NEDO「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」、押出機の異物除去機構を改良
NEDOが2025年10月28日に公開した5年間・42億円の国家プロジェクト「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」の終了時評価資料から、材料再生プロセス開発(実施:福岡大学、プラスチック工学研究所ほか)における「樹脂溜まり」押出機の異物除去機構改良の取り組みを整理する。実廃プラスチックへの適用可能性と経済性が検討の焦点である。
- 何が起きたか
- NEDOは2020~2024年度に実施した委託事業「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」(総事業費42億円)の終了時評価資料を2025年10月28日に公開した。材料再生プロセス開発(福岡大学、プラスチック工学研究所ほかが参画)の一環として、2022年度に「樹脂溜まり付き押出機に適用可能な異物除去機構改造と検証データ蓄積」に開発促進財源が投入されたことが記載されている。
- 技術的なポイント
- 目的は実廃プラスチックへの適用可能性とプロセスの経済性検討による新規押出機の研究開発の加速。異物除去機構の具体的な方式や除去性能の数値は、確認できた資料の範囲では明示されていない。
- 開発段階
- 実証実験中(材料再生プロセス開発全体は実証試験機での検証を経て達成と評価されたが、量産・外販の記載はまだ確認できない)
- 情報源種別
- 1次情報
背景・概要
事実NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2025年10月28日、2020年度から2024年度の5年間実施した委託事業「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」(総事業費42億円、実績)の終了時評価資料(公開版)を公表した。
事実本事業は「高度選別システム開発」「材料再生プロセス開発」「石油化学原料化プロセス開発」「高効率エネルギー回収・利用システム開発」の4つの研究開発項目からなる。このうち材料再生プロセス開発は、福岡大学(プロジェクトリーダー:早稲田大学 松方正彦教授のもとで研究開発項目責任者は福岡大学 八尾滋教授)を中心に、産業技術総合研究所、プラスチック工学研究所(PLABOR)、いその、富山環境整備、花王、TOPPAN、三菱電機、DIC、旭化成、三光合成が委託先として参画した。
技術的な詳細
事実資料中の「進捗管理:開発促進財源投入実績」(2022年度)によれば、材料再生プロセス開発向けに6,500万円が追加投入され、その使途の一つが「樹脂溜まり付き押出機に適用可能な異物除去機構改造と検証データ蓄積」であり、目的は「実廃プラへの適用可能性およびプロセスの経済性検討による新規押出機の研究開発の加速」と記載されている。
事実「樹脂溜まり」とは、通常の押出機先端にせん断のかからない滞留部を設け、リサイクルプラスチックの内部構造(タイ分子)をバージン材並みに再生する基盤技術であり、福岡大学とプラスチック工学研究所(PLABOR)が中心となって開発したものである(同技術の詳細は本欄で別途紹介している)。
分析実際の廃プラスチックは異物混入が避けられず、せん断のかからない滞留構造の中に異物が蓄積すると、押出機の連続運転性や成形品質を損なうおそれがある。2022年度の開発項目は、この基盤技術を小規模の物性再生実証から「実廃プラスチックを想定した実用化検討」へと一歩進めるための投資と位置づけられる。ただし、異物除去機構の具体的な方式(スクリーンメッシュ式か、別の分離機構か等)や除去性能の数値については、確認できた公開資料の範囲では明示されておらず、詳細は一次情報(NEDO資料原本)を参照されたい。
開発段階・実証/導入状況
事実終了時評価では、材料再生プロセス開発の最終目標(廃プラスチックを新品比90%以上の材料強度に再生する)に対する達成度は「○(達成)」とされ、達成の根拠として「実証試験機での検証を通じ、スケールアップが可能であることも実証」と記載されている。
事実一方、課題として「普及のためには単軸でのプロセス開発研究が必要」とも記載されており、量産機での外販や商用ラインへの実装は今後の課題として位置づけられている。
分析異物除去機構改良という個別項目そのものの達成状況は、確認できた終了時評価資料には項目別の数値として明示されておらず、材料再生プロセス開発全体の達成度(○)に包含される形になっている。本稿では、実証試験機段階での検証にとどまり量産適用が確認できない点を踏まえ「実証実験中」と判定した。異物除去に特化した性能データが必要な場合は、NEDO資料原本の該当箇所を確認されたい。
この動きの位置づけと今後の注目点
分析国のプラスチック資源循環戦略のもとで、5年間・42億円という規模の予算を投じて材料再生技術を開発してきたこと自体が、押出加工によるマテリアルリサイクルの技術的難度の高さを裏付けている。
分析とりわけ異物除去は、「樹脂溜まり」のような静置型構造を持つ押出機が、実際には混合・汚染された廃プラスチックを扱わざるを得ない現場で避けて通れない課題であり、今回確認できた投資は基礎技術を実用に近づけるための一段階と位置づけられる。
分析今後は、本事業の成果を引き継ぐ後継のNEDO先導研究プログラム(例:「プラスチック資源の高度ケミカルリサイクル技術開発」)や材料再生プロセス開発の企業実用化事例における、異物除去機構を含む技術の実装状況、単軸押出機への展開状況を注視したい。
実務への示唆
分析商社にとっては、国のプロジェクトが公金を投じて取り組むほど、異物混入耐性は押出加工型マテリアルリサイクルの実用化におけるボトルネックになっているという事実そのものが重要な示唆である。原料の異物混入率や前処理(選別)の精度が、採用可能な押出技術の選択肢を左右する変数であることを踏まえ、サプライヤー選定や原料規格の設計に活かしたい。
📎 一次情報・出典
NEDO「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発(終了時評価)プロジェクトの説明(公開版)」(2025-10-28) →押出・造粒設備の選定でお悩みですか?
原料特性・生成物規格まで含めた押出加工方式の比較をご支援します。
無料相談・資料請求はこちら →
