サージングとは
サージングが起こる原因について説明をしてみたいと思います。 サージングというのは、押出機のダイスの穴から、樹脂が出てくるわけです。ここから出てくる樹脂の量が多くなったり少なくなったりする現象のことをサージングと言います。 ※ページ下に動画あり
サージングが起こる原因
ストランドタイプの場合は、ここから出てくるスパゲッティ(ストランド)が、太くなったり細くなったりするということになります。
この現象がどうして起きるかというと、実はこのシリンダーの中の圧力が高くなったり低くなったりすることが原因になります。
この圧力差がサージングの原因というわけなのです。 なぜこの圧力が高くなったり低くなったりするのか、そこに原因があります。
材料を平均的に投入していない
一つ考えられるのは、材料の投入が多かったり少なかったりする時にサージングが起こるわけです。 単純に、投入する材料の多い少ないでシリンダー内部に圧力差が生じることになります。
機械にしろ、人手で投入するにしろ、回転している押出機のスクリューに均等に材料を食い込ませることが大事です。均等に入れないと、均等に出てこないのです。
スクラップが濡れている
もう1つの原因として多いのは、材料が濡れていたり、水分が入っていたりするとサージングが非常に起きやすくなります。
考えてみていただきたいのですが、水分がこのスクリューの中に入ってしまったとします。すると水はこの中スクリューの中に入ってしまいますと、この中で100度以上になった時に気化し、その体積は1700倍になります。
シリンダーの狭い空間の中で、水が気化して体積が大きくなります。その水蒸気によって圧力が高い所と低い所が出てくるわけです。
すると、シリンダーの末端のダイス付近でも圧力が安定せずに、サージングが起こることになります。
参考記事:
スクラップの印刷インクが多い
水分だけでなく、樹脂に印刷された印刷インクなどはガスを多く発生することはリサイクル業界ではよく知られています。
水が水蒸気になるように、インクの気化成分がシリンダーの内部で膨張します。
このため、シリンダー内部に圧力差が生まれて、ペレットの発泡やサージングの原因となります。
異なる樹脂の流れ(MI)が異なる
異なる材料を混ぜていても、ブレンドが均質でないときなども、樹脂の流れ(MIまたはMFRといいます)が高い材料と低い材料がシリンダーの中で圧力差を作ってしまう場合があります。
樹脂の流れが高い材料は水のようにスーッと流れるし、流れが低い材料だとドロドロしているのでなかなか流れなかったりします。 ここにシリンダーの内部に圧力の差が生まれてくるわけです。
この差が生まれてきますと、シリンダーの中を通って材料が先端に来たときに太くなったり細くなったりするわけです。 これがサージングの原因になるということになります。
異物が多すぎる
プラスチックリサイクルの現場では異物の多いスクラップを扱うケースもあります。その中で、異物が多いスクラップの場合、スクリーンメッシュがしょっちゅう詰まることになります。
その詰まる前(スクリーンメッシュを交換した直後)と、どんどんメッシュが詰まっていく過程で、シリンダー内の圧力が変動してしまいます。
異物のメッシュ詰まりを原因としてもサージングは発生します。
参考記事:産廃系プラスチックをペレットの発泡を抑えてペレタイズした事例紹介の記事
ペレット発泡の原因となる物質が混入したとき
上記の水やインクは代表的な発泡の原因となるものですが、他にもシリンダー内でガスを発生させる物質はあります。
例えばPVCなどは100℃以上でガス化しますが、通常の樹脂の加工温度は200℃前後です。するとこのPVCも気化します。
上述のスクリーンメッシュに溜まった異物がスクリーン表面で高温のため炭化すると、やはりガスが発生します。
こういったガスはサージングの原因となり得るのです。
スクリューの摩耗
長年の使用、または摩耗を促進する材料(炭カルやグラスファイバー)を加工することでスクリューは減っていきます。
この摩耗したスクリューは均一な圧力で樹脂を押し出すことができなくなります。そこに圧力の不均一が発生し、サージングとなります。
ということで、このサージングに対して対策をしていかないと安定した粒径のペレットができないということになるわけです。
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