米オレゴン州の容器包装EPR法を連邦地裁が全面支持──約7か月続いた執行の仮差止めが解除され義務が復活、次の焦点はカリフォルニアSB 54/同じ日、英国のプラ包装税は再生材30%以上のシェアが50.7%で横ばい

今週の注目トピックは、再生材の需要をつくる制度が、二つのまったく違う試験にかけられたことである。米国では2026年8月27日、オレゴン州の容器包装EPR(拡大生産者責任)法が連邦地裁で全面的に支持された。この法律は2026年2月から原告団体の会員企業に対して執行が仮差止めされていたため、判決はその停止を解除し、登録・報告・手数料の義務を復活させるものでもある。そして同じ8月27日、英国では歳入関税庁(HMRC)がプラスチック包装税の年次統計を公表した。再生材を30%以上含むと申告された包装は、量では前年から減った一方、申告総量に占めるシェアは50.0%から50.7%へとわずかに上がっている。片方は「制度を続けられるか」という試験、もう片方は「制度が効いているか」という試験である。今回はこの二つを軸に、あわせてオランダで動いた供給側の投資案件を取り上げる。

30秒でわかる要約

何が起きたか:

  • 報道米国:オレゴン州の容器包装EPR法を連邦地裁が全面的に支持(2026年8月27日)。オレゴン州連邦地裁のマイケル・H・サイモン判事が、同州のプラスチック汚染・リサイクル近代化法(RMA)に対する全米卸売・流通業者協会(NAW)の憲法上の主張をすべて退ける71ページの判断を示した。争点は「休眠通商条項」(州が州際通商に過度の負担をかけていないか)と「デュープロセス条項」(手数料への異議手続きや、生産者責任組織への権限委任が適正か)である。判事は、この制度が環境・公衆衛生上の正当な目的を持ち、州際通商への負担が州の得る利益に比べて明らかに過大とはいえないと判断した。実務上さらに重要なのは、同じ判事が2026年2月6日に出していた執行の仮差止めが、この判決により解除されたことである。NAW会員企業は、約7か月ぶりに登録・2024年分の対象包装データの提出・手数料の支払いを行う立場に戻る。複数の法律メディアは、容器包装EPR法がこれらの憲法上の攻撃に耐えた初の連邦地裁判断だと位置づけている。NAWは強く反対する旨を表明し、次の手段を検討中としている。
  • 報道米国:次の焦点はカリフォルニア州SB 54の「制度まるごと停止」を求める申立て。ネブラスカ州を筆頭とする17州の司法長官とNAWは、2026年6月にカリフォルニア州東部地区連邦地裁へ提訴していたSB 54(容器包装EPR法)について、8月20〜21日に仮差止め(本案の判断が出るまで法の執行を止める措置)を申し立てた。求めているのは登録・報告・手数料徴収を含む制度全体の停止である。審尋は2027年1月15日、デナ・コギンズ判事の下で予定されている。修正訴状では、別途一部要件が差止めを受けたカリフォルニア州の表示規制SB 343(2026年7月14日)にSB 54がリサイクル可能性の定義を依存していることを理由に、SB 54も不明確であるという新しい主張が加えられた。
  • 事実英国:プラスチック包装税の2025/26年度統計を公表(2026年8月27日、HMRC)。税収は2億5,000万ポンドで前年度の2億6,100万ポンドから4%減。申告総量は297万トンで前年度の313.8万トンから減少し、うち課税対象(再生材30%未満)は110.7万トン・37%(前年度は119.4万トン・38%)。再生材を30%以上含むと申告された量は150.6万トンで、申告総量に占めるシェアは50.7%。前年度は156.9万トン・50.0%だった。つまり量では減ったがシェアではわずかに上がっており、業界側は「足踏み」と評している。登録事業者数は2026年8月13日時点で5,142社と前年から増えている。
  • 事実オランダ:複合プラスチックの化学変換、初号機の基本設計にサイペムが参画(2026年8月19日)。カナダのアデュロ・クリーン・テクノロジーズが、オランダのケメロット工業団地(シッタート=ヘレーン)に計画する初号商業設備について、伊サイペムを基本設計・調達支援のパートナーに選定したと発表。初期処理能力は年1万トン。この段階の費用は既存の手元資金で賄い、追加の資金調達は想定していないとしている。

誰が関係するか:米国向けに容器包装を出荷している製造業と商社(州のEPR制度で「生産者」に該当すると登録・報告・手数料の義務が生じうる)、英国向けの場合は取引先から再生材30%以上の証明を求められる立場になりやすい(英国プラスチック包装税の納税義務者は英国内の製造者または輸入者で、登録義務の目安は年10トン以上)、再生材ペレット・フレークを供給する再生事業者、包装設計とサステナビリティを担当する部門、油化(ケミカルリサイクル)案件への出資・原料供給を検討している事業責任者、そして国内で再生材利用の制度設計を注視している経営企画

いつ発表・実施されたか:オレゴン判決:2026年8月27日(5日間の審理は7月17日結審)。カリフォルニアSB 54:提訴2026年6月22日、仮差止め申立て8月20〜21日、審尋2027年1月15日。英国統計:2026年8月27日公表(対象は2025年4月〜2026年3月)。アデュロ/サイペム:2026年8月19日発表。

商機(最重要) 分析①オレゴン判決により、米国の容器包装EPRが「訴訟でひっくり返るかもしれない制度」から「当面は続く前提で設計する制度」に近づいた。EPR手数料はリサイクルしやすい設計ほど安くなる仕組み(エコモジュレーション)を伴うため、再生材と設計改善への支払い意思は続きやすい。②英国では2027年4月1日から、化学的にリサイクルされた分をマスバランス方式で再生材30%要件に算入できることが決まっている(独立した認証スキームの認証取得が条件)。油化事業者にとって「英国向け包装の再生材としてカウントされる」経路が開く。③同じ2027年4月1日から、製造工程で出る端材(消費前廃材)は30%要件の算入対象から外れる。その分を市中回収由来の再生材で埋める需要が生じうる。④英国の統計は、再生材の量よりも「30%以上であることを証明できるか」に争点が移りつつあることを示している。証明可能なロットを安定して出せる再生事業者の相対的な位置づけは上がりうる。(いずれも本記事執筆時点での推測を含む)

新規参入者へのリスク・教訓(最重要) 分析再生材の需要は、当面は制度によってつくられている部分が大きい。したがって制度リスクは価格リスクと同じ重みで見ておきたい。オレゴンの事例が示すのは、訴訟が制度を実際に止めうるということである。2026年2月から約7か月間、原告団体の会員企業に対しては執行が停止していた。今回それが解除された。制度は「ある/ない」ではなく「いま動いているか」で見る必要がある。カリフォルニアの申立ては、制度そのものではなく「制度が参照している別の規則の一部が止まっている」ことを理由に全体の停止を求めており、制度の一部が動かないと全体が動かなくなりうるという構図を示している。また英国の統計は、税率を毎年引き上げても、価格差が大きい局面では「再生材を増やす」以外の応じ方(プラスチックの使用量そのものを減らす、輸入経路を変える)が選ばれうることを示唆する。事業計画では、再生材の販売見込みを「制度が何年、どの範囲で有効か」という前提と紐づけて置いておくと、見込み違いに早く気づける。

推奨アクション:オレゴン州向けに容器包装を出荷している場合、または取引先がNAW会員である場合は、猶予が失効した前提で登録・2024年分データの提出・手数料の状況を早めに確認する。カリフォルニア州SB 54については、自社が「生産者」に該当するかを確認したうえで、2027年1月15日の審尋結果で状況が変わりうるため、対応スケジュールに分岐を持たせておく。英国向けの場合は、再生材30%以上を主張している包装について、証明書類が第三者の検証に耐える形で揃っているかを点検する。あわせて、2027年4月1日以降は製造工程で出る端材が30%要件に算入できなくなるため、端材に依存している配合があれば代替の手当てを検討しておく。再生材を供給する立場であれば、供給先が求める証明の様式(マスバランスを含む)を先に確認しておくと、商談の手戻りが減る。

主な出典:

本記事では、確認できた事実に 事実、報道1媒体のみが伝えている内容に 報道、筆者の解釈・推測に 分析 を付けています。英語資料からの引用はいずれも拙訳です。

米国|オレゴン州の容器包装EPR法、連邦地裁が全面的に支持

事実2026年8月27日、米オレゴン州連邦地方裁判所のマイケル・H・サイモン判事が、同州のプラスチック汚染・リサイクル近代化法(Plastic Pollution and Recycling Modernization Act、以下RMA)を全面的に支持する判断を示した。原告は全米卸売・流通業者協会(National Association of Wholesaler-Distributors、以下NAW)、被告はオレゴン州環境品質局(DEQ)長官のリア・フェルドン氏である。判断は71ページに及び、7月に行われた5日間の非陪審審理(裁判官のみで事実認定まで行う審理。7月17日結審)を経て出された。

事実RMAは2021年に成立し、2025年7月から運用が始まった容器包装の拡大生産者責任(EPR)制度である。容器包装を市場に出す事業者(生産者)が、その回収・選別・リサイクルの費用を負担する仕組みで、実務は生産者責任組織(PRO)であるサーキュラー・アクション・アライアンス(CAA)が担う。報道Waste Diveによれば、サイモン判事は判断のなかで、オレゴン州が製品のライフサイクル終期の費用を行政から生産者へ移す点で先進的な取り組みを示したと評価している。

何が争われ、どう判断されたか

事実NAWの主張の柱は二つだった。ひとつは休眠通商条項(Dormant Commerce Clause)である。これは、連邦議会が定める通商規制の権限の裏返しとして、州が州際通商を差別したり過度に負担をかけたりすることを禁じるという憲法解釈上の考え方を指す。もうひとつはデュープロセス条項(適正手続の保障)で、手数料に異議を申し立てる手続きが十分か、また民間団体であるCAAに実質的な権限を委ねることが適正かが争われた。

報道The National Law Reviewの整理によれば、裁判所はこれらの主張をいずれも退けた。RMAは環境および公衆衛生上の正当な目的に資するものである。個々の生産者の費用が上がったという証拠は個別事例の域を出ず、州際通商に実質的な負担を課したことを示すには足りない。そして州際通商への負担は、州の得る利益に比べて明らかに過大(clearly excessive)とはいえない。こうした判断である。

事実この判決により、2026年2月6日からNAWとその会員企業に対して停止していた執行が解除された。会員企業は登録、2024年分の対象包装データの提出、手数料の支払いを行う立場に戻る。報道なお、2月の仮差止めの判断では、不履行に対して1日1件あたり最大2万5,000ドルの制裁金がありうることが、会員企業の受ける不利益の一つとして考慮されていた。

報道判断のなかでサイモン判事が示した考え方として、Waste Diveは次の趣旨の一節を伝えている。政府の介入がなければ、取引に直接関わる経済主体は外部性(取引の当事者以外に及ぶ環境負荷などの影響)について支払いも補償も受けない、というものである。分析EPRという制度は、この「誰も支払わない費用」を製品を市場に出した側に割り当てる設計であり、判事の言い回しはその設計思想を裁判所として追認したものと読める。

報道当事者の反応も分かれている。NAWは判断に強く反対するとしたうえで、次の手段を検討中であり、これが最終的な結論ではないと述べている。第9巡回区連邦控訴裁判所への控訴は選択肢として残る。CAAは、この判断がRMAについて重要な明確さをもたらしたとした。オレゴン州DEQは、法は引き続き有効であり実施を続けるとしている。報道なおNAWはコロラド州のEPR法も争っており、後述するカリフォルニア州SB 54の訴訟では唯一の事業者側原告となっている。

この判断が他州に効くのはなぜか

分析この判決の重みは、争点の性質にある。NAWの主張は、オレゴン州の制度設計の細部というより、「州が容器包装EPRという仕組みを作ること自体が、州境を越えて全国の事業者の行動を規律してしまう」という一般論に近い。同じ論法は、容器包装EPR法を持つ他の州(カリフォルニア、コロラド、ミネソタ、ワシントンなど)にもそのまま向けられる。したがって、その論法が連邦地裁で通らなかったという事実は、他州の制度にとっても意味を持つ。

分析もっとも、地裁判決は他州の裁判所を拘束しない。効くとすれば「説得的先例」として、つまり同じ論点を扱う裁判所が参考にする資料としてである。加えてNAWは控訴の可能性を残しており、コロラド州・カリフォルニア州への挑戦も継続すると述べている。したがって現時点で言えるのは、米国の容器包装EPRが法的にひっくり返る確率が下がったということであって、争いが終わったということではない。この差は、対応スケジュールを組むうえで実務的に効いてくる。

米国|次の焦点はカリフォルニア──SB 54の「制度まるごと停止」を求める申立て

事実2026年6月22日、ネブラスカ州司法長官マイク・ヒルガース氏を筆頭とする17州の司法長官と、唯一の事業者側原告であるNAWが、カリフォルニア州東部地区連邦地方裁判所にSB 54(Plastic Pollution Prevention and Packaging Producer Responsibility Act)の違憲を主張する訴えを提起した。被告はカリフォルニア州資源循環局(CalRecycle)長官のゾーイ・ヘラー氏と、同州のPROであるCAAである。原告側は、多くの企業が全国共通の包装・物流を用いているため、カリフォルニア州の要求が州外の事業者の包装のあり方まで規律してしまうと主張している。

報道この訴訟が新しい段階に入ったのが今回の動きである。原告らは2026年8月20〜21日に仮差止めを申し立てた(申立日の表記は媒体により20日と21日に分かれる)。報道The National Law Reviewによれば、審尋は2027年1月15日、デナ・コギンズ判事の下で予定されている。訴状の12の請求原因は6つの憲法理論に整理されている。①不明確性(vagueness、規制の内容が事業者に十分な予見可能性を与えていない)、②域外適用(州法が州外の取引にまで効力を及ぼしていないか)、③休眠通商条項(差別および負担の不均衡)、④修正第1条(表現の制約および表現の強制)、⑤輸出入条項、⑥私人への権限委任(CAAへの委任が適正か)である。

主張の組み立て──表示規制の差止めを、EPR全体に接続する

報道今回の申立てで注目されるのは、修正訴状に加えられた新しい理屈である。カリフォルニア州には、リサイクルできない製品にリサイクルを示す表示(いわゆる「追いかける矢印」)を使うことを制限するSB 343という別の法律がある。同法については2026年7月14日、リサイクル可能性の要件のうち4項目が不明確性を理由に仮差止めを受けた(回収・選別の到達度を問う中核基準は存続している)。原告らは、SB 54が「リサイクル可能である」ことの判定基準をSB 343に由来する定義に依存しているため、その定義の一部が止まっている以上、SB 54の要求も事業者にとって不明確であり違憲だと主張している。NAWの担当者は、SB 54は同じリサイクル可能性の定義に依拠しているのだから、裁判所には同じ結論に至ってSB 54も差し止めてほしい、という趣旨を述べている。

報道求められている救済の範囲も広い。The National Law Reviewによれば、申立ては原告らに対する適用除外ではなく、登録・報告・手数料徴収を含むSB 54の制度全体の停止を求めている。仮に認められれば、CAAが2027年初頭に予定している最初の請求も止まることになる。なお、SB 54の施行規則は2026年5月1日に発効しており、現時点で事業者の義務は有効なままである。

項目 オレゴン州(NAW v. フェルドン) カリフォルニア州(ネブラスカ州ほか v. ヘラー)
対象法令 RMA(2021年成立、2025年7月運用開始) SB 54(施行規則は202651日発効)
原告 NAW 17州の司法長官+NAW
手続の段階 本案の判断(5日間の審理を経て2026-08-27に判決) 仮差止めの申立て(2026-08-2021申立て、審尋2027-01-15
主な争点 休眠通商条項/デュープロセス 不明確性/域外適用/休眠通商条項/修正第1条/輸出入条項/私人への権限委任(12の請求原因を6理論に整理)
特徴的な主張 州際通商への負担が州の得る利益に比べ過大か 別法(SB 343)の要件の一部が差し止められ、参照する定義が不明確になったという接続
現状 2026-02-0608-27はNAW会員に対し執行停止。判決により解除され義務が復活。控訴は選択肢として残る 制度は有効。差止めは請求されたが認められていない

⚠️ 本表は本記事が報道各社の記述を突き合わせて作成したものです。両事件の訴状・判決原文には直接あたれておらず、争点の整理は報道・法律事務所の解説に依拠しています。カリフォルニア事件の申立日は媒体により2026年8月20日と21日に分かれるため、本記事では「20〜21日」と表記しました。

この読み方への反証も置いておきたい

分析ここまでの2件を「米国のEPRは司法リスクにさらされている」とまとめるのは、一面的である。実際に起きたのは逆方向を含む出来事だからである。オレゴンでは制度が本案で支持された。カリフォルニアでは差止めが請求された段階にとどまっている。同じ原告団体が二正面で争っている状況で、片方が本案で敗れたことは、もう一方の見通しにも影響しうる。

分析逆に、「訴訟では制度は止まらない」とまとめるのも誤りである。オレゴンでは2026年2月6日から判決日までの約7か月間、NAW会員企業に対する執行が実際に停止していた。カリフォルニアでもSB 343の一部要件が7月14日に差し止められている。訴訟が制度を実際に止めうることは、すでに2件で示されている。今回の判決の意味は「止まらなかった」ことではなく、いったん止まっていたものが本案で解除されたことにある。

分析ただし、カリフォルニアの主張が質的に異なる点は押さえておきたい。オレゴンで争われたのは「EPRという仕組みが憲法上許されるか」であるのに対し、カリフォルニアで新たに加わったのは「この制度は、参照している定義が止まっているために回せる状態にあるか」という問いである。前者は制度の是非、後者は制度の実装可能性の問題であり、勝敗の理屈が同じとは限らない。分析この「制度をつくる層」と「制度を回す層」の断層は、本サイトが先週取り上げた米メイン州のPRO選定で応札がゼロだった件とも同じ層の話である。制度が成立していることと、制度が回り始めることの間には、まだ距離がある。

英国|プラスチック包装税、再生材30%以上のシェアは50.7%で横ばい

事実英国歳入関税庁(HMRC)は2026年8月27日、プラスチック包装税(Plastic Packaging Tax、以下PPT)の統計を公表した。対象は2025年4月から2026年3月までの2025/26年度である。PPTは2022年4月に導入された税で、再生材の含有率が30%未満のプラスチック包装に課される。納税義務者は英国内の製造者、または英国への輸入者である。登録義務の目安は過去12か月または今後30日で10トン以上を扱う事業者となる。

事実HMRCの統計本文が示す主な数値は次のとおりである。

項目 2025/26年度 比較
税収 2億5,000万ポンド 前年度2億6,100万ポンドから4%減
申告総量 297.0万トン
(輸入139.0/英国内製造158.0
前年度313.8万トンから減少
課税対象(再生材30%未満) 110.7万トン=37% 前年度119.4万トン=38%
免税・軽減対象 186.3万トン=63%
 うち再生材30%以上 150.6万トン
申告総量の50.7%(免税・軽減分の81%)
前年度156.9万トン=申告総量の50.0%。量は減、シェアは微増
 うち輸出・他用途転換 33.7万トン(免税・軽減分の18%)
 うち医薬品用 2.0万トン(同1%未満)
登録事業者数 5,142社(2026-08-13時点) 前年4,927社から増加
税率 1トンあたり223.69ポンド 2026年4月1日から228.82ポンド

⚠️ 本表の数値はHMRCの統計本文(GOV.UK、2026年8月27日公表)に基づきます。シェア(50.7%・50.0%)は、公表されている量を申告総量で割った本記事による算出値です。税率はGOV.UKの登録要否ガイダンスで確認しました。なお報道の一部(Packaging News)は2025/26年度の税率を228.82ポンドと記していますが、これは2026年4月1日以降の税率であり、年度の取り違えとみられます。

数字をどう読むか──税収が減ったことは何を意味するか

分析この統計は、量で見るかシェアで見るかで印象が変わる。再生材を30%以上含む包装の量は、前年度の156.9万トンから150.6万トンへ減った。ここだけ見れば後退である。しかし申告総量そのものが313.8万トンから297.0万トンへ減っている。シェアで見れば50.0%から50.7%へ、わずかながら上がっている計算になる。課税対象の割合も38%から37%へ下がった。比率で見るかぎり、制度は所期の方向に動いている。

分析ではなぜ「足踏み」と評されるのか。動きが小さいからである。シェアの改善は1年で0.7ポイントにとどまる。税収は4%減った。税率は据え置きではなく毎年物価に連動して上がっているので、税収の減少は課税対象量の減少を意味する。そして課税対象量の減少(119.4万トン→110.7万トン、8.7万トン減)は、申告総量の減少(16.8万トン減)の範囲に収まる。つまりこの1年に起きたことの大半は、「再生材へ切り替えた」というより「英国の課税範囲に入るプラスチック包装そのものが減った」と読むほうが整合する。包装の軽量化、他素材への置き換え、英国内に在庫を置かない物流の組み替えなど、税を避ける方法は再生材の配合以外にもある。ただし、この配分は統計の内訳から直接示されたものではなく、本記事による推測である。

報道業界側の受け止めも紹介しておきたい。リサイクル関連サービスを手がけるReconomyの対外担当責任者デビッド・ガジョン氏は、再生材含有率の進み方が足踏みしているように見えると述べている。背景として同氏が挙げるのは二つである。ひとつはバージン材の価格が低い水準にあること。もうひとつは、英国の回収・再生インフラが、回収量が大きく増えた場合にそれを受け止められる段階へ向かう途上にあることである。報道そのうえで同氏は、EUと同様に再生材含有率の下限を法的義務として設けることを提案している。例として挙げているのは、PET・HDPEボトルで75%、LDPEでは100%に向けた段階的な引き上げである。分析この提案は、手段の転換を意味する。税は「割高な選択に罰を課す」仕組みである。義務は「一定の選択を必須にする」仕組みである。EUのPPWR(包装及び包装廃棄物規則)が2030年から再生材含有率の下限を課すのも、後者の方向である。

2027年4月に何が変わるか──マスバランス算入と、工程端材の除外

事実英国では制度側の見直しがすでに決まっている。GOV.UKの政策文書(2025年11月26日公表)によれば、2027年4月1日から次の二つが同時に実施される。ひとつは、化学的にリサイクルされた分をマスバランス方式(投入した再生原料の量を、複数の製品に割り当てて計上する考え方)でPPTの30%要件に算入できるようにすることである。根拠法は2021年財政法の改正で、2024年秋季予算で方針が示され、Finance Bill 2025-26に規定が置かれた。ただし算入するには、法定の要件を満たす独立した認証スキームの認証を取得することが条件とされる。

事実もうひとつは、こちらのほうが実務への影響が直接的かもしれない。同じ2027年4月1日から、消費前(pre-consumer)の廃材、いわゆる製造工程で出る端材が、PPTの再生材30%要件の算入対象から外れる。2021年財政法第49条の改正による。端材を材料として使うこと自体は引き続き可能だが、それを30%の分子には数えられなくなる。

事実あわせて、機械的にリサイクルされた再生材についても第三者認証を義務化するかどうかの意見募集が、2026年5月18日から8月10日まで行われた。GOV.UKの説明によれば、目的は虚偽または誤った申告のリスクを下げ、証拠要件を標準化することである。

分析この三つは、同じ論点の表と裏である。マスバランスの算入は「数えられる再生材の範囲を広げる」措置である。認証の義務化と工程端材の除外は「数え方を絞り込む」措置である。範囲を広げるほど、証明の厳密さが制度の信頼を左右する。分析再生材を供給する立場から見れば、ここが商機と負担の両方になる。化学的リサイクル分が数えられるようになるのは追い風である。一方で、工程端材に頼って30%を満たしてきた包装は、2027年4月に前提が変わる。認証・トレーサビリティの体制を先に整えた事業者ほど、この変更を機会として使いやすい。

オランダ|複合プラの化学変換、初号機の基本設計にサイペムが参画

事実需要側の制度が試験にかけられている一方で、供給側では設備計画が前に進んでいる。2026年8月19日、伊サイペム(Saipem)は、カナダのアデュロ・クリーン・テクノロジーズ(Aduro Clean Technologies)から、オランダのケメロット工業団地(シッタート=ヘレーン)に計画される初号商業設備について、基本設計と調達支援の役務を受注したと発表した。対象となるのは同社独自のハイドロケモリティック法(Hydrochemolytic™。水を反応媒体として比較的低温で複合プラスチックを分解し、化学品・石化製品の原料に変換する方式)を用いる設備で、初期処理能力は年1万トンとされる。

報道アデュロ側の発表によれば、この初期段階(Early Works)の費用は既存の手元資金で賄う想定であり、追加の資金調達を必要とするとは見込んでいないとしている。今回の段階を経て、その後の詳細設計・建設・試運転へ進む可能性がある。事実また同社は2026年6月9日に、次世代プロセス(NGP)のパイロット設備の運転結果を公表している。原料は廃プラ由来のポリプロピレンで、起動・停止を除いて47時間の連続運転を行った。定常運転域での液体炭化水素の回収率は86%、回収された液体分のうち約85%が炭素数20以下、すなわちナフサ分解炉に投入できる範囲だったとしている。分析この二つを掛け合わせると、投入したポリプロピレンの約73%相当がこの範囲に入る計算になる。ただしこれは本記事による換算であり、同社の発表値ではない。

分析本サイトが前回の海外トレンド記事で取り上げたとおり、欧州のケミカルリサイクルは稼働停止や計画見直しが相次いでいる。そのなかでこの案件が前に進んでいる理由を、公表資料だけから断定することはできない。ただ、発表内容から読み取れる特徴はいくつかある。ひとつは、初期段階の費用を手元資金で賄うとしている点で、資金調達の成否に工程が左右されにくい設計になっている。もうひとつは、パイロットで得た収率の数字を先に示したうえで基本設計に入っている点である。分析とはいえ、基本設計への着手は最終投資判断ではない。案件を評価する側としては、この段階を「建設が決まった」と読まないことが重要になる。

日本の実務にどう関係するか

米国向けに容器包装を出している場合

分析オレゴン州・カリフォルニア州のEPR制度は、州内で販売される製品の容器包装を対象とし、ブランドオーナーや輸入者を「生産者」として捕捉する設計になっている。したがって、日本から米国向けに製品を出荷している企業や、その包装材を供給している企業にとって、登録・報告・手数料の義務は他人事ではない。今回のオレゴン判決で確認されたのは、この義務が訴訟で消える見込みが当面は小さいということである。加えて実務的に効くのは、NAW会員企業に対する執行停止が解除された点である。取引先が同協会の会員であれば、猶予されていた登録・報告・支払いが動き出す。その連絡が日本側の供給元にも回ってくる可能性がある。両制度の詳細は、本サイトの米国オレゴン州Recycling Modernization Actおよび米国カリフォルニア州SB 54包装EPRの解説ページでも扱っている。

分析一方でカリフォルニアについては、2027年1月15日の審尋という分岐点が明確に置かれている。ここで全面差止めが認められれば、登録・報告・手数料の実務はいったん止まる可能性がある。認められなければ、CAAの最初の請求が2027年初頭に動き出す。どちらに転んでも作業が発生するため、対応スケジュールには「差止めが認められた場合」「認められなかった場合」の二本立てを置いておくと、社内調整が滞りにくい。

英国向け、および再生材を供給する場合

分析PPTは英国への輸入時点でも課税されるため、日本から英国向けに包装済み製品や包装材を出している場合、取引先から再生材30%以上の証明を求められる場面が増えうる。今回の統計が示すのは、その証明をめぐる要求が厳しくなる方向にあるということである。認証の義務化が意見募集にかけられたこと自体が、現在の自己申告ベースの運用に対する見直しの動きだからである。証明書類の様式・保存期間・第三者検証の有無を、取引先ごとに整理しておくと後の手戻りが減る。

分析もう一つ、2027年4月1日に効いてくる変更がある。製造工程で出る端材(消費前廃材)が、PPTの30%要件の算入対象から外れることである。工程端材を配合して30%を満たしてきた包装は、この日を境に計算が変わる。英国向けに包装材を供給している場合、取引先から市中回収由来(消費後)の再生材への切り替えを求められる場面が出てくるかもしれない。逆にいえば、消費後材で規格を満たせる再生事業者にとっては需要が生まれる方向の変更である。
(消費後材は異物や汚れの度合いが工程端材とは異なるため、選別・洗浄の工程設計が品質を左右します。FENの光学選別機とはプラスチックリサイクル関連コラムもあわせてご覧ください。)

分析油化(ケミカルリサイクル)に関わる立場では、同じ日に始まるマスバランス算入が分かれ目になる。「技術的にリサイクルできる」ことと「制度上、再生材として数えられる」ことは別問題であり、後者が決まって初めて需要が値段を持つ。英国では算入が決まり、しかも独立した認証スキームの認証取得が条件とされている。EUのPPWRでも同様の論点が扱われている。油化案件を評価する際には、収率や運転実績と並べて「その生成物が仕向け先の制度で再生材として数えられるか」「そのための認証を取れるか」を確認項目に加えておきたい。

国内の制度議論との重なり

分析日本では、2026年8月21日に約4年9か月ぶりに再開した中央環境審議会・産業構造審議会の合同会議のもとで、9月15日・29日から3つのタスクフォースが動き出す(本サイト国内トレンド記事で解説)。そのうちの一つは再生プラ・バイオプラの価値創出、すなわち再生材の需要をどうつくるかを扱う。今回の英米の動きは、この議論に対して具体的な材料を提供する。英国は税という手段の効き方の実績値を示し、米国は制度を続けるための法的な条件を示した。いずれも、日本で同種の議論を進める際に「何が起きうるか」を先に知る手がかりになる。

3つの動きに共通する視点

分析今回取り上げた出来事は、いずれも再生材の需要をつくる側の話である。米国の2件は「制度を続けられるか」という問いで、司法の場で扱われた。英国の1件は「制度が効いているか」という問いで、統計の形で答えの一部が出た。そしてオランダの1件は、その需要を前提に供給側の設備が設計段階へ進んだという話である。

分析3つを並べて見えてくるのは、再生材の事業性が、価格や技術と同じ比重で「制度がどう決まるか」に依存しているという構図である。オレゴンの判決は制度の継続可能性を一段高め、カリフォルニアの申立ては制度が別の規則に依存している場合の脆さを示した。英国の統計は、価格差が大きい局面では税だけで行動を変えるのに限りがあることを示唆し、その先に義務化やマスバランス算入という設計変更の議論が続いている。

分析事業判断としては、再生材の販売計画を立てるときに「この需要はどの制度に支えられていて、その制度はいつまで、どの範囲で有効か」を一行でも書き添えておくと、見立ての精度が上がる。制度が変わったときに、計画のどこを直せばよいかがすぐ分かるからである。

📎 出典

Waste Dive「Oregon EPR law doesn’t violate Constitution, judge rules」(2026-08-27の判決。判事名・当事者コメント・判決の分量)→ The National Law Review「Oregon Judge Upholds EPR Scheme in Full Against Constitutional Attacks」(争点整理・「明らかに過大とはいえない」という判断・他州への影響)→ Oregon Capital Chronicle「Federal judge will decide future of Oregon’s new package recycling law by end of August」(2026-07-17。5日間の審理と判断時期の予告)→ The National Law Review「17 State Attorneys General Ask Court to Suspend California’s Entire EPR Law」(仮差止め申立ての6つの主張・審尋期日2027-01-15・コギンズ判事・救済の範囲)→ Packaging Dive「California EPR lawsuit escalates as forthcoming Oregon ruling looms」(修正訴状とSB 343差止めの接続・NAW担当者のコメント)→ Packaging Dive「17 Republican AGs suing over California packaging EPR law」(2026-06-22。提訴の当事者・被告・主張)→ GOV.UK/HMRC「Plastic Packaging Tax (PPT) statistics commentary」(公的一次情報、2026-08-27公表。税収・申告総量297.0万トン・課税110.7万トン・免税軽減186.3万トン・再生材30%以上150.6万トン・輸出等33.7万トン・医薬品用2.0万トン・登録5,142社、および前年度比較の出所)→ GOV.UK「Plastic Packaging Tax (PPT) statistical publication(統計公表の告知)」(公表日2026-08-27・対象年度の確認)→ GOV.UK「Plastic Packaging Tax: mass balance approach and removal of pre-consumer plastic」(公的一次情報、2025-11-26。2027年4月1日からのマスバランス算入・認証取得が条件である旨・消費前廃材の除外・根拠法の出所)→ GOV.UK「Plastic Packaging Tax: steps to take」(公的一次情報。税率223.69ポンド/228.82ポンドの適用期間・10トンの登録閾値・納税義務者の出所)→ GOV.UK「Plastic Packaging Tax: potential certification for mechanically recycled plastic packaging」(公的一次情報。機械的リサイクル材の認証義務化に関する意見募集)→ Packaging News「One third of plastics taxable under PPT – with revenues dropping to £250m」(2026-08-28。ガジョン氏のコメントの出所)→ Energy Live News「Recycled plastic progress stalls as tax pressures grow」(2026-08-28。インフラに関するコメント)→ Saipem「Saipem selected to support the development of an advanced chemical recycling plant in the Netherlands」(当事者公式、2026-08-19。役務範囲・年1万トン・立地)→ Recycling Today「Aduro selects Saipem for hydrochemolytic technology facility support」(初期段階の費用を手元資金で賄う旨)→ Aduro Clean Technologies「Aduro Reports NGP Pilot Plant Campaign Results, Achieving 86% Liquid Hydrocarbon Yield」(当事者公式、2026-06-09。47時間連続運転・液体回収率86%・回収液の約85%が炭素数20以下)→ DLA Piper「Oregon EPR: District court issues preliminary injunction partially halting the Plastic Pollution and Recycling Modernization Act」(2026-02。仮差止めの発令日・対象範囲・1日1件あたり最大2万5,000ドルの制裁金の出所)→
情報取得日:2026-08-29。出典の性質について:GOV.UK(英国政府・HMRC)、Saipem、Aduro Clean Technologiesは公的側または当事者の情報にあたる。Waste Dive、The National Law Review、Packaging Dive、Packaging News、Energy Live News、Oregon Capital Chronicle、Recycling Today、DLA Piper(法律事務所の解説)は二次情報である。英国の数値は、報道ではなくHMRCの統計本文(GOV.UK、2026年8月27日公表)を出所としている。確認できていない点:①オレゴン州判決(71ページ)およびカリフォルニア州の訴状・仮差止め申立書の原文には直接あたれておらず、争点・判断理由の記述は報道および法律事務所等の解説に依拠している。判事の発言は報道が引用した部分の趣旨を訳出したものであり、逐語訳ではない。②カリフォルニア事件の仮差止め申立日は媒体により2026年8月20日と21日に分かれており、本記事はいずれかに確定していない。③再生材30%以上のシェア(2025/26年度50.7%、2024/25年度50.0%)は、HMRCが公表している量を申告総量で割った本記事による算出値であり、HMRCが公表している比率ではない。④「容器包装EPR法が憲法上の攻撃に耐えた初の連邦地裁判断」という位置づけは、The National Law ReviewおよびWaste Diveの記述によるものであり、公的機関が確認したものではない。⑤英国の再生材含有率の下限(PET・HDPEボトル75%等)に関する提案は業界事業者の見解であり、英国政府の方針として決定されたものではない。⑥アデュロの案件について、最終投資判断・総事業費・稼働予定時期はいずれも公表されていない。本文中の「投入したポリプロピレンの約73%」は、公表された86%と85%を掛け合わせた本記事による換算値であり、同社の発表値ではない。⑦オレゴン判決に対するNAWの控訴の有無、およびコロラド州の訴訟の期日等の進捗は本記事執筆時点で確認していない。⑧出典に挙げたURLのうち、本記事が本文まで取得して確認できたのはWaste Dive、The National Law Review(2本)、Packaging Dive(2本)、GOV.UK(統計本文・統計告知・マスバランス政策文書)、Packaging News、Energy Live News、Saipem、Aduro Clean Technologiesである。Oregon Capital Chronicle、Recycling Today、DLA Piperの各記事は本文の取得に至らず、記載内容は検索結果に表示された要旨および他媒体との突き合わせによる。更新の可能性:本記事は2026-08-29時点の情報である。カリフォルニア州SB 54の審尋(2027年1月15日)、オレゴン判決に対する控訴の有無、英国の機械的リサイクル材の認証義務化に関する結論により、状況は変わりうる。投資判断・法的判断の前には最新の一次情報をご確認ください。 本記事はFEN公式サイト「業界トレンド(投資動向-海外)」の自動生成ルーチンによる下書きです。

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