詳細解説

事実改正WSRは、旧規則(EC)1013/2006を置き換え、バーゼル条約とOECD決定をEU法として実装し直したものである。背景には、EU域外へ輸出された廃棄物が適正処理されていないという批判と、域内での資源循環(自給)を高めるという政策方針がある。廃プラスチックについては段階的に規制が強まり、2026年5月21日からは、非有害の廃プラ(バーゼル条約B3011に相当)であってもEU域外への輸出には事前届出・同意手続が必要となった(EU域内の輸送では、非有害廃プラのリカバリー向けは引き続き簡易な情報提供要件の対象)。2026年11月21日からは非OECD諸国向けの輸出が禁止され、少なくとも2029年5月21日まで継続する。その後、非OECD諸国は環境適正管理能力を示して個別に輸入再開を申請でき、委員会が委任法令でリストに追加する仕組みが用意されている。OECD諸国向けについては輸出は継続できるが、2027年5月21日からは、仕向地を問わずEU域外へのリカバリー向け輸出全般について、輸出者が受入施設の独立した第三者監査を確保する義務が加わる(廃プラでは、非OECD向けが禁止されるため実質的にOECD向けが対象となる)。

分析日本はOECD加盟国であるため、EU→日本のルートは禁止対象ではない。ただし「規制が無い」ではなく「届出・同意と、いずれ第三者監査が必要な取引になる」と読むのが実務的である。新規参入を検討する企業にとっては、参入障壁は上がる方向にある。書類手続の体制(届出者・保証金・輸送計画)を持たない事業者はEU発の玉を扱いにくくなる一方、体制を整えた事業者には競合が減るという見方もできる。既存事業者は、①仕向地区分の棚卸し、②届出リードタイムを織り込んだ契約条項、③受入施設側の環境適正管理を示す記録(処理フロー、残渣処理先、労働安全、排水・排ガス)の整備を優先したい。アジア各国の輸入規制と組み合わせると、廃プラの国際物流は「OECD域内で完結させる」方向に寄る可能性があるが、実際の荷動きは各国の運用次第であり、断定はできない。