資源循環リサイクルがコケるパターン5つ!

資源循環、SDGs、脱酸素などの言葉を大変よく聞くようになりました。そのせいか、プラスチックのリサイクルに関するお問い合わせを非常に多くいただくようになりました。

特に大手企業からの問い合わせもかなり増えるようになってきたと感じています。しかしながら、ご相談はいただくものの、全部の案件が結果に結びつくわけではありません。

商品化できなかったり、あるいは資源循環さえもできなかったということもあります。
うまくいかないケースが実はほとんどです。

もちろん、結果を出せないのはこちらの力不足である場合もあります。しかし、結構多い失敗のパターンが、パターン化すると5つほどございます。

資源循環の試みがコケるパターン5つというのを挙げてみました。
「またこのパターンか」というのが多いのです。一つ一つ紹介いたします。

1)回収コストが見えていない

一番多いパターンが、このスクラップまたは使用済み製品の回収コストを最初に明確にしていないということです。非常に多いパターンですね。

自分たちが販売している製品を回収したいという相談は多いのですが、その回収はどうやるのですか?と聞くと、「宅急便で送ってもらって」「取りに行って」「お客さんに持ってきてもらって」などなど、回収に関わるハードルが高いアイデアを漠然としか持っていないのです。

回収コストの明確化を後回しにして、他のこと(分別テストやら、粉砕テストやら、ペレタイズテストなど)をワラワラと進めるわけです。

そして、諸々のテストがOKだとなったところで、「さて、回収はどうなるんだ?」と計算してみると、どうしても収支が合わない。どう計算しても、合わないのです。

我々のようなリサイクルを主業としている場合は、材料見て、かさ比重見て、数量を聞けば、「収支合うな」「これは合わんな」という判断が瞬時にできてしまうのです。

しかし、(これは仕方ないのですが)初めてリサイクルという事業に携わった大手企業のご担当者様は、皆目見当がつかない。我々ならハナから相手にしないような案件にいつまでも取り組んでいる。結局回収コストを最後の最後にして、バンザイと相成ります。

この回収コストが高いと、リサイクルは収支が合わないことがほとんどです。お客さんのところに散らばってしまっている本当に小さな製品を、わざわざどこかに持っていって回収する。あるいはそこに捨てに行く、捨てるというよりはリサイクルのために持っていく、という方法はなかなか実現がしづらいですね。

無理とは言わないのですが、ハードル高いというところです。

更に、例えば使用済みの製品が仮に集まったとしても、それがものすごく軽かったとします。かさ比重が軽いと、その輸送費は莫大なものになり、収支は合いません。かさ比重が軽いということもよくあることですので、その辺のソリューションも持って検討をしないと、上述のような形になります。

一番最初に回収コストは一体いくらなのか!というのを計画の最初によく整理してからご相談いただくと話が早いと思います。

あるいは、「回収コストが思ったより多いのですが、何かいい方法はありますか?」という相談で入ってきていただければ、その回収について解決しながらプロジェクトを進めることができるわけです。

では、コケるポイント2つ目にいきます。

2)樹脂を理解していない

使用されている樹脂がプラスチックということはご自身も分かってらっしゃるようです。しかし、そのプラスチックを「〇〇にしたいのです」、というよう要望がよくあります。

自社製品の樹脂がどういう樹脂で、どういう性質を持っていて、どういう製品に適しているのか理解すべきでしょう。無理難題に多くの時間をかけて、最後はやはりバンンザイ。

アイデアの否定はしたくはないのですが、「犬を猫にしたい」と言っているに等しいアイデアに固執するケースがあるのです。

たぶん、社内で盛り上がっちゃってしまって引っ込められないのでしょうか。上司が突っ走っているケースもありますね。

申し訳ないのですけどもやはり樹脂に関しては理解している方に聞いてアイデアを練り上げていった方がよろしいと思います。

3)全部自分で動こうとする

自分で動くこと自体は、全然悪くはないです。悪くはないし、むしろそういう心意気も大事なのです。

けれども、やはりサラリーマンだからでしょうか、ここで自分で動いて自分の人事考課を上げてやろう、とか成績を上げよう、という意識が働いているのか働いていないのかはわからないですが、とにかく全部自分でやろうとする方がいます。

ネットを探りまくって、見た情報を頼りに動き回っているのですが、ポイントが違ったり的を得ていません。

頼っているリサイクル業者、相談をしているリサイクル業者も実はピンキリなのです。プラスチックのリサイクル業者と言っても弁護士と一緒です。弁護士も国際金融報部に詳しい海外でバリバリ働く弁護士がいるかと思えば、離婚裁判の専門の人がいたり、消費者金融のお金がかえってきますといようなのばかりをしている弁護士事務所もあるわけです。

それぞれリサイクル工場によっても得意不得意があり、特徴があります。そもそも相談している会社が、僕らからすると「そこは違うぞ~」ということになります。病院でいうと、頭痛がするのに産婦人科に行っているような間違いをしていることが意外とあります。

是非、業界の事情を分かっている方に一度ご相談されて一緒に動くとか、そういうことをされた方が時間が無駄にならないで済むのではないかなというように思います。

4)アップサイクル症候群

再生する商品を、高品質な商品で計画してしまう。これは今新しい言葉、僕らがリサイクル始めた時にはなかったのですけれど「アップサイクル」なんて言われていますね。

アップサイクル、今あるプラスチックの材料よりも付加価値の高いものにしてリサイクルしていく、、、そんな考え方なのです。

「弊社はアップサイクル目指して頑張りたいと思います」と言うのですけれど、これは無理とは言いませんけれどこれはハードルが高いわけです。

おそらく「アップサイクル」とかいう言葉に煽られて、「何か付加価値をつけなきゃ!」と考えて、全然樹脂の種類が違うプラスチック製品を候補に入れてくることがあります。

「どうしたらいいでしょう?」と言われるのですが、弊社にもわかりません。わかっていればやっています。

「今よりいいものにして下さい、付加価値の高いものにして下さい」と言いますが、それが分かっていれば自分でやって自分でビジネスにしています。人に教えるわけがないのです。

徐々に初めてやっていくのならよいのですが、最初から難しい目標を目指してしまってフリーズして動けなくなり、バンザイ、です。こういうアップサイクルを最初から目指されると、相談された僕らもフリーズです。

5)情報開示がない

結構あります。情報を開示しない。もう秘密でガチガチなのです。

大手さんなので別に悪くはないのですけれど、こちらがリサイクルに必要だなと思うポイント、リサイクルできるかどうかを判断する、あるいはそのプランを立てるのに必要な情報を聞こうと思ってお伺いをするのですけれども、「それは言えません」とか「それはまだ秘密保持契約を結んでからです」とか、、、

相談に来ていながらそれはないのではないかな?という気がします。
こういう方が来たら、ミーティング後はこちらから連絡せず放置ですね。

資源循環リサイクルがコケるポイント5つ、半分愚痴っぽい感じでしたが、こういうことがよくあります。最近は慣れてきて、電話がかかってくると、「このパターンかな?」という匂いがするのです。

高品質な商品を計画というのは、これは難しいのですけど、その他に関してはだいたいお話を聞けば整理して差し上げることができると思います。

なにがなんでも自分でやる、人に情報を与えないで自分でやる!ということではなくてオープンにお話することが許される会社に関しては、ぜひ弊社の方にもご一報いただいてご相談いただければ頑張って、微力ながら相談に乗らせていただきたいと思います。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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