再生プラスチックの用途を樹脂別にお教えします

再生プラスチックの用途

プラスチックのリサイクル原料(スクラップやペレット)を誰に販売するか、これについては別のテーマでお話をさせていただきました。→参考記事 再生樹脂ペレットを誰に売るべきか?

今度は少し視点を変えて、どういう製品用途で売り上げを上げていくのかについて述べていきたいと思います。

【動画解説】ページの一番下にこのページの動画版があります

プラスチックの再生ペレットの種類別の簡単な製品用途へ事例をざっくりと整理してみたいと思います。

参考記事:再生樹脂ペレットを誰に売るべきか?

当然ながらプラスチックの種類は本当にたくさんあるのですが、その中で量で一番多いのは汎用プラスチックと言われる樹脂です。

PP(ポリプロピレン)であるとかPE(ポリエチレン)、それからPS(ポリスチレン)、ABS、PETなどです。

それ以外のものは数量としては、若干ボリュームが落ちるので、ここでは汎用プラスチックと言われるものについて、どういう用途なのかを大まかに解説させて頂きたいと思います。

PP(ポリプロピレン)

プラスチックパレット

ポリプロピレンの中で一番用途が多いのはプラスチックパレットです。

プラスチックパレットは物流資材のひとつで、段ボールなどをまとめて1100×1100の樹脂製の板にのせてハンドリングするわけですが、この樹脂製の板をパレットといいます。

これは昔は木が主体のパレットだったのですが、だんだんプラスチックに置き換わってきています。このプラスチックパレットは軽いもので7キロくらいから、重いもので30キロほどあります。

一枚でこれだけのPP樹脂を使用するわけですので、再生PPのビッグマーケットになります。

雨水貯留層

皆さんの目には普段触れないものですが、もう一つ大きなマーケットがあります。土の中に埋めて使用する製品なので、皆様が見ることはほとんどありません。

最近は豪雨であるとかですね洪水被害が増えています。このときに急激に水流が増すのですが、このとき水を地下に埋めた雨水貯留層の空壁に雨水が溜まって、急激な地域の増水を防ぐというものです。

異常気象が増えてますので、自治体なども公園や駐車場の下などに貯留層の設置を進めており、かなりの量が販売されています。

参考記事 プラスチックリサイクルビジネスの収支計画の立て方

雑貨

射出成形で雑貨関係にはかなり広くいろいろなものに使用されています。正に雑貨全般です。

WPC(建材)

WPCのWはWood、PはPlastic、CはCompsitで、樹脂と木粉の混合製品です。

木の粉を樹脂に51%混ぜて、合成木材にします。そのプラスチック側にこの PP が使われることが多く、そこでも利用はされております。

自動車部品

自動車部品にも一部使用されています。      

自動車部品は最も要求物性の厳しい分野のひとつで、再生原料だからといって、基準を緩めたりということはありません。本当に一級品のスクラップを完璧な製造工程で再生ペレットにしたものでないと納品できません。

しかも、だいたい営業を開始してから採用されるまで5年とも言われています。とてもハードルが高い分野ですが、需要量は増えつつあります。

参考記事:プラスチックリサイクル業界の主要プレーヤーは誰?
バンパーリサイクルの事業化について5つのポイントとは?

PE(ポリエチレン)

PEフィルム

一番大きいのはもう一度フィルムになる用途ということになります。

ただ、やはり材料の色が透明であれば、もう1回フィルムになることが多いです。

ただ、スクラップに色や印刷がありますと、黒にしかならないわけです。昔は日本ではゴミ袋は黒だったのですが、自治体が中身が見えるような袋にして分別の時の消費者の意識の向上を狙い、黒いゴミ袋がなくなってしまいました。

最近は全て透明になっており、黒いPEペレットの用途というのが限られてしまいました。

しかしながら、海外では、実はまだ海外でも黒いゴミ袋が結構一般的なので、実はゴミ袋になるには海外に持っていくっていうことがほとんどです。

参考記事:フィルム用の再生加工に最適なカッターコンパクター付き押出機について

シート(建材・敷板)

ポリエチレンがなるのは結構シートの用途が多いです。これは、建材や農業資材、敷板など、厚みは薄いものもあれば2センチくらいまでの厚いものもあります。

PS(ポリスチレン)

ポリスチレンの用途これはかなり幅広いですね。

家電製品の部品

複写機の部品

雑貨

額縁や写真盾

建材(窓枠、サッシ、断熱材、屋根下葺材)

ビデオカセット(昔の用途)

クリスマスツリー飾り

ABS

家電製品部品

雑貨

PET

繊維

卵パック

食品トレー(ボトルtoトレー)

PETボトル(ボトルtoボトル)

PETは今まで圧倒的に繊維用途かつ、海外が多かったのですが、最近では国内で大手企業がPETを大きなリサイクル工場に投資をして再生利用することが増えました。様変わりです。

これからリサイクルビジネスをスタートさせようという方が、少しでも正しい選択ができるように、かなり大雑把ではありますが、整理させていただきました。

ご参考になれば幸いです。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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