破砕機と粉砕機の違いについて、6つのポイントとは?
破砕機と粉砕機について、「どう違うのか、正直わからない」という方もいるかと思います。
日本語としてはほぼ同じように思いますが、プラスチックリサイクルの前処理としてはしっかり区別しておく必要があります。このページではその違いについて解説します。
破砕機 | 粉砕機 | |
切断の大きさ | 20mm~300mm | 2mm~20mm 2mm以下は微粉砕 |
減速機(ギア) | あり | なし |
金属混入 | 可 | 不可(アルミや銅は少量なら可) |
タイプ | 一軸式、二軸式、プッシャー式、スクリュー式 | 高速一軸式、プッシャー式 |
用途 | 廃棄物の一次処理、粗大ゴミや大きな成型品の一次処理 | プラスチックリサイクルで押出機へ投入するための前処理 |
目的 | 粉砕するための一次処理 | 押出機に投入するために粒度を揃える |
破砕機と粉砕機の切断の大きさの違い
破砕機の場合
20mm~300mm程度までの大きさになります。
100mm以上だと粗破砕と言った方がいいかもしれません。
二軸破砕機などが粗破砕に用いられることが多いのですが、二軸破砕機の場合の破砕粒度(大きさ)は刃の幅と長さによってきまります。
幅を広くすれば破砕物は大きくなりますし、細い刃であればより細かくなります。
大きな破砕ですと、かさ比重も大きく輸送効率なども悪いことから、大抵は2次工程として粉砕を行うことが多いです。2次工程で使用する粉砕機のパワーが大きければ破砕物は大きいまま投入しても大丈夫です。
しかし、2次工程の粉砕機のパワーが小さい場合などは投入する破砕品も小さく(あるいは少なく)する必要があります。
粉砕機の場合
プラスチックリサイクルの世界では、最終に押出機に材料を投入する大きさは8mm~15mm程度の粒度にする必要があります。破砕機は、一発でその大きさにできないときに粉砕機の前処理として粗く破砕します。
粉砕機を使用した場合の粉砕物の粒度(大きさ)は、粉砕機の刃の下部になるスクリーン(網のこと)によって規定されます。
スクリーンの穴径を大きくしたり小さくしたりして、粉砕品の大きさを決めていきます。
通常であれば粉砕工程の次工程は押出工程(造粒工程)であることが多いのですが、そのスクリューの溝に食い込む大きさである必要があります。
100mm以上の系のスクリューであれば15mm程度の粉砕品でも構いませんが、20-30mmの細いスクリューですと粉砕品の大きさが15mmでは大きすぎます。
粉砕は次工程の機械を考慮して行う必要があります。
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減速機についての破砕機と粉砕機の違い
破砕機の回転速度
基本的に減速機を使用しています。減速機を使用することでトルクが上がり、スピードは遅いですが大きなものや固いものもパワフルに破砕することができます。ある程度の大きさにできればいいので、スピードも必要ありません。
スピードも速くないことから、騒音も粉砕機よりは小さくなります。
粉砕機の回転速度
一方、粉砕機は細かくしなくてはならない分、高速で回す必要があり、減速機は使用しません。プーリーでモーターの力を回転軸に伝えています。
高速で回る分、不可が高すぎる大きなものや塊などには不向きです。ある程度破砕機で前処理されて負荷が軽くされたものを高速で細かくするのが粉砕機です。
高速で回転しているので、材料が粉砕される際の音は大変大きくなります。1m離れて横に立っていると会話することは難しいです。
破砕と粉砕処理時の金属混入は可か不可か?
破砕機への金属混入
減速機を使って相当パワーがあるため、金属が混入しても切断してしまいます。また、クリアランスも粉砕機ほど厳密でないので、ある程度は金属が混入しても大丈夫です。
粉砕機への金属混入
粉砕機は刃が高速で回転しているので、金属と接触すると固定刃や回転刃が欠けてしまいます。
このことをチッピングといいます。
刃がチッピングすると、生産量や効率性が低下してしまい、能力が出なくなります。従いまして、粉砕機は基本的に金属はNGです。
また、チッピング後は刃の切れも悪くなるので、破砕物もシャープに切れておらず、減容効果もなくなります。
粗破砕した後に金属除去の磁力選別や金属探知機などを設置して金属を除去しなくてはならないのはそのためです。
参考記事 絶対だめ!粉砕機の金属混入!
破砕機のタイプ
破砕機は、二軸と一軸があります。
一軸破砕機
減速機を使用するので、ゆっくりとパワフルに対象物を削ったり、破壊していきます。プッシャー式の破砕機は、人が常時ついていなくても自動制御で粉砕を継続的に行うことが出来ます。
二軸破砕機
二軸式の場合は紙のシュレッダーのような機構で破砕対象物を内部に食い込ませて破砕します。
粉砕機のタイプ
一軸粉砕機
粉砕機は一軸で高速に刃を回転させるのが基本です。刃の形状や角度、粉砕室の内部のデザインなどによって、食い込みの良さ、処理能力の早さなどがかなり変わります。
対象物の特性に合わせた粉砕室の選定と、刃の選定で、モーターが小さくても効率よく粉砕することが可能になります。
参考記事 破砕機の選び方、チェックすべき4つのポイントとは?
破砕機の目的と用途
破砕機の目的
プラスチックリサイクルのためには、押出機に8-15mmの粒度に対象物をコントロールする必要があります。
ランナーや小さな成型品などは、粉砕機に直接投入して、一発で8-15mmにすることが可能です。
しかしながら、大きな成型品、厚みのある成型品、樹脂ダンゴのような塊などは、一発で8-15mmの粒度にすることはできません。
そのため、一度粗く破砕して30mm~300mm程度の間にしておいて、第二段階として粉砕機にかける必要があります。
破砕機 → 粉砕機の前処理
粉砕機 → 押出機の前処理
という役割になります。
プラスチックリサイクルの工程においては、破砕機も粉砕機も、押出機に投入するための前処理のための機械なのです。
逆に、リサイクルされないで埋め立てや焼却処分される場合は、単に輸送効率を上げるため「減容」の目的で破砕や粉砕されることがあります。
破砕機の用途
以下のものを破砕するために使用します。
プラスチック、木、廃タイヤ、PETボトル、古紙、ガラス、食品ごみ、金属など
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