PPWR第7条―再生材含有率の算定・リサイクル技術基準・域外再生材の輸入条件
- 何が起きたか
- 欧州委員会が、PPWR(規則(EU)2025/40)第7条に基づく下位法令の準備として、2026年8月中旬から9月16日まで3件の証拠募集(Call for evidence)を実施している(本稿公開時点で受付中)。対象は①プラスチック包装の再生材含有率の算定・検証の調和、②プラスチックリサイクル技術の持続可能性基準、③EU域外からの再生材の輸入条件の3点である。
- 誰に関係するか
- EU向けに再生ペレット・再生フレークを供給する日本を含むEU域外のリサイクラー・商社、EU域内の包装メーカー、ブランド・小売、ケミカルリサイクル事業者、検証・認証機関。
- いつから影響するか
- 証拠募集:2026年8月中旬〜2026年9月16日(締切は9月16日00:00ブリュッセル時間。開始日は二次情報間で8月14日と8月17日に割れており、Have your sayポータルでの確認を推奨)。下位法令(実施・委任法令)の採択期限:2026年12月31日。PPWR第7条の再生材含有率義務の適用:2030年1月1日から。
- 商機
- 域外再生材の輸入条件と検証スキームが明文化されれば、要件を満たす日本の再生材サプライヤーにとってEU市場が読める市場になる。早期に証憑・トレーサビリティを整えた事業者には先行者利益が生じ得る。
- リスク
- 輸入条件が厳しく設計された場合、日本産の再生ペレットがEU顧客の含有率カウントに使えなくなる可能性がある。基準が確定してから対応を始めると、2030年適用に間に合わない恐れがある。
- 推奨アクション
- EU向けに再生材を供給している、または検討している場合は、業界団体経由を含め意見提出の要否を検討する。あわせて、樹脂種・由来・回収経路・含有率を第三者が追跡できる形で記録する体制の整備を今期から始める。
詳細解説
事実PPWRは2026年8月12日から原則適用に入ったが、事業者にとって影響の大きいプラスチック包装の再生材含有率義務は2030年1月1日からである。その「何を再生材として数えるか」を決めるのが第7条に基づく下位法令であり、条文上は2026年12月31日までに採択することとされている。欧州委員会は2026年8月中旬から9月16日まで、3件の証拠募集を並行して実施している。①算定・検証の調和は、加盟国・企業ごとにばらつく含有率の数え方を統一するもの。②リサイクル技術の持続可能性基準は、どのリサイクル技術(機械的・ケミカル等)を含有率にカウントできるかの線引きに関わる。③域外再生材の輸入条件は、EU域外で製造された再生材をEU域内の包装の含有率に算入するための条件を定めるもので、輸入量・検証スキーム・サプライチェーン情報に関するデータが求められている。
分析FENのようにEU域外から再生材を供給し得る立場から見ると、③がもっとも直接的な論点である。EU域内の再生材と同等の環境・品質基準を証明できるかどうかが、EU顧客にとって「数えられる材料」かどうかを決める。証明の枠組みが決まってから対応を始めると、証憑の遡及取得ができず間に合わない可能性があるため、回収経路・入荷ロット・組成・処理工程の記録を今のうちに標準化しておく意味は大きい。新規参入を検討する企業にとっては、EU向け再生材事業の参入障壁は上がる方向にあるが、同時に「基準を満たせる事業者が限られる」ことは価格面ではプラスに働き得るという見方もできる。ただし本稿の時点では法令案の条文は公表されておらず、要件の水準・移行期間はいずれも確定していない。加えて、欧州委員会は同じPPWRの表示関連実施法令(第12・13条)について2026年8月12日の法定期限を徒過したと伝えられており、第7条関連の下位法令も年内採択に間に合わない可能性がある。2026年12月31日という期限は「条文上の期限」であって「確定スケジュール」ではないと扱い、案文の公表タイミングで再確認したい。
📎 一次情報・出典
欧州委員会 Have your say|再生材含有率の算定・検証の調和 → 欧州委員会 Have your say|プラスチックリサイクル技術の持続可能性基準 → 欧州委員会 Have your say|域外再生材の輸入条件 → EUR-Lex|Regulation (EU) 2025/40(PPWR) →
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