本レポートは、バージン樹脂(プライム)・再生ペレット・スクラップの各市況を、2026年7月10日時点の状況としてまとめたものです。バージン樹脂価格は中国の主要ポリマー市場を情報源とし、付加価値税(VAT)込みの人民元建てで、為替レート 1米ドル=6.7769人民元を基準としています。
主要グレード価格推移(週次)
| 項目 | 2026/7/10 | 2026/7/9 | 2026/7/3 | 2026/6/26 | 2026/5/19 |
|---|---|---|---|---|---|
| WTI(原油・終値) | 72.08 | 73.52 | 68.69 | 71.92 | 104.38 |
| Brent(原油・終値) | 76.3 | 78.02 | 71.8 | 75.26 | 112.1 |
| ABS | 9,600 | 9,700 | 8,950 | 8,900 | 10,900 |
| PS | 8,000 | 8,000 | 7,720 | 7,850 | 9,350 |
| PE | 8,350 | 8,250 | 7,700 | 7,700 | 8,850 |
| PP | 8,850 | 8,850 | 8,200 | 8,000 | 9,750 |
| PMMA | 13,250 | 13,250 | 13,650 | 13,900 | 15,750 |
| PC | 11,050 | 10,300 | 10,200 | 10,550 | 13,400 |
| PA66 | 17,250 | 17,250 | 17,250 | 17,750 | 22,000 |
| PA6 | 12,000 | 12,000 | 11,600 | 11,600 | 12,600 |
| POM | 8,000 | 8,000 | 7,700 | 7,800 | 10,200 |
| PET(ボトルグレード) | 7,450 | 7,450 | 7,200 | 7,300 | 9,100 |
| PVC | 4,590 | 4,570 | 4,510 | 4,450 | 4,940 |
※ 原油(WTI・Brent)は米ドル/バレル(終値)、樹脂各グレードは人民元/トン。
原油市場
原油価格は当週、緩やかに回復しました。WTIは7月10日のアジア市場で1バレルあたり72.08米ドルで引けた後、ニューヨーク市場の取引終了後には71.41米ドルへとやや下げました。ブレントも同様の値動きをたどりました。市場は地政学的な動向に敏感でありながらも、政治・軍事的な紛争だけを理由に大きなリスクプレミアムを織り込むことには、ますます慎重になっています。イランをめぐる緊張やロシア・ウクライナ戦争が続いているにもかかわらず、トレーダーは地政学的なニュースそのものに反応するのではなく、これらの事象が実際の原油供給の重大な途絶につながるかどうかを主に注視しました。
特に注目されるのは、世界の石油市場がもはや過去と同じようには動いていないことです。従来であれば、中東と東欧で同時に紛争が起きれば、市場は供給不足を見越して原油価格が急騰していたはずです。しかし今回は、価格が比較的落ち着いた水準にとどまっています。世界の海上輸送原油のおよそ5分の1が通過するホルムズ海峡をめぐる懸念でさえ、同地域からの輸出がおおむね途切れなく続いたため、持続的な上昇にはつながりませんでした。同様に、ロシアのエネルギーインフラへの攻撃が製油・生産設備を断続的に混乱させたものの、OPECプラスや米国をはじめとする生産国の増産がこれらの混乱をほぼ相殺し、世界の供給は底堅さを保ちました。
その理由は、短期的な地政学にとどまりません。世界のエネルギー市場は構造的な転換期にあります。石油はもはや希少な商品ではなく豊富に供給される商品と見なされ、生産量は地質ではなく経済性によってますます左右されるようになっています。OPECプラスは市場シェアの維持と収入の確保のために段階的な増産を続け、米国は主要な石油輸出国としての地位を確固たるものにしました。同時に、アルゼンチンをはじめとする新興生産国も生産能力の拡大を続けており、世界の供給が十分に保たれるという確信を強めています。その結果、市場の関心は地政学的な事象から離れ、在庫、生産水準、世界需要といった伝統的なファンダメンタルズへと回帰しています。
中国バージン樹脂市場レポート
概況
中国のバージン樹脂市場は当週、まちまちながら総じて弱い展開となりました。原油の緩やかな回復は石油化学製品価格への持続的な下支えとはならず、中東の供給懸念による先の急騰はおおむね帳消しとなった一方、伝統的な夏の閑散期にあって下流需要は抑制されたままです。一部の樹脂は直近の急落を受けて短期間の反発を見せたものの、買い手は引き続き当面の生産に必要な分のみを購入し、高水準の在庫、設備の稼働再開、国内の新増設が本格的な回復の可能性を制約しました。
中国の弱さは、より広範な世界的傾向の一部となりつつあります。欧州では、ポリマー生産者が消費の停滞、過剰能力、高い生産コスト、そして特にアジアからの低価格輸入品との激しい競争に直面し続けています。米国では、豊富な国内原料が特にポリエチレンにおいて生産者にコスト優位をもたらしていますが、PE・PP・PSの供給過剰により交渉力は買い手側に移り、第3四半期入りにかけて価格は総じて横ばいから弱含みで推移しています。中国、韓国、東南アジア、中東を含むアジアの主要供給地域では、域内需要が利用可能な生産能力を吸収するには不十分なため、生産者が輸出先をめぐって激しく競争しています。
このため中国は、世界のポリマー価格の形成においてますます影響力を強めています。拡大する生産基盤と、PP・PVC・PETなどコモディティ樹脂の輸出増加が、欧州をはじめとする成熟市場の高コスト生産者に圧力をかけています。中国のPP輸出は、生産者が余剰生産分の海外販路を求めた結果、2026年以前からすでに急増しており、中国およびアジアの供給者による旺盛なPVC輸出も国際市場の重しとなり続けています。原料コストの低下、潤沢な在庫、そして下流需要の大幅な改善なしに生産者の値上げが維持できるという証拠の乏しさから、市場は引き続き買い手優位となっています。
ABS
ABS価格は当週わずかに軟化し、相場表の指標価格は7月9日の約9,700元/トンから7月10日には9,600元/トンへ低下しました。ただし現在の水準は、6月下旬から7月初旬に記録した8,900〜8,950元/トンのレンジをなお上回っており、ABSが先の下落分の一部を取り戻したことを示しています。この反発は、地政学的懸念の再燃とスチレン市況の一時的な改善に支えられたものですが、家電、電気製品、一般射出成形向けの需要は限定的なままでした。5月の10,900元/トンと比べると、ABSはなお約1,300元/トン、率にして12%近く低い水準にあり、弱い消費と潤沢な国内供給による構造的な圧力が続いていることを示しています。
見通し:中国市場の直近の報告では、地政学リスクの再燃により6月の下落が一時的に反転し始めたことが示されていますが、この回復が持続するかどうかは依然として不透明です。
PS
PS価格は約8,000元/トンで前日から変わらず安定していましたが、5月に記録した9,350元/トンをなお大きく下回っています。累計でおよそ1,350元/トンの下落は、中東の供給懸念の後退を受けたスチレンおよびベンゼン価格の急激な調整を反映したものです。一部の生産者は稼働率の抑制を続けましたが、包装、家電、消費財からの下流需要が弱いままであったため、その下支え効果は限定的でした。GPPSとHIPSの取引はおおむね交渉ベースで成立し、買い手は低在庫を維持して当面の受注分のみを購入しました。
見通し:スチレンコストがより明確に回復するか、下流の購買が改善しない限り、PSはレンジ内から弱含みの推移が続く見通しです。
PE(ポリエチレン)
PE価格は約8,350元/トンへ小幅に上昇しました。前日比100元/トン高、7月初旬の水準からは650元/トン高です。この改善は、原油の持ち直し、社会在庫の減少、そして先の急落後における下流加工業者の一部補充買いが重なったことを反映しています。しかし、農業用フィルムや包装をはじめとする季節需要は低調なままで、反発の幅は限られました。5月と比べると、PEはなお約500元/トン低い水準にあります。
見通し:供給圧力も引き続き重要な懸念材料です。中国では2026年中に約729万トンの大規模なポリエチレン新増設が予定されており、名目生産能力はおよそ18.5%拡大する見込みです。
PP(ポリプロピレン)
PP価格は約8,850元/トンで変わらずでした。6月下旬の8,000元/トン、7月初旬の8,200元/トンから大きく回復した後の水準です。この回復は、原油高とプロピレン市況の改善に加え、先の急落後の一部補充買いに支えられました。それでも指標価格は5月の9,750元/トンを900元/トン下回ったままです。ラフィア、織布バッグ、BOPPフィルム、射出成形向けの需要は期待を下回り、新増設と設備の稼働再開が引き続き上値を抑えました。
見通し:中国のPP供給は2026年中にさらに増加する見込みで、約545万トンの新増設が計画されている一方、国内消費の弱さから生産者は輸出市場での競争を一段と強めています。
PMMA
PMMA価格は約13,250元/トンで前日から変わらず安定していましたが、5月に記録した15,750元/トンを大きく下回っています。2,500元/トン、率にして16%近い下落は、看板、光学シート、電子機器、射出成形向けの弱い需要と、MMA原料コストの軟化を反映したものです。トレーダーは出回り量を絞ることで提示価格の維持を試みましたが、実際の取引は交渉次第で、総じて小口にとどまりました。
見通し:供給が十分にあり、下流の買い手が値上げへの抵抗を続けていることから、PMMAは当面、弱含みから横ばいの推移が続く見通しです。
PC(ポリカーボネート)
PC価格は週間で最も力強い回復を記録し、約10,300元/トンから11,050元/トンへ上昇しました。750元/トンの上昇は、国内生産者が工場出荷価格を繰り返し引き下げた6月から7月初旬にかけての深刻な下落を部分的に巻き戻したものです。この改善は、ビスフェノールA市況の持ち直し、これ以上の損失を受け入れることへの売り手の抵抗感の強まり、そして極めて低い水準まで下げた後の一部補充買いに支えられました。それでもPCは5月の13,400元/トンをなお約2,350元/トン、率にして17%超下回っています。供給は潤沢で、国内生産能力は需要を上回り続けており、電子機器、家電、自動車向けの購買も選別的なままです。
見通し:したがって直近の反発は、持続的な回復の証拠ではなく、売られ過ぎ水準からの修正と見るべきです。
PA66
PA66価格は約17,250元/トンで変わらずでしたが、同市場はエンジニアリングプラスチックの中でも最も急激な下落の一つに見舞われています。5月の22,000元/トンと比べると4,750元/トン、率にして21%超の下落です。自動車・産業向け需要の弱さ、アジピン酸コストの低下、高水準の在庫が引き続き市場を圧迫しました。急落を受けて一部のトレーダーはさらなる値引きに消極的になったものの、買い手は慎重姿勢を崩さず、総じて確定した所要分のみを購入しました。
見通し:PA66は当面、現行水準近辺で一時的に安定すると見込まれますが、本格的な回復は自動車部品、電気用途、産業製造からの需要改善次第となります。
PA6
PA6価格は約12,000元/トンで前日から変わらず安定しており、7月初旬の水準を400元/トン上回っています。PA6はPA66よりも底堅さを示しており、カプロラクタムおよびベンゼンコストの一定の安定化と、チップメーカーによるマージン確保の努力に支えられました。ただし、通常紡糸・高速紡糸向けの需要は弱いままで、繊維メーカーは新規の手当てよりも既存在庫の消化を続けました。5月と比べると、PA6は約600元/トン低い水準です。
見通し:カプロラクタム価格が大きく動くか、下流の繊維受注が改善しない限り、市場は比較的狭いレンジ内での変動が続く可能性があります。
POM(ポリオキシメチレン)
POM価格は約8,000元/トンで前日から変わらず安定していましたが、5月の10,200元/トンをなお2,200元/トン下回っています。21%を超える下落は、潤沢な供給、ホルムアルデヒドのコスト下支えの弱さ、そして自動車部品、電気部品、一般エンジニアリング用途からの低調な需要を反映したものです。トレーダーは大口向けの値引きを続けた一方、買い手は価格に極めて敏感なままでした。
見通し:現在の需給の不均衡にはまだ意味のある改善が見られないことから、POMは当面、低水準にとどまる可能性があります。
PET(ボトルグレード)
PETボトルグレード樹脂は、7月初旬の7,200元/トンから回復した後、約7,450元/トンで安定しました。小幅な改善は原油、PTA、MEG価格の持ち直しに支えられましたが、飲料包装および輸出市場からの需要は慎重なままでした。5月の9,100元/トンと比べると、PETはなお1,650元/トン、率にしておよそ18%低い水準です。稼働を再開した生産設備と新増設が出回り量を増やし続ける一方、買い手はジャスト・イン・タイムの購買を維持しました。
見通し:運賃の変動と、地域交易ルートの段階的な再開に伴う中東供給の復帰により、輸出環境は引き続き厳しい状況が続くとみられます。
PVC
PVC価格は約4,590元/トンへ小幅に上昇しました。前日比20元/トン高、6月下旬からは140元/トン高です。しかしPVCは歴史的な取引レンジの下限近くにとどまっており、5月の水準をなお350元/トン下回っています。定期修理の減少により国内供給は高水準を維持した一方、建設、パイプ、異形材、床材からの需要は弱いままでした。輸出需要も、中東およびアジアの石油化学製品フローの正常化に伴い競争激化に直面しました。インドの関税政策の一時延長は新規取引の支援にはほとんどならず、市場関係者は、主にすでに輸送中の貨物に恩恵が及んだだけで、新規成約を促すものではなかったと指摘しています。
見通し:PVCは弱含みながらもレンジ内の推移が続く見通しで、生産損失や稼働率引き下げの可能性が、さらなる大幅下落への一定の歯止めになるとみられます。
まとめ
総じて、市場は6月下旬に記録した極端な弱さから、特にPC、PE、PP、ABSで部分的な反発を示しました。しかし大半のポリマーは5月の水準を依然として大きく下回っており、直近の改善が下流需要の真の回復ではなく、原料価格の持ち直し、ショートカバー、限定的な補充買いによってもたらされたものであることを裏付けています。中国は大規模な石油化学能力の増強を続けており、中東供給の復帰はアジア全域での競争を激化させる可能性が高い状況です。したがって短期的には、市場はまちまちで不安定な展開が続く可能性がありますが、供給過剰、弱い消費、積極的な輸出競争というより大きな圧力に本質的な変化はありません。
再生ペレット・プラスチックスクラップ市場
世界の再生プラスチック市場は当週も、製造業の低調な活動、バージン樹脂の安値、下流の慎重な購買が需要を制約し続けたことで、大きな圧力にさらされたままでした。サステナビリティへのコミットメントや再生材含有率に関する法規制は長期的な支えとなるものの、買い手は価格に極めて敏感で、確定した生産所要分に対してのみ購入しています。過去2カ月間のバージン樹脂価格の大幅な下落により、特にコモディティプラスチックにおいて、再生ペレットの競争力が再び低下しました。
中国の再生プラスチック市場は極めて選別的なままで、需要は高品質で認証を取得した材料に集中しました。国際的なブランドオーナーに供給するマレーシアのWEEE(廃電気電子機器)プラスチックリサイクル業者からの市場情報によると、再生PPリグラインドの流動性は7月初め以降弱まっており、ABSおよびHIPSの再生ペレットは出荷のたびに契約価格の引き下げに直面し続けています。RoHSおよびREACHに適合し衝撃強度12超のABSは現在、工場渡しでおよそ5,700元/トン、適合品で衝撃強度8超のHIPSはおよそ6,000元/トンで提示されています。ただし、これらの価格は厳格な環境コンプライアンスと機械的性能の要件を満たす材料に限って実現可能なものです。REACHやRoHSに適合しない、あるいは衝撃特性が安定しない再生ペレットは、価格を問わず販売がますます難しくなっています。
アジア全域で市場環境は厳しいままでした。日本と韓国の買い手は、完全な技術文書に裏付けられたプレミアム品質の再生材への注力を続けた一方、東南アジアのリサイクル業者は輸出需要の弱さと操業コストの上昇に直面しました。ベトナムでは、ポリエステル繊維メーカーや米国向け輸出のボトルtoボトル用途からPETボトルフレークへの引き合いが続いたものの、買い手の希望価格は日本やバングラデシュをはじめとする輸出国からのオファーに届きませんでした。運賃、トラック輸送、通関、輸入関連費用は、輸入材にとって依然として大きなコスト面の不利要因です。市場関係者はまた、国内のPETボトル回収が極めて限られており、年間回収量は同国のポリエステル繊維産業のわずか数日分の生産を賄う程度と推定されると指摘しました。同様の状況はポストコンシューマー(使用済み)LDPEフィルムにも存在し、多くの加工業者が輸入原料への依存を続ける一方、国内供給の不足から、一部の輸入材が国内回収品として販売されているとも報告されています。
欧州と米国では、再生材含有率を求める法規制の支援が強まっているにもかかわらず、再生プラスチック市場は低価格のバージン樹脂からの圧力に直面し続けました。欧州のリサイクル業者は需要の弱さ、高い操業コスト、輸入競争の激化という課題を抱えたままである一方、米国のボトルtoボトル需要は州レベルの再生材含有率要件の恩恵を受け続けています。それでも買い手は慎重で、購買の意思決定は、サステナビリティへのコミットメントだけでなく、品質の安定性、法規制への適合、総生産コストにますます基づくようになっています。
総じて、再生プラスチック市場はプラスチック業界で最も厳しいセクターの一つであり続けています。食品グレードのrPETや国際規格を満たすエンジニアリングプラスチックをはじめ、高品質で完全に適合した再生材への需要は続いています。しかしコモディティ再生樹脂については、バージン価格の下落、高い物流コスト、ますます厳格化する品質要件が、リサイクルのバリューチェーン全体でマージンを圧迫し続けています。製造業の需要が改善するか、バージン樹脂価格が明確に上昇するまで、リサイクル業者は低い稼働率を維持し、原料を慎重に購入し、コモディティグレードの再生ペレットよりも高付加価値で仕様主導の製品への注力を強めると見込まれます。
プラスチックスクラップの供給動向
世界のプラスチックスクラップ供給は当週も総じて十分でしたが、バージン樹脂の安値がリサイクル業者の新規原料購入意欲を削いだため、取引は弱まり続けました。相場表が示すとおり、主要なバージンポリマーのいくつかは、先の中東紛争前の水準近辺、あるいはそれを下回る水準まですでに戻っています。地政学的懸念による石油化学製品価格の一時的な上昇は、リサイクル市場への持続的な支えにはほとんどなりませんでした。特に中国をはじめとする低コストのアジア供給地域で世界の生産能力が拡大を続けるなか、リサイクル業者は、自分たちが競っている相手がもはや希少な原材料ではなく、極めて効率的で構造的に供給過剰なバージンポリマー産業であることをますます認識しています。
中国では、廃棄物輸入規制により輸入プラスチック廃棄物は事実上閉ざされたままであり、中国の買い手の需要は国内で発生するスクラップ、適格な再生フレーク、リグラインド、完成ペレットに集中しています。しかし、ABS、PS、PE、PP、エンジニアリングプラスチックの価格低迷により、中国のリサイクル業者が原料に支払える価値は低下しました。品質と回収歩留まりが予測可能であれば、清浄な単一ポリマーの工業系スクラップはなお動きますが、混合、塗装、ラミネート、汚染のある材料はますます強い抵抗に直面しています。特に完成した再生ペレットの販売が難しい場合や、安価なバージン樹脂と競争しなければならない場合、買い手は総じて投機的なポジションを取ろうとしません。
日本と韓国は比較的清浄なポストインダストリアル(工場系)・ポストコンシューマー(使用済み)のプラスチックスクラップを発生させ続けていますが、海外の販路はより限られ、価格に敏感になっています。日本は歴史的にマレーシア、ベトナム、台湾などの市場へ相当量のプラスチックスクラップを出荷してきましたが、現在の東南アジアの需要は以前よりはるかに弱い状況です。日本のサプライヤーは総じて高い品質と選別基準を維持していますが、その提示価格は、運賃、内陸輸送、輸入諸掛かりを含めると、東南アジアのリサイクル業者が支払える水準を上回ることが少なくありません。韓国も同様の状況に直面しており、清浄な工程内スクラップや一部のエンジニアリングプラスチックは販売可能なままですが、通常のコモディティグレードは、より安価な域内材料や完成再生ペレットと競争しなければなりません。
オーストラリアとニュージーランドも引き続き限られた輸出販路に直面しています。オーストラリアは、規制対象の廃プラスチック輸出について、許可の取得、単一ポリマーへの選別、洗浄、再製造に即した形態への加工を義務付けています。これらの規則は輸出可能な材料の品質を向上させた一方、準備・コンプライアンスのコストも増加させました。同時に、オーストラリア国内のプラスチックリサイクル率は低いままで、安価な輸入バージン品・再生品が現地のリサイクル業者に圧力をかけています。その結果、良質な加工済み材料は入手可能なままですが、輸出業者は回収、選別、ベール化(梱包)、再加工のコストをカバーできる価格の確保にしばしば苦労しています。
東南アジア全域では、大半のリサイクル業者が、現在のバージン樹脂価格では輸入スクラップを購入する余地がほとんど残らないと訴えました。マレーシアはWEEEプラスチック、工業系スクラップ、一部のPE・PP材料にとって引き続き重要な市場ですが、買い手は極めて選別的になっています。ブランドオーナーに供給するリサイクル業者は、RoHS、REACH、衝撃強度、トレーサビリティの要件を満たせる材料であればなお購入する可能性がありますが、組成が不確かで機械的特性の劣る通常のスクラップは、ますます販売先を見つけにくくなっています。ラオスの着地コストはベトナムとおおむね同水準であり、人件費や操業コストの低さが、運賃、国境通関、輸入費用を必ずしも補えないことを意味します。
筆者が最近ベトナムを訪問した際、顧客が確定的なオファーを出す意欲は非常に限られていました。多くは材料への関心を示しながらも、バージン・再生樹脂の価値がさらに下がると予想し、価格の確約を避けました。輸入業者は購入価格だけでなく、海上運賃、トラック輸送、通関、検査などの輸入関連コストも考慮しなければなりません。これらの費用のため、輸入したグレードA・B・CのポストコンシューマーLDPEフィルムは、回収歩留まりが非常に高く、買い手が完成ペレットの確実な販売先をすでに持っている場合を除き、採算を正当化するのが困難です。同じ問題はPETフレークにも当てはまります。ポリエステル繊維工場やボトルtoボトル用途からの需要は存在するものの、買い手の希望価格は、日本やバングラデシュをはじめとする輸出国からのオファーにしばしば届きません。
インドネシアは、一般的なプラスチックスクラップ取引において、マレーシアやベトナムほど活発ではないようです。現在の市場からのフィードバックに基づくと、実際に出てくる引き合いはPEフィルムをはじめとする比較的シンプルなポリオレフィン系に関連することが多い状況です。ただし、PEフィルムがインドネシアのプラスチックスクラップ輸入全体の大半を占めるかどうかは全国レベルでは確認できておらず、これは公式な市場統計ではなく、現在の取引先からの観察として捉えるべきものです。活動が限られる重要な理由の一つは、インドネシアの厳格な輸入管理制度です。輸入プラスチックスクラップは十分に選別されていなければならず、汚染は厳しく制限され、貨物は船積み前の検査対象となります。これらの要件は輸出業者のコストとリスクを増加させ、買い手、ライセンス、検査の手配がすでに確定していない限り、トレーダーが貨物をオファーすることを思いとどまらせています。
欧州は引き続き潤沢なスクラップ発生量を有していますが、その輸出市場は大きな規制変更の時期に入りつつあります。2026年5月21日以降、第三国へのプラスチック廃棄物の輸出は事前通告・同意手続きの対象となりました。さらに2026年11月21日からは、EUから非OECD諸国へのプラスチック廃棄物の輸出が、少なくとも2年半にわたり禁止されます。これらの措置は環境上適正な管理の確保を目的としていますが、国内のリサイクル工場がバージンポリマーの安値、高いエネルギーコスト、弱い需要による圧力をすでに受けているなかで、欧州のサプライヤーの販路を一段と狭める可能性もあります。ドイツと英国は依然としてプラスチック廃棄物の最大級の輸出国であり、欧州の一部が海外の処理能力にいまだどれほど依存しているかを示しています。
北米も、入手可能なスクラップと限られた採算の合う需要との間で同様の不均衡を示しました。PETボトル、ナチュラルHDPE容器、選別されたポストインダストリアルのPE・PPは、確立した国内最終市場が存在するため、引き続き最も流動性の高いグレードです。しかし、混合プラスチック、低グレードのフィルム、エンジニアリングプラスチックのスクラップは強い価格圧力に直面しています。安価なバージン樹脂、一貫しない再生材需要、高い国内輸送コストが、リサイクル業者の支払い能力を引き続き低下させています。米国は極めて大量のプラスチック廃棄物を発生させていますが、リサイクルされるのは比較的小さな割合にとどまっており、主な制約が原料の入手可能性ではなく、それを競争力ある原材料へ変えるための経済性とインフラにあることを示しています。


