背景・概要

事実日本製鋼所(JSW)と日本製紙は2021年2月10日、木質バイオマスを高配合した新しい樹脂複合材料「トレファイドバイオコンポジット」を共同開発したと発表した。

事実本材料はTOKYO PACK 2021(2021年2月24日~26日、東京ビッグサイト)において、セルロースバイオコンポジットのサンプルとともに展示された。

技術的な詳細

事実中核技術である「トレファクション」は、木質バイオマスを250~300℃で処理する低温炭化技術であり、①樹脂の融点以上の温度に耐えられるようにする耐熱性の向上、②混練・成形時の熱分解ガスの抑制、③粉砕性の向上(微粉化しやすくなる)、④疎水性付与による樹脂中での分散性向上、という効果をもたらすとされる。

事実このトレファクション処理を施した木質バイオマスを、JSWの二軸混練押出機(TEXシリーズ)の混練技術によって樹脂に高配合することで、プラスチック使用量を5割以上削減する新複合材料を実現したとされる。従来の木質・樹脂複合材料が抱えていた耐熱性・成形性の課題を解決するとしている。

分析バイオマス配合はリサイクル・脱プラスチックの新素材トレンドとしてしばしば材料面から語られるが、本件はその実現が実は二軸押出機の混練技術(高配合を可能にする分散性の確保)に支えられていることを示す事例である。日本製紙(製紙・バイオマス素材)と日本製鋼所(樹脂機械)という異業種連携によるコンパウンド技術の広がりという点でも注目される。

開発段階・実証/導入状況

事実公表資料の時制は「開発した」という発表段階であり、量産化や販売開始に関する記載は確認できない。

分析「開発した」という発表段階であり、量産販売の記載が確認できないことから「実証実験中」と判定した。今後、量産適用や外販開始の発表があるかを注視する必要がある。

この動きの位置づけと今後の注目点

分析プラスチック使用量の削減とバイオマス活用という2つの環境対応ニーズを同時に満たす複合材料として、脱プラスチック・カーボンニュートラルの潮流に沿った開発である。

分析押出加工技術の大きな流れの中では、二軸混練押出機がリサイクル材のみならずバイオマス系の新素材開発でも中核的な役割を担っている点が示されており、押出機メーカーにとって材料開発パートナーとの協業機会が広がっていることを示唆する。

分析今後は、トレファイドバイオコンポジットの量産化・販売開始の発表、具体的な配合率や物性データの開示、対応樹脂種の拡大を注視したい。

実務への示唆

分析商社にとっては、バイオマス配合材料が二軸押出機の混練技術によって支えられているという構造を理解しておくことは、今後バイオマス系新素材を扱う際の技術評価軸(配合率・分散性・成形性)を検討する上で参考になる。