ここでは粉砕機の下部にある部品、スクリーンメッシュについて、簡単に書かせていただきます。
そもそも、なぜ粉砕をするのでしょうか?
例えば成形品大きいものがあったら、これを細くするのですが、なぜ細くするのでしょうか?
なぜ細かくしなくてはいけないのでしょうか?
粉砕と加工性の向上
まず理由の一つ目です。加工性を高めるということがまず一つ上げられます。
どういうことかというと、製品の形状をそのままでは、バケツのように空間が多いものは、プラスチックを溶かす押出機この中に入らないわけです。
ということはどういうことが必要かというと、押出機の供給の入り口から入る形状にしなければ加工できないわけです。それには細く小さくしなければならない、つまり、粉砕が必要ということになります。
粉砕で輸送効率アップ
プラスチックをリサイクルする一番大きなコスト要因のひとつは運送コストです。
運搬をする時粉砕をしないバケツのままトラックに積載しても、何キロも運べません。非常に軽いわけです。
一方、粉砕して細かくしてあれば、これはもう積載効率が大幅に上がり、10トン以上積載できるわけです。
運送効率を上げる、そして運送コストを下げるこのためにも粉砕というのは必ず必要ということになります。
粉砕による溶融効率の向上
プラスチックの再生加工では必ず、樹脂を溶かすという工程が入ります。
バケツの形状のまま溶かそうとしても、これは非常に溶かしにくいわけです。
ところが、20mm以下の粒度で全部小さく粉砕されてれば、その分表面積が増えて熱が伝わりやすくなり、溶融の効率が大幅に上がるわけです。
要は樹脂は溶けやすくするということです。押出機のスクリューに食い込みやすい粒度にすることで、溶融の効率を上がります。
そのめに、破砕あるいは粉砕という加工は必ず必要になります。
<参考記事>
絶対ダメ!粉砕機への金属混入とその防止対策 (粉砕機の選び方シリーズ)
均一な粒度による押出機内部の圧力安定化
大きさその粉砕破砕の大きさがバラバラでもいいのかと言いますと、そうではないです。
やはり、その粒度(大きさや形状)をそろえることを粒度規制といいますが、粒の大きさを揃えるということが重要になります。
なぜ大事になるかというとこれはスクリューに樹脂を供給していくわけですが、粉砕品の粒が大きかったり小さかったりすると、このスクリューが食べていく粉砕品の量が変動してしまいます。すると、押出機のシリンダーの中の圧力が変わってきてしまいます。
このシリンダーの中は圧力が変わってくると、ダイスから外に出てくる樹脂(ストランド
と言います)が、押出機の中の圧力が違うために太くでたり細く出たりすることになります。(これを専門用語で「サージング」といいます)
これが品質の問題を起こします。
したがって!プラスチックの押出機のシリンダーの中の圧力を一定にしなくてはなりません。
そのためには、一定の量を食わせなきゃいけない。
そのためには、一定の大きさにしなきゃいけない。
そのためには、スクリーンで粒度を一定にする粒度規制をするということになってくるわけです。
スクリーンによる粒度規制
スクリーンとは、鉄の板に同じ大きさの穴がいっぱい開いています。その穴を通過したものしか出てこないことになります。
このスクリーンによって流動規制をしているわけです。
破砕機と粉砕機の違い(スクリーンについて)
スクリーンに関して話しておくことといえば、よく聞かれるのが破砕機と粉砕機、この違いは何なんですかということです。
実はその粒度規制をしていないものが多いのが破砕機、粒度規制をしているものが粉砕機ということになります。
破砕機と粉砕機の役割分担としては、破砕機は大きいものを中ぐらいまで荒く破砕するもの。
荒く破砕されたものをさらに細かい粒にするのが粉砕機です。
粉砕機では、スクリーンで粒度規制をして粒をそろえて、次の溶融の加工工程の加工性を上げることが大事であり、スクリーンがそこで大きな役割を果たしているのです。
参考記事:破砕と粉砕の違い 6つのポイントとは?
↓クリックで解説動画 |
粉砕品の粒度のコントロール
このスクリーンは実は交換ができます。交換ができるのでそこに開いている穴の大きさを違うものを揃えておけばその粒度をコントロールできます。
小さい穴が開いているものをつければ小さい粉砕物になるし、大きい穴にすれば、大きい粉砕品が出てくるということになります。
穴の径が異なるスクリーンを交換することで粒度のコントロールができるわけです。
スクリーンレス粉砕機
ちょっと特殊な粉砕機になりますと、スクリーンがなくてもその粒度規制をすることができるというものがあります。これは例え刃の形状を櫛のような櫛刃にすると、この櫛刃の大きさの粉砕物しか落ちにようになっているため、スクリーンなしでも粒度の規制ができます。櫛刃と固定場がスクリーンの役目を代わり果たしています。
例えば、エンジニアリングプラスチックのような、デリケートなランナー粉砕などでよく使われます。
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