協栄産業「MR-PET®」――ボトルtoボトルの不純物除去技術と実用化の歩み
協栄産業が独自開発した高度洗浄技術「MR-PET®」は、真空・高温下で樹脂内部に浸透した不純物まで徹底的に除去する技術で、サントリーとの協働により2011年に日本で初めて実用化されました。ボトルtoボトルの品質を支える不純物除去技術の中身と、実用化から現在までの歩みを整理します。
- 何が起きたか
- PETボトルリサイクルの協栄産業が独自開発した高度洗浄技術「MR-PET®」は、表面の汚れだけでなく、真空・高温条件下で樹脂内部に浸透した不純物までを徹底除去する技術。サントリーとの協働で2010年から実用化に向けた実証実験を開始し、2011年に日本で初めて実用化。同年発売のサントリー烏龍茶で再生PET50%使用製品、2012年には100%使用製品が発売された。
- 技術的なポイント
- 真空・高温下での不純物除去プロセスにより、物性劣化を防ぎながらIV値(極限粘度、樹脂の分子量の指標)を0.80まで回復させ、バージンPETと同じ用途で繰り返し使用可能な品質を実現している。
- 開発段階
- 多数導入済み(2011年の実用化から10年以上の実績)
- 情報源種別
- 1次情報
- 一次情報
- 協栄産業 事業紹介「ボトルtoボトル」 →環境省資料「“ボトルtoボトル水平リサイクル”の取り組みについて」協栄産業株式会社(2023-08-31) →サントリー「ボトルtoボトル水平リサイクルの推進」 →
- 参考記事
- 該当なし
背景・概要
事実使用済みPETボトルを再びPETボトルとして再生する「ボトルtoボトル」水平リサイクルでは、食品衛生上の安全性を確保できる高純度の再生PETが求められる。協栄産業は、PETボトルリサイクルを専業とする企業として独自の高度洗浄技術「MR-PET®」を開発し、真空・高温条件下で樹脂内部に浸透した不純物までを除去する手法を確立した。
事実サントリーとの協働により、2010年に飲料業界での実装化に向けた実証実験を開始。2011年、サントリー烏龍茶で再生PETを50%使用した製品が日本で初めて発売され、2012年には100%再生PET使用製品が発売された。
技術的な詳細
事実MR-PET®は、表面の汚れだけでなく真空・高温下で樹脂の内部にまで浸透した不純物を徹底的に除去するプロセスで、物性劣化を防ぎながらIV値(極限粘度)を0.80まで回復させることができるとされる。IV値は樹脂の分子量・強度に関わる指標で、バージンPET相当の水準まで回復させることで、同じ用途(飲料ボトル)での繰り返し利用を可能にしている。
分析一般的な洗浄工程は表面の汚れ除去にとどまることが多いが、本技術は「樹脂内部に染み込んだ不純物」まで対象にしている点が特徴といえる。詳細な薬剤処方や真空・温度条件の具体的な数値は公開資料からは確認できないが、単純な水洗浄や薬剤洗浄とは異なる、より踏み込んだ精製プロセスと考えられる。
開発段階・実証/導入状況
事実2006年に技術を確立し、2010年の実証実験開始から2011年の実用化まで進んだ後、2012年には100%再生PET使用製品の発売に至っている。以降10年以上にわたり、ボトルtoボトルの主力技術として稼働を続けている。2018年11月には清涼飲料業界が「プラスチック資源循環宣言」を発表し、2030年度までにボトルtoボトル比率50%達成を業界目標に掲げている。
分析実用化から10年以上が経過し、複数のメーカー・製品で継続的に使用されていることから、開発段階は「多数導入済み」と判定する。ボトルtoボトルの業界目標達成に向け、同様の高度洗浄技術の重要性は今後さらに高まると考えられる。
この動きの位置づけと今後の注目点
分析この技術が重要な理由は、ボトルtoボトルという「同一用途への水平リサイクル」を、単なる理念ではなく実際の量産技術として10年以上前に確立していた点にある。食品接触用途に求められる高純度化を、洗浄技術のみで達成した先行事例として、業界の技術水準の基準点になっている。
分析技術の大きな流れの中では、ボトルtoボトルの再生プロセスにおける「メカニカルリサイクルでの高純度化技術」の代表例として位置づけられる。近年はケミカルリサイクル(解重合等)による高純度化も注目されているが、本技術はメカニカルリサイクルの延長線上で高純度化を実現している点が対照的である。
分析今後の注目点としては、①2030年度ボトルtoボトル比率50%目標に対する業界全体の進捗、②MR-PET®技術の他社への展開・ライセンス状況、③ケミカルリサイクル由来の再生PETとのコスト・品質面での競合関係、の3点が挙げられる。
実務への示唆
分析PETボトルリサイクル事業を検討する事業者にとって、本事例は「表面洗浄」と「内部不純物の除去」を区別して考える必要性を示している。用途(飲料用途か工業用途か)によって求められる純度水準が異なるため、洗浄設備の選定時には対象とする再生材の最終用途を明確にした上で、必要な洗浄プロセスの深さを検討することが重要である。
📎 一次情報・出典
協栄産業 事業紹介「ボトルtoボトル」 →環境省資料「“ボトルtoボトル水平リサイクル”の取り組みについて」(2023-08-31) →サントリー「ボトルtoボトル水平リサイクルの推進」 →
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