本記事では、一次情報で確認できた事実に 事実、報道が伝えている内容に 報道、筆者の解釈・推測に 分析 を付けています。英語資料からの引用はいずれも拙訳です。

先に、用語を3つだけ

本記事の中心にある言葉を、先に短く説明しておきたい。

  • 管理の連鎖(chain of custody)──ある材料が「再生材である」といった性質を、供給網のどの段階でどう引き継いだかを記録・証明する仕組みのこと。
  • マスバランス──管理の連鎖の方式のひとつ。再生原料と化石由来原料を混ぜて処理する工程で、投入した再生原料の量に見合う分だけを出力側に割り当てて「再生材」と名乗る考え方である。個々の製品に実物が入っている保証はないが、系全体では投入量を超えないように帳尻を合わせる。ケミカルリサイクルのように、既存の設備で混ぜて処理せざるを得ない工程で使われる。
  • 熱分解油──廃プラスチックを酸素の少ない状態で加熱して分解し、得られた油のこと。ナフサの代わりに石油化学の原料として使えるが、出力の一部は燃料向けの留分やロスになる。

何が起きたのか──会期最終盤に通り、9月3日に正本が作られた

事実カリフォルニア州議会の公式サイトによれば、AB 2253は2026年2月19日に第一読会にかけられ、下院を5月27日に42対19で通過して上院へ送られた。上院では環境品質委員会と歳出委員会を経て、8月21日に本会議で第三読会にかけられたうえで本会議修正され、8月28日に27対10で可決された。下院が8月30日に上院修正へ同意し(42対20)、法案はEngrossing and Enrolling(正本作成)の工程に入った。事実州議会公式の条文ページは、現在の版を「Enrolled September 03, 2026」と表示している。

報道Packaging Dive(2026年9月)は、知事の判断期限を9月30日と伝えている。報道同誌によれば、この法案は「Protecting Consumers Against Greenwashing Act(グリーンウォッシングから消費者を守る法)」とも呼ばれる。提案者のターシャ・ボーナー議員は、この法案は製品ラベルへの信頼を取り戻す助けになる、という趣旨を述べている。報道推進側はCalifornians Against Wasteが提案母体となった。Beyond Plastics、California Product Stewardship Councilなどの環境団体が支持している。反対側にはAMERIPEN、American Beverage Associationをはじめとする容器包装・消費財の業界団体が並んだ。

AB 2253の審議経過(州議会公式の記録による)
日付 できごと
2026-02-19 第一読会
2026-05-27 下院本会議で可決(42対19)、上院へ
2026-07-02 上院環境品質委員会での修正(第二読会・修正)
2026-08-13 上院歳出委員会「修正のうえ可決」(5対2)
2026-08-21 上院本会議で第三読会にかけられ、本会議修正
2026-08-28 上院本会議で可決(27対10)、下院へ返付
2026-08-30 下院が上院修正へ同意(42対20)、正本作成へ
2026-09-03 正本(Enrolled)作成
2026-09-30 知事の判断期限(報道による)
2030-01-01 新しい第42357.6条が施行(現行条文は同日失効)

⚠️ 上院本会議の票数について、州議会公式の審議経過は27対10と記録していますが、Packaging Diveは28対10と報じています。本記事では一次情報である公式記録の数値を採用しました。

「マスバランス禁止」と読める記事は、どの版を指しているのか?

分析AB 2253は、審議の過程で内容が変わっている。禁止の文言は2026年7月2日の修正で外れている。そのため、提出時の版を説明した記事と、可決版を説明した記事が混在している。EPR Atlasも追跡記事のなかで、この点に注意を促している。

事実実際、州議会公式サイトのEnrolled版の条文を確認すると、「mass balance」という語は本文に登場しない。書かれているのは、再生材含有率の表示を裏づける管理方式(chain of custody model)の列挙である。

可決版は、どの管理方式を指定したのか?

事実条文の該当箇所は次のとおりである(公共資源法典 第42357.6条に追加される規定。Enrolled版、2026年9月3日。訳は本記事による。号の番号までは本記事では特定していない)。

アイデンティティ保持モデル、分別(segregated)モデル、管理された混合(controlled blending)モデル、ローリング平均率(rolling average percentage)法(国際標準化機構(ISO)規格22095:2020(E)に記載のもの)、または、当該製品ラインに使用された材料の製造に実際に使用された再生材含有率を、ISO規格22095-2:2026に定義される比例配分(proportional attribution)によって決定したもの

事実あわせて条文には、次の2つの条件が書かれている。ひとつは「いかなる形態の燃料利用または燃料製造にもリサイクルクレジットが与えられないこと、および無関係な工程間でのクレジット移転を伴わないこと」である。もうひとつは、主張できる量の上限である。条文は「ラベルまたは表示上で主張される再生材含有量が、当該製品ラインに使用される材料について、製造者または供給者の全体の供給ストリームに投入された第三者認証済み再生材の量を超えないこと」を求めている。

事実そして、大きな例外がひとつ置かれている。条文は「公共資源法典第14549.3条(a)に基づいて定められた報告要件の遵守は、(A)および(B)の要件を満たしたものとみなす」と定めている。事実第14549.3条(a)は、プラスチック製飲料容器の再生材使用量をCalRecycleへ報告する義務である。分析つまり、再生材含有率の表示が最も盛んなPETボトルなどの飲料容器では、この報告をしていれば管理方式の要件は課されない。本記事が扱う論点の射程は、この分だけ狭くなる。

分析なお、燃料・クレジット移転の条件がどこにかかるのかは、条文の文言だけでは一義に定まらない。原文で当該の「as long as」節は、比例配分の記述の直後に続いている。したがって、①列挙した5方式の全体にかかる一般条件と読むことも、②直前の比例配分にのみかかる条件と読むこともできる。分析本記事は①と読んだが、②の読みを採る解説もある。もし②が正しければ、アイデンティティ保持や分別を使う事業者には、燃料クレジットの条件がそもそもかからないことになる。施行規則または司法解釈を待つ論点である。

事実ここで規格の名称を確認しておきたい。ISO 22095:2020の正式名称は「Chain of custody — General terminology and models(管理の連鎖――一般用語とモデル)」である。そして条文が名指ししたISO 22095-2:2026の正式名称は「Chain of custody — Part 2: Requirements and guidelines for mass balance(管理の連鎖――第2部:マスバランスの要求事項と指針)」である。条文が指定した5方式のうち1つは、規格の題名からしてマスバランスを扱う規格を参照している。

報道ISO 22095:2020が定義するモデルについては、規格の解説を公開している複数の機関が、アイデンティティ保持/分別/管理された混合/マスバランス/ブック&クレームの5つを挙げている。分析ここまでだと「列挙から外れたのはブック&クレームだけ」と読めるが、それは早い。マスバランスは、一枚岩の方式ではないからである。

マスバランスの中に、さらに分かれ道はないか?

報道規格の解説によれば、ISO 22095-2:2026が定めるマスバランスの実装には2つの方法がある。ローリング平均率法とクレジット法である。前者は主張を薄く均等に広げ、後者は主張を一部のロットに集中させる。

事実そして、認証機関であるISCC自身の解説(2026年2月13日)は、次のように整理している。同社が扱うアトリビューション(配分)の方式は3つあり、フリーアトリビューション(定められた枠内で柔軟に配分する)、燃料利用除外アトリビューション(材料用途にのみ配分する)、比例配分(出力の比率どおりに配分する)である。そしてこの3つは、いずれも「クレジット法」に適用されるものであり、ケミカルリサイクルで特に重要だと明記されている。

分析この構造を条文に当てはめると、線の引かれ方が変わる。条文がクレジット法の配分方式として名指ししたのは、比例配分ただ一つである。フリーアトリビューションも、燃料利用除外アトリビューションも、条文の列挙には出てこない。分析条文の列挙を閉じたもの(列挙されたもの以外は使えない)と読むなら、外れたのはブック&クレームだけではない。クレジット法の配分方式のうち、比例配分以外も外れているということになる。

報道この読みは、法案の変遷とも整合する。EPR Atlasによれば、提出時の版が禁止の対象としていたのは「クレジットに基づくマスバランス会計(フリーアロケーション、ブック&クレーム、またはこれに類する手法を含む)」だった。禁止条項は7月2日に削られたが、8月13日の歳出委員会修正で比例配分を明示的に許容する文言が入っている。分析つまり禁止列挙から許可列挙へ形が変わっただけで、フリーアトリビューションは通っていない、と読むのが自然である。

分析ただし規格本文は有償であり、本記事は入手していない。「ローリング平均率法」がISO 22095:2020のマスバランスモデルに対応するという読みも、本記事の仮定である。モデルの数と名称、およびクレジット法との関係も、ISCCとISOの公開解説に基づく理解にとどまる。個別の認証運用が条文に適合するかどうかの判断は、規格本文と専門家の確認を経る必要がある。

では、何が列挙から外れたのか?

分析ここまでを整理すると、線の引かれ方はこうなる。可決版が排除したのは、マスバランスという方式そのものではない。列挙を閉じたものと読むなら、外れたのは次の4つである。

  • ブック&クレーム――条文の列挙に含まれていない。物理的な材料の流れとクレジットの流れを完全に切り離す方式で、再生可能エネルギー証書に近い考え方にあたる。事実ISOの規格カタログによれば、ISO 22095-3:2026「Chain of custody — Part 3: Requirements and guidelines for book and claim」が、この方式を扱う独立した規格として存在する。条文はこれを参照していない。
  • クレジット法の配分方式のうち、比例配分以外――ISCCがいうフリーアトリビューション、および燃料利用除外アトリビューションは、条文の列挙に出てこない。ケミカルリサイクルの実務でいちばん効くのは、ここである。
  • 燃料利用・燃料製造へのクレジット配分――油化などで得られた出力のうち、燃料になった分に再生材のクレジットを付けることが明示的に否定された。
  • 無関係な工程間でのクレジット移転――ある工程で生じたクレジットを、材料としてつながっていない別の工程の製品に付け替えることが否定された。

分析逆にいえば、投入した再生原料が同じ系統に物理的に入っており、その配分をISO 22095-2:2026の比例配分の考え方で説明できるのであれば、条文上は排除されていないと読める。「実際に含まれている量しか名乗れない」という一般の理解と、条文が実際に置いた線は、少しずれている。条文が置いた線は「物理的につながっていない配分は認めない」である。「1個1個の製品に実物が入っていることを証明せよ」ではない。

分析実務に引き寄せると、点検すべきは「マスバランスを使っているか」ではなく「どの配分方式を使っているか」になる。同じISCC PLUSの認証を持っていても、比例配分で回している事業者と、フリーアトリビューションで回している事業者とでは、この条文に対する立ち位置が違う。分析自社がどちらなのかは、認証の有無ではなく、認証機関に提出している配分の設計で決まる。まずそこを確認したい。

反対側は、何を問題にしているのか?

報道2026年9月3日、GV Wireに1本の寄稿が掲載された。筆者はCentral California Hispanic Chamber of CommerceのCEO、ニコ・マドリガル氏である。知事に拒否権の行使を求める内容だった。報道主張の骨子は3点である。①マスバランスは監査を伴う管理の連鎖方式であり、EU全域を含む85か国超で使われている。②カリフォルニアだけが異なる要件を課せば、企業はこの州のためだけに高コストのサプライチェーンを別に構築するか、再生材入り製品をこの州の棚から下ろすかの選択を迫られる。③2026年7月に連邦裁判所がSB 343(リサイクル可能性表示規制)の一部を差し止めたのと同じ轍を踏むことになる。

分析ここで一つ、論争の性格がよく表れている点がある。同じ寄稿のなかで筆者は、マスバランスを「再生可能エネルギー証書や認証木材の背後にあるのと同じ基本的な会計手法」だと説明している。分析しかし本記事の整理では、その比喩に最も近いのはブック&クレームであり、条文の列挙から明確に外れた方式である。「マスバランス」という語が指す範囲が論者によってずれていること自体が、この論争のややこしさを物語っている。賛成・反対のどちらの立場から議論するにしても、まずどの配分方式の話をしているのかを揃えたいところである。

分析このうち②は、実務的な指摘として重い。州ごとに要件が割れれば、対応コストは製品価格に乗る。分析一方で①については、本記事の読み取りと角度が異なる。前節で見たとおり、可決版はマスバランスを一律に否定してはいない。議論がかみ合うのは、可決版で実際に線が引かれた3項目(ブック&クレーム、燃料へのクレジット、無関係工程間の移転)に即して論じたときだろう。とりわけ、燃料へのクレジット配分を前提に収支を組んでいる事業者にとっては、この3項目のうち2つ目が実質的な制約になる。ここを具体的に詰めていくと、賛否どちらの立場からも中身のある議論になりそうである。

分析③のSB 343との比較についても、両者は性格が違う。SB 343で争点になったのは、表示規制が不明確であること(デュープロセス)と、商業的言論の制約(合衆国憲法修正第1条)だった。AB 2253は表示の可否ではなく計算根拠の指定である。したがって同じ論点がそのまま当てはまるとは限らない。ただしこれは本記事の見立てであり、実際に訴訟が起きた場合の争点を予測するものではない。(SB 343の差止めの経緯は本サイトの8月29日の海外トレンド記事で整理している。)

EUは同じ問いに、すでにどう答えたのか?

事実ここで並べて読みたいのが、EUの委員会実施決定 (EU) 2026/1425である。2026年6月30日に採択され、7月3日に公布された。使い捨てプラスチック指令(SUPD)が定めるPETボトルの再生材含有率目標について、その数え方を決めた文書にあたる。正式名称の末尾が示すとおり、この決定は2023年の実施決定 (EU) 2023/2683を廃止して置き換えるものである。EU側でも、数え方の規則が書き換えられたということである。

事実この決定は、マスバランスによる配分を認めたうえで、出力ごとに「デュアルユース係数」を掛ける方式をとる(第7条5項(c))。材料用途の出力は係数1、燃料となる出力とロスは係数ゼロである。つまり燃料になった分は再生材として数えない。

事実ただし、熱分解油を扱う事業者にとって重要な例外がある。同項(c)(iii)は「デュアルユース出力」について、固体なら係数ゼロ、液体または気体なら、リサイクル経路に残ることを検証可能な証拠で示せた分だけ係数が付くと定めている。分析熱分解油はまさに液体である。EUでは、立証できれば計上の余地が残されている。

事実そして、工程をまたぐ移転についても明確な規定がある。第7条8項は「マスバランス計算は施設ごとに適用する。配分量は、同一企業の異なる施設間、または異なる企業間で移転してはならない」と定める。分析ここはカリフォルニアより厳しい。AB 2253が禁じるのは「無関係な工程」間の移転にとどまるが、EUは関連の有無を問わず施設間の移転を一律に禁じている。

事実検証については、投入段階と産出段階の双方においてポリマーで構成されない材料を処理する事業者に第三者検証が求められ(第8条5項)、監査は原則として毎年、中小企業は3年ごととされている。事実もう一点、EU域外で再生された材料が25%目標に算入されるようになるのは2027年11月21日からで、それ以前はEU域内で再生された分のみが対象となる。

再生材の「数え方」をめぐる2つの規範の比較(本記事による整理)
論点 カリフォルニア AB 2253(可決版) EU 実施決定 (EU) 2026/1425
対象 ラベル・オンライン表示上の任意の再生材含有率の主張(すべての製品)。ただし公共資源法典第14549.3条(a)の報告義務を履行する飲料容器は、みなしで要件を満たす 使い捨てプラスチック製飲料ボトルの再生材含有率目標の算定・検証・報告
性格 州法(施行は2030年1月1日)。知事の判断待ち EU法(採択済み・公布済み)
マスバランス 語としては登場しない。ISO 22095-2:2026の比例配分のみが列挙に含まれる(フリーアトリビューション等は出てこない) 明示的に採用。出力ごとの係数で配分する
燃料への配分 否定(「いかなる形態の燃料利用または燃料製造にもクレジットを与えない」。ただし条件の係り先は条文上一義でない) 否定(燃料出力とロスの係数はゼロ)。ただしデュアルユース出力が液体・気体なら、リサイクル経路に残る立証ができた分は係数が付く
工程・施設をまたぐクレジット移転 「無関係な工程間」の移転を否定(施設単位の規定ではない) 否定(第7条8項)。マスバランス計算は施設単位。同一企業の異なる施設間・異なる企業間の移転を禁止=カリフォルニアより厳しい
第三者検証 「第三者認証済み再生材」の投入量が主張の上限になる 一定の工程で第三者検証が必須。監査は年1回、中小企業は3年に1回
域外材料の扱い 本記事では該当規定を条文上確認していない EU域外で再生された分の算入は2027年11月21日から

⚠️ この表は本記事による整理です。両者は対象も法的性格も異なり(片方はラベル表示の規制、もう片方は目標算定・報告の規則)、同じ土俵で優劣を比べられるものではありません。「空欄」にあたる行は、規定が存在しないという意味ではなく、本記事が条文上で確認できていないという意味です。

分析この2つを並べると、少なくとも「燃料になった分は再生材として数えない」という点では、EUと、人口最大の州であるカリフォルニアが同じ側に立ったことになる。ケミカルリサイクル、とりわけ熱分解油を経由する経路では、出力の相当部分が燃料に向かう。その分をどう数えるかは、事業の収支に直結する論点だった。EUがそれを6月に決め、カリフォルニアが8月末に同じ方向の条文を通した。分析ただし、これを「世界が同じ基準に収束しつつある」とまとめるのは急ぎすぎである。次節で見るように、同じ米国のなかでも方向は割れている。

この読み方に、反証はないか?──同じ米国で方向は割れている

分析ここまでを「再生材の計算ルールが厳しくなる方向で収束している」と読むと、一面的になる。連邦議会では、逆にマスバランスを承認する方向の法案が同じ週に前へ進んでいるからである。報道下院エネルギー・商業委員会の小委員会は2026年9月1日、Recycled Materials Attribution Act(RMAA/HR 7502)を可決した。第三者認証と信頼できる証拠に裏づけられる場合にマスバランスを承認する内容である。報道同じ日、リサイクル可能性等の表示に第三者認証を求めるPACK Act(HR 6832)のマークアップも完了した。こちらには州法・地方法をプリエンプト(先占)する規定が含まれる。(この2件は本サイトの9月4日の業界レポートで扱っており、本記事では文脈として参照している。)

分析つまり現時点の米国は、州が計算根拠を絞り込む方向へ動き、連邦が全国一律の承認枠を作る方向へ動いているという、向きの異なる2つの流れが同時に走っている状態にある。どちらが先に固まるかで、2030年時点の実務は変わる。カリフォルニアの施行が2030年1月1日という、いくぶん先の日付に置かれていることも、この不確実性を読むうえで押さえておきたい。事実そしてもう一つ。知事はまだ署名していない。9月30日までの判断がどちらに転ぶかで、この記事の前提そのものが変わる。

日本の実務には、どう関係するのか?

マスバランスで再生材を「売る」立場では、何を点検すればよいか?

分析報道国内でも同じ枠組みが使われている。本サイトが9月2日の国内トレンド記事で取り上げたとおり、デンカはISCC PLUS認証のマスバランス方式で、サーキュラー属性を割り当てる製品の範囲を広げている。対象はBOPS・食包シート・食品容器である。分析同じ枠組みで再生材やサーキュラー製品を売っている事業者は、日本にほかにも複数ある。

分析AB 2253がこの運用に直ちに効くわけではない。対象はカリフォルニア州で流通する製品のラベル表示であり、施行も2030年である。ただし点検しておきたい項目が3つある。いちばん重いのは、自社の配分がどの方式かである。条文が名指ししたのは比例配分だけで、フリーアトリビューションは列挙に出てこない。2つめは、燃料になる出力にクレジットを付けていないかである。3つめは、無関係な工程をまたいでクレジットを移していないかである。この2点は、EUの実施決定とAB 2253の可決版が、それぞれ別の文脈で同じ方向に線を引いた箇所にあたる。分析逆に、比例配分で回していて、この2つの条件にも触れていないのであれば、可決版の条文上は排除されていないと読める。もっとも、前述のとおりISO 22095-2:2026の本文を確認できていないため、個別の認証運用が適合するかどうかの判断は、規格本文と専門家の確認を経る必要がある。本記事の読み取りをもって適合の根拠とすることはできない。

再生材を「使う・表示する」立場では、何が変わるのか?

分析カリフォルニア州向けに容器包装や日用品を出荷している製造業では、取引先のブランドオーナーが表示根拠の様式を変えてくる可能性がある。効いてくるのは、条文が置いた上限の考え方である。ラベル上の主張は、製造者・供給者の全体の供給ストリームに投入された「第三者認証済み再生材」の量を超えられない。つまり、認証されていない再生材をどれだけ使っていても、それは表示できる量の裏づけにはならない。分析国内で再生材を供給する側にとっては、これは第三者認証を取得しているかどうかが、輸出先の表示可否を通じて商談の条件になりうる、という意味を持つ。認証の取得には期間と費用がかかる。2030年という施行時期から逆算して、取引先がいつ何を求めてくるかを先に聞いておく価値がある。

ケミカルリサイクルの事業計画には、どう効くのか?

分析熱分解油を経由する経路では、投入した廃プラのうちポリマーに戻る分、燃料や燃料相当の留分になる分、そしてロスに分かれる。EUの実施決定は燃料出力とロスの係数をゼロに置き、AB 2253は燃料利用へのクレジット配分を否定した。収支を組むうえでは、出力の内訳を分けて置き、燃料分を再生材として数えない前提の試算を1本用意しておくのが安全である。分析本サイトが8月28日の海外トレンド記事で取り上げた独カーボリックの破産や、欧州でのケミカルリサイクル案件の中止が続いている状況を踏まえると、この前提の置き方は事業の成否に直接効く。歩留まりの高さを訴求できても、そのうち再生材として数えられる部分がどこまでかは、技術ではなく会計ルールが決めるからである。

機械式リサイクルを手がけている立場には、追い風か?

分析条文が挙げた5方式のうち、「アイデンティティ保持」と「分別」は、原料の素性を分けたまま最後まで回す運用を前提とするものとされる。裏を返せば、排出元が特定できる産業系の原料を扱う事業者は強い立場にある。クローズドループの回収スキームを持つ事業者も、この2方式で説明できる。複雑な配分計算を必要としない分、証明の負担は軽い。分析そのために必要なのは、特別な認証というより、工程ごとの投入・産出の重量記録である。破砕・洗浄・選別・押出の各工程で、いつ・どのロットが・何kg入って何kg出たかを台帳に残す。この記録は歩留まり管理のために取っているはずのもので、管理の連鎖の証明はその延長線上にある。いま取っている記録を、そのまま第三者に見せられる形に整えておくことが、実質的な準備になる。
(原料の素性ごとにラインを分けて回す場合の工程設計や、投入・産出の記録が取りやすい設備構成については、FENの光学選別機とは、プラスチックリサイクル関連コラムもあわせてご覧ください。)

続報で注目したいのは、どこか?

分析まず9月30日である。知事が署名するか拒否権を行使するかで、この記事の前提が変わる。次に、署名された場合の施行規則である。条文は管理方式を名指ししたが、第三者認証の要件や、証跡としてどの書類を保存すべきかといった運用の細部は条文だけでは決まらない。分析三つめは、連邦のRMAA・PACK Actの行方である。州法をプリエンプトする規定を含む法案が成立すれば、カリフォルニアの要件との関係を整理する必要が出てくる。ただし10月の休会と11月の中間選挙が日程上の制約になる。四つめは、ISO 22095-2:2026の「比例配分」が実務でどう解釈されるかである。認証機関がこの規格に照らして自らのスキームをどう位置づけ直すかは、日本の事業者にとって最も直接的な情報になる。

分析そしてもう一つ、本記事の読み方を相対化しておきたい。本記事は「条文の文言上はこう読める」という整理をしてきた。報道しかし提案母体であるCalifornians Against Wasteの運動名は「Deceptive Recycled Content Claims(誤解を招く再生材含有率の主張)」であり、業界紙の見出しも「実際の再生材で証明せよ、マスバランスではなく」というものだった。分析立法者側の説明は一貫して「実際に含まれている量で証明せよ」であり、意図としてはマスバランス的な会計の排除を志向していたと読める。文言と意図が食い違う場合、施行規則や司法長官の運用が意図の側に寄る可能性は残る。条文上は排除されていないという読みを、安心材料として受け取りすぎないほうがよい。

分析より大きな流れとしては、再生材をめぐる競争軸が「どれだけ作れるか」から「どう数えるか」へ広がりつつあることを押さえておきたい。本サイトが9月4日の業界レポートで整理したとおり、目標の数字ではなく数え方の規則が、いま日米欧で同時に書き換えられている。設備の能力を上げる投資と、その出力を「再生材だ」と説明できる体制を整える投資は、別々に予算化しておいたほうがよい。今回のカリフォルニアの動きは、後者の重みが増していることを示す一例である。