再生したプラスチック原料を誰に売っていくのか、ということについて述べていきます。
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何かの形で仕入れたスクラップ材料をスクラップのまま転売する、あるいは加工して粉砕品またはペレットで販売する、どちらでもいいので、なんらかの方法でマネタイズするには、販売先をもっていないとできないわけです。
で、一体誰に売っていくかというところになります。
考えられるのは以下の販売先になります。
参考記事:プラスチックスクラップの仕入れに必要な検討ポイントとは?
ユーザーに直接販売する
まず一番簡単なのが、加工もせずに横流しでユーザーに売ることです。この場合のユーザーはリサイクル業者ということが多いと思います。
これは一番安易な方法ですね。再生材を使うところに販売をしていくのですが、プラスチック再生業者がどのような樹脂を必要としているかの情報があれば成り立ちます。
ユーザー(製造業者)が直接再生原料をスクラップで購入する場合もありますが、ノウハウない方がユーザーに直接販売するのは、実はいろいろな困難といいますか、現実的でない部分もあります。スクラップについてもよく理解をしていないとトラブルの元になったり、別のバイヤーに売ろうとして騙されたりということになります。
そもそも、大手のユーザーに入り込んで商談ができるのかっていうところも大きな問題です。プラスチックの物性のことや加工方法のこともある程度知らないといけません。配合の知識が必要になることもあります。
これからプラスチックリサイクルビジネスを始める人が突然ユーザーに販売するっていうのはなかなか難しいハードルであるので、では誰に売ろうかとなります。
コンパウンダーに販売する
コンパウンダーへの販売はどうでしょうか。コンパウンダーというのは誰かというと、エンドユーザーが望むプラスチックの物性に再生原料を配合したり改質する業者です。
このコンパウンダーに対して自分の原料を販売していくということも考えたいところですが、このコンパウンド業者に販売するにもそこそこの知識は必要になります。コンパウンド業者は直接、ユーザーに収めるので、品質に対してシビアです。彼らもユーザーからクレ-ムをもらっては商売になりませんから、仕入れる原料につける注文は厳しいのです。
商社やブローカーに売る
コンパウンド業者が難しいとなると、次はどういう人に売ったらいいのか。
例えばじゃあスクラップのままそれを商社やブローカーに売るのということになります。ブローカーとはいえ、彼らは誰がどんな材料を必要としているか理解しています。あなたが持っているスクラップを見れば、だいたいどこの工場に持っていけば買ってくれるかわかるのです。
プラスチックスクラップ(またはペレット)を海外に売る
あとはその次ですね同じブローカーやバイヤーに売ると言っても、国内でなく海外のブローカーに販売するという選択肢もあるわけです。
2018年ごろまでであれば、実は海外にスクラップをそのまま販売するという方法が一番手っ取り早い販売方法でした。
それも中国がプラスチックの輸入を規制してからは、徐々にスクラップの輸出業者は海外への販売は厳しくなりました。
更に、今は2021年ですがこの1月からバーゼル条約も運用が改訂されて、日本からスクラップを輸出することがかなり厳しくなったのです。
日本の通関が通らないという状態なので、今後プラスチックスクラップを海外に販売することを主体にビジネスプランを組み立てるのは、リスクがあると言わざるを得ません。やはり国内向けの販売ルートの構築を行うべきでしょう。
さらに、海外販売と言っても、ひとくくりにはできません。海外の単なるバイヤーに販売するのと、生産工場に直接販売するのでは、意味合いが違います。
当然、生産者に近いほうが、単価的にも高いですし、そのニーズも直接聞くことができます。一方で、資金の回収リスクなどについては注意が必要です。
海外にペレット販売する
さて、今度は海外にペレットを販売するお話をします。
スクラップは海外への輸出は厳しくなりましたが、スクラップを日本国内で再生加工して再生ペレットを製造すれば、海外に販売することは可能です。
再生ペレットの市場としては、何かと品質に厳しい日本より、ある程度おおらかな海外の品質基準のほうが再生原料の活躍の余地があると思われます。
再生ペレットを中国や東南アジアへ販売する
当然中国は再生ペレットの大消費地であることは間違いないです。
しかし、再生ペレットについても中国はこれまで規制を強めてきました。
なので色々注意する点はあると思います。
中国一辺倒だと、政策リスクがあるので、東南アジア諸国やインドあたりまで視野に入れておくといいかもしれません。
台湾、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、インドなども需要が旺盛です。
商売を始めたばかりのときは、こうした海外の商社やブローカーに向けて販売することで、まずはスタートするということでよいのではないでしょうか。資金の回収リスクなどにも注意をしやすくなります。
心配な方は、日本の業者経由で輸出するといいかもしれません。
弊社はリスク管理として、輸出案件については必ず前金でないと取引しないようにしています。
最初は商社やブローカーにしか販売できませんが、徐々に経験や知識が増えていくにつれて、エンドユーザーに近づいていくことができるようになります。
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