リサイクルを用いた最強ビジネスモデル

リサイクルを用いた最強ビジネスモデル

プラスチックリサイクルのビジネスについて、「これが一番理想だよなあ」と思うモデルがあります。市場での競争力も高まり、収益力も高まります。

参考事例として以下にまとめてみたいと思います。

【動画解説】ページの一番下にこのページの動画版があります

SDGsとか、脱炭素とか、循環型社会であるとか、最近は以前より地球環境の保全に前向きな言葉が目立つようになりました。

こういった背景で今かなり大手の企業でもですねいろいろなリサイクルを取り入れたビジネスモデルを構築しています。(もっと早く気付こうよ、、、地球はすでに大ピンチですよ、、、とは思いますが)

自社の商品をどのように循環して回していくかについて真剣に取り組みが始まっています。

リサイクルを取り入れた最強ビジネスモデルとは?

知りうる限りで最も成功しているモデルは、自社商品を回収してそれの原料を、繰り返し自社の製品として生産するモデルです。

こういうビジネスモデルの構築ができたところは、何社か事例を見ていますが、最強です。
だいたい市場のシェアを握ることが多く、収益力も同業者に水をあけているようです。

参考記事:
プラスチックリサイクル業界の主要プレーヤーは誰?
プラスチックリサイクルビジネスの収支計画の立て方

周りに引きずられて環境対策している程度では伸びない

企業の対応のなかでも、2種類あるように思います。

ひとつは、周りの環境の変化に対応するために「うちもやらないと取り残される」という姿勢で引きずられるように対策している企業。

もう一つは、リサイクルを逆に他社との差別化の強み、収益力の強化の強みとして積極的に取り組んでいる企業。

リサイクルをビジネスモデルに取り入れるということは、原料を実はとても安く仕入れ、安い原料費で商品として繰り返し販売できるという部分を活かしています.

このリサイクル可能な商品を開発し、ビジネスモデルを確立することが出来れば、他社よりも圧倒的に利益率の高い強い会社になることができる可能性があるんだということを、是非ご理解いただきたいと思います。

エフピコの事例ご紹介

一番素晴らしいリサイクルモデルを構築しているのはエフピコさんです。

スーパーに行きますと魚売り場やお肉売り場でトレイをみかけると思いますが、あの白いトレイを販売している大手がエフピコさんです。

スーパーには、白いトレイを回収するボックスが置いてあるかと思いますが、エフピコさんは商品の納品時に、あのボックス内の使用済みトレイを一緒に回収しています。

回収されたトレイはエフピコ自社のリサイクル工場に送られて、選別→粉砕→洗浄→ペレタイズを一気通貫で行います。このペレットを自社の原料として使用してまた製品を製造しているのです。

参考記事:再生原料がバージン原料にかなわない8つの特徴とは?

ところで、こうしてエフピコさんは自社で回収して食品用のトレイとして再度製造しているのですが、実はリサイクル材は食品用途には使用は難しいのです。

再生原料は食品と接触する部分に使用することはできないのですが、ここで一工夫あるのです。

エフピコさんは、再生原料をあんこ材として、シートの真ん中に利用しているのです。両端の食品が接触する層はバージン原料を使用しているのです。そういう製造方法を工夫して自社商品に綺麗に循環させて回すモデルを構築できたわけです。

エフピコさんはこれで大きく業界内でシェアを伸ばし、30-40%程度に成長したのではないでしょうか。

ここまでできると、商品の原料コストも安くなり、収益性もアップします。加えて、消費者と直接商売をするスーパーのようなところは環境への取り組みをアピールする必要があります。そのニーズにも応えています。

もちろん、エフピコさんの成長は他にも様々な戦略があったわけですが、そのなかに環境戦略もしっかりと包含していたということになります。

自社ですべてリサイクルも行い、原料まで製造していると、その収益力は他社を引き離し、粗利率で35%となっています。リサイクルがビジネスモデルにここまで綺麗な形でできている会社はまだ少ないですが、このようなモデルが普及していくことを願っています。

他業種でもリサイクルを取り入れて勝ち組になる事例多数

その他にも、急激にシェアを伸ばす会社の背景に、リサイクルをビジネスモデルに組み込んでいるケースを見かけます。

産業資材のストレッチフィルム、半導体のトレイ、物流資材のパレットなど、圧倒的なシェアの裏側を見るとリサイクルを活用している例が多いという、共通点があります。

ぜひ皆さん、ちょっと注目して周りを見ていただいて、自社が商品開発するビジネスを新しく構築し直す時に、循環型のシステムを作っていくということを念頭において取り組みをしていただければと願っています。

循環型モデルのポイントは?

循環型モデルのポイントとなる点があります。

それはスクラップ(使用済み製品)の回収をする際の「物流」です。

例えば、先ほどのエフピコさんの事例で言えば、彼らがリサイクルしている発泡トレイは非常に比重が軽く、物流の効率が悪いものです。通常であれば、回収コストだけで大変な負担となって循環モデルは構築できないはずです。

しかし、エフピコさんは、自社製品を自社配送していたのです。

商品を配達した空きスペースに回収したスクラップを積載すれば、物流コストはゼロです。

一方、同業の他社は物流を他社に任せていたために、帰り便の利用をしてもコストがかかってしまいます。

商品を自社配送しており、帰り便を有効に使えるかどうか

これは自社で循環システムを構築する上では大きなポイントになると言ってよいでしょう。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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