクル設備の進捗を注視すべきである。

実務への示唆

分析商社にとっては、色柄付き発泡PSという従来は選別除外されがちだった品目が新たな買取・供給対象になり得る事例である。排出事業者・回収現場に対しては、色柄付きトレーを従来通り選別除外するのではなく、専用リサイクルルートの有無を確認したうえで分別方法を見直す提案ができる。