ケミカルリサイクルの前処理になぜフィルターが必要?欧州熱分解プラントの導入事例

FIMICレーザーフィルターと再生プラスチック
FIMICレーザーフィルターと再生プラスチック
ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルの前処理になぜフィルターが必要?欧州熱分解プラントの導入事例

結論から言うと、ケミカルリサイクルのプラントには「前処理」が欠かせません。

FIMIC
熱分解プラント

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ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを化学的に分解して再資源化する方法の総称です。油化・熱分解・エネルギー利用などが含まれます。前処理とは、原料をリアクター(反応装置)に入れる前に行う工程のことです。

理由はシンプルです。プラントに集まる廃プラスチックは、汚れた混合ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンが混ざった廃プラ)だからです。異物が多く含まれています。異物を取り除かずにリアクターへ送ると、部品の摩耗や破損、廃棄物の増加につながります。

この記事では、FIMIC社(イタリア、レーザーフィルターの製造元)へのヒアリングをもとに解説します。欧州の熱分解プラントで実際に組まれている前処理ラインと、そこでのレーザーフィルターの役割を紹介します。

ケミカルリサイクルとは

ケミカルリサイクルとは?

ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを化学的に分解し、油や原料ガスなどに変えて再利用する方法の総称です。主な種類は次の3つです。

1TYPE
油化
廃プラスチックを熱で分解し、石油に近い油に戻す方法
2TYPE
熱分解(パイロリシス)
酸素のない状態で加熱し、プラスチックを油やガスに分解する方法。油化の一種として扱われることもあります
3TYPE
エネルギー利用
焼却時の熱を発電や熱源として活用する方法

これに対して、廃プラスチックを溶かしてペレット(粒状の原料)に成形し直す方法もあります。こちらは「メカニカルリサイクル」と呼ばれ、区別されています。今回取り上げるのは、このうち熱分解プラントの事例です。

前処理の必要性

なぜ前処理が必要なの?

熱分解プラントに投入される廃プラスチックは、汚れた混合ポリオレフィンであることがほとんどです。

異物が多いまま原料を溶融してリアクターに送ると、次のような問題が起こります。

リアクター内部の部品が異物で摩耗・破損しやすくなる
異物がそのままリアクターから排出される廃棄物として残ってしまう

FIMIC社によると、欧州の熱分解プラントでは前処理の工程を組むのが一般的とのことです。原料をリアクターに送る前に、異物を減らしておく工程です。

前処理ライン

欧州の熱分解プラントでは、どんな前処理ラインが組まれている?

FIMIC社へのヒアリングによると、欧州の熱分解プラントの前処理は、おおむね次の流れです(2026年8月時点の情報)。

1STEP
予備洗浄
強力な洗浄ラインではなく、簡易的な予備洗浄で大まかな汚れを落とす
2STEP
押出機への投入
カッターコンパクター(原料を切断・圧縮しながら投入する装置)付きの押出機(原料を溶かして押し出す機械)に投入する。脱ガス機能の有無は問わない
3STEP
押出機内にレーザーフィルターを設置し、粗大な異物を取り除く
4STEP
溶融配管を通ってリアクターへ
メルトポンプ(溶融樹脂を送り出すポンプ)の有無は問わず、溶融した樹脂は配管を通って熱分解リアクターに送られる

ポイントは、この前処理の目的です。「完璧に異物を取り切る」ことではなく、「リアクターを守れる程度まで粗大な異物を落とす」ことを目指しています。

レーザーフィルターの役割

前処理の中でレーザーフィルターはどんな役割を果たす?

前処理ラインの中で、FIMICレーザーフィルターが担っているのは「粗大な異物の除去」です。

熱分解向けの用途では、一般的なメカニカルリサイクル用途よりも粗いろ過が使われます。FIMIC社によると、目安は次のとおりです。

2000ミクロン10メッシュ
1500ミクロン14メッシュ

これは、細かい異物を取り切ることより、リアクターを傷める粗大な異物の除去を優先した設定です。

なお、繊維やアルミ箔、金属粉など、こびりつきやすい異物が特に多い原料の場合は、標準グレードでは目詰まりの間隔が短くなりがちです。そうしたケースには、フィルター前面のバルブから異物を数秒で強制的に排出できる「強制排出ピストン」を備えたFCSグレードが適しています。スクリーン交換の間隔を延ばせる設計です。

FIMIC(イタリア)
FIMICレーザーフィルター
前処理ラインの粗大異物除去に

FIMICレーザーフィルターは、レーザー加工の鋼板を使ったフィルターです。詰まった異物を自動で掻き取り、バルブから排出する仕組みを持っています。押出機1台ごとに設置できるため、既存の熱分解プラントの前処理ラインにも組み込みやすい点が特徴です。

FIMICレーザーフィルターの詳細・資料請求 →

なお、この前処理ラインで使われる押出機や予備洗浄設備も取り扱いがあります。FENではPolystar社の押出機洗浄ラインとしてご紹介しています。

対象となる方へ

あなたの会社にとって、これは何を意味する?

ケミカルリサイクル(熱分解)プラントの新設・増設を検討している方へ前処理ラインの構成、リアクターを守るためのフィルター選定についてご相談ください。
既存の熱分解プラントを運営している方へリアクターの摩耗や排出廃棄物の増加にお悩みの場合、前処理ラインの見直しが解決の糸口になることがあります。
まとめ

まとめ

要点の振り返り

  1. ケミカルリサイクル(油化・熱分解・エネルギー利用)のうち、欧州の熱分解プラントでは前処理が標準的に組まれている
  2. 前処理は「予備洗浄→押出機→レーザーフィルター→溶融配管→リアクター」という流れ
  3. レーザーフィルターは2000ミクロン(10メッシュ)や1500ミクロン(14メッシュ)という粗いろ過で、リアクターを守るための粗大異物除去を担う。異物が特に多い場合はFCSグレードが適している

次のアクション

ケミカルリサイクルプラントの前処理設計やフィルター選定について相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください。

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本記事は2026年8月時点でFIMIC社(イタリア)へのヒアリングにより確認できた情報にもとづいています。プラントの設計や設備仕様は導入先ごとに異なるため、具体的な検討の際は個別にご相談ください。

業界への影響

📌 この内容が最も影響する業界ポジション

  1. 第一位:プラスチックリサイクル業者(ケミカルリサイクル事業者を含む)(理由:熱分解プラントの前処理設備を検討・導入する立場のため/直接影響)
  2. 第二位:素材メーカー(樹脂メーカー)(理由:ケミカルリサイクルで得られる油・原料の品質向上に関わるため/間接影響)

参考文献・出典

  • FIMIC社(イタリア)へのヒアリング(2026年8月)
  • FEN公式サイト「FIMIC レーザーフィルター FCS」製品ページ(強制排出ピストンの説明部分)
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