PFAS(有機フッ素化合物)とは?人体への影響や除去方法を解説

最近各地で発生している、水道水に含まれるPFAS(有機フッ素化合物)の目標値超過問題。

「自分の住む地域の水道水は大丈夫かな?」と心配になりますよね。

特に、地方自治体の水道担当者や上水道事業者のなかには、PFASの対策に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
PFASは、発がん性があるなど、人体に影響があるとされます。早急に対策をとり、住民に安全性の高い水道水を提供しましょう。

本記事では、PFASによる人体への問題点や、法律による規制などを解説します。

低コストでPFASを除去できる排水処理設備も紹介するので、地方自治体の水道担当者や水道事業者の方はぜひ参考にしてください。

PFASとは?

PFASは有機フッ素化合物の一種で、日常生活のさまざまな備品に使われてきました。

気付かないうちに体内に取り込まれていることがあり、一度体内に入ると長期間蓄積され続けます。さらに、人体には「発がん性」などの悪影響を与えます。

健康を害さないために、PFASをできるだけ取り込まないよう、身の回りでPFASが含まれているものを知っておきましょう。

PFASが含まれているもの

PFASは、油や水をはじく特性があることから、以下のような日用品に使われています。

  • フライパン
  • 食品包装紙
  • 化粧品

フライパンや食品包装紙に使われているため、知らない間に食事とともに口にしている可能性があります。テフロン加工と書かれている調理用品は、PFASが含まれているので注意しましょう。

ファンデーションや口紅、日焼け止めなどの化粧品にも、以前からPFASが使われてきました。直接肌に触れるものであるため、危険性が指摘されています。

ただし、現在では人体に影響があるとされるPFASは、製造・輸入が原則禁止とされています。最近では「PFHxS」が2024年に禁止されていて、今後つくられる調理用品や化粧品には、有害なPFASが徐々に使われなくなっていくでしょう。

また、最も体内に入る可能性が高いのは、水道水に含まれるPFASです。現在では、規制されている基準値を超えないように、各地で水道水へのPFAS含有量が調査されています。

それでも、基準値を超えるPFASが水道水に含まれている地域が見つかり、たびたび問題になっています。

水道水にPFASが多く含まれる地域は分かる?

現在のPFASが、水道水に多く含まれている地域は分かりません。2020年以降に各地の水道事業者が実施した水質検査の結果を以下に示しています。

2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
(9月時点)
PFASが超過した
水道事業所数
11件 5件 4件 3件 0件
検査を実施した
水道事業所数
466件 801件 869件 1,325件 1,745件

数年前まで、水道水に基準値を超えるPFASを含む地域がありました。

しかし、近年環境省と国土交通省が連携して、各地での検査を徹底しており、徐々に少なくなっていて2024年には0件となっています。

0件になったとはいえ、数年前までPFASの基準値を超過していた地域があったため、今後も安心というわけではありません。

また、検査を実施していない地域もいまだにあるため、検査していないだけで水道水中のPFASが超過している地域もあるでしょう。

環境省と国土交通省は、水道事業所に水質検査を行うよう、呼びかけを続けています。

引用:環境省「Q10  水道の水は大丈夫か」

PFASによる人体への問題点

PFASによる人体への影響を紹介します。

  • 発がん性
  • 免疫機能の低下
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 不妊リスクの高まり

それぞれ詳しく見ていきましょう。

発がん性

2023年12月1日に国際がん研究機関(IARC)が、PFASの一種であるPFOAには「ヒトに対して発がん性がある」と発表しました。それまで、PFOAは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」とされていたため、発がん性が断定されたことになります。

PFASは、腎臓がんや精巣がん、乳がんとの関連性が高いと考えられています。腎臓がんの可能性がある理由は、PFASが体内に残留した結果、腎臓に蓄積するとされているからです。

しかし、食品安全委員会は、PFASの腎臓がんや精巣がん、乳がんへの影響は証拠が限定的であるとしています。本当に関係しているかは不明確です。

引用:環境省「PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について」
引用:食品安全委員会「有機フッ素化合物(PFAS)の 食品健康影響評価について」

免疫機能の低下

2024年欧州食品安全機関(EFSA)が、PFASは免疫系に影響を及ぼす可能性があると明らかにしました。

免疫力が低下すると、感染症や自己免疫疾患のリスクが高まるとされます。

病気の重症化や併発にもつながる恐れがあるため、免疫系のリスクは危険性が高いといえるでしょう。

引用:食品安全委員会「食品安全関係情報詳細」

ホルモンバランスの乱れ

PFASは、ホルモンの働きを損なうと考えられています。

特に甲状腺ホルモンや性ホルモンをかく乱するとされ、甲状腺疾患や生殖機能の異常などのリスクを高める可能性があります。

ただし、現状科学的根拠は見つかっておらず、PFASとホルモンバランスとの関係性は不確かです。

不妊リスクの高まり

2024年に、京都大学のマウスを使った研究で、PFASによる生まれる前の赤ちゃんの死亡や体重の減少、その後の生存率の低下などが確認されました。

マウスには、PFASが生殖機能に影響する可能性があります。人への影響は確認されていませんが、同じ哺乳類であるマウスで確認されているため、影響がないとはいい切れない状況です。

引用:JStage「有機フッ素化合物PFOA、PFOSの生体影響:職業曝露集団を中心とした概略」

PFASの規制について

PFASの規制を以下の2つの視点から解説します。

  • 日本での規制
  • 世界での規制

それぞれ詳しく見ていきましょう。

日本での規制

日本では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」により、人体に影響があるとされる以下の3種類のPFASが、製造・輸入禁止となっています。

  • PFOS…2010年製造・輸入原則禁止
  • PFOA…2021年製造・輸入原則禁止
  • PFHxS…2024年製造・輸入原則禁止

これらのPFASは現在利用できなくなっており、フライパンなどの調理用品には規制されていないPFASが使われるようになりました。

また、水資源中に含まれるPFASを調査するため「川や地下水などの自然環境中の水」「水道水中の水」の水質調査が進められています。

PFAS含有量が超過していた箇所は、原因を特定して改善を続けているため、今後PFASが含まれる水は少なくなっていくでしょう。

引用:環境省「国内ではPFOS等はどのように規制されているのか」

世界での規制

残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)により、世界的にPFASの規制が行われています。2020年に本条約でPFOAの規制が始まったことをきっかけに、翌年日本もPFOAの製造・輸入原則禁止を行いました。

アメリカやEUではPFASに厳しい規制を設けており、特にEUでは約10,000種類のPFASの製造や使用を禁止したり、規制したりしています。

日本では、3種類のPFASしか規制していないことから、世界よりも規制が緩やかであると分かります。

ただし、今後世界での動きに追従して日本もさらに規制が厳しくなる可能性もあるでしょう。

引用:経済産業省「POPs条約」

PFASを水道水から除去するには?

PFASを水道水から除去するには、排水処理施設にPFASが除去できる装置を使いましょう。水資源からPFASを除去すると、地域のPFASを減らす取り組みにつながります。

日本での規制が強まり、環境省と国土交通省が各地の水道のPFAS含有量を調査するよう呼びかけています。

調査の結果、PFAS含有量が規制されている量よりも超過していたら、住民の健康を損なうだけでなく、自治体や水道業者は世間からの信頼を失いかねません。

そのような事態になる前に、排水処理でPFASの除去ができる装置を導入して、水資源の正常化を進めましょう。

PFASを除去する排水処理設備の詳細は、以下のリンクからご確認ください。

排水処理設備 廃プラ洗浄の水処理を低コストで行うには

家庭の水道水からPFASを除去するには浄水器を使おう

水道水にPFASが含まれている可能性を考えるなら、浄水器を使ってきれいな水を飲用しましょう。

逆浸透膜や備長炭を利用した浄水器を使えば、PFASの含有量を減らせます。

水道水を煮沸しても一部のPFASは残ります。水が沸騰して水蒸気として出ていき、PFASが濃縮される可能性もあるため、煮沸でPFASを除去できるとは考えない方がよいでしょう。

PFASが問題になった事例3選

近年、PFASが問題になった事例を3つ紹介します。

  • 岡山県吉備中央町の浄水場でPFASが検出された問題
  • 東京都多摩地域井戸水からPFASが検出された問題
  • 米国の大手メーカーがPFASの飲料汚染を広めたとして訴訟された問題

それぞれの事例を詳しく解説します。

岡山県吉備中央町の浄水場でPFASが検出された問題

岡山県吉備中央町では、2023年10月の調査で水道水に、国内最悪レベルの濃度のPFASが含まれていると発覚しました。

原因の特定にあたった岡山県の調査により、川の上流に山積みにされていた使用済みの活性炭に付着していたPFASが原因だと判明しています。活性炭は、2008年から置かれており、その頃からPFASに汚染された水道水が住民に飲用されていた可能性があります。

発覚から1年半ほど経過した、2025年5月18日にはPFAS混入に関する住民説明会が開かれており、岡山県吉備中央町は長期間にわたって対応に追われる結果となりました。

引用:Yahoo!Japanニュース「自然豊かな町を襲った最悪レベルのPFAS汚染。活性炭が水道水を汚染した衝撃」
引用:Yahoo!Japanニュース「有機フッ素化合物PFAS検出問題 「健康影響に明らかな関連は見られなかった」住民説明会で分析の途中経過示される【岡山・吉備中央町】」

大阪府摂津市の大手メーカー工場周辺でPFASが検出された問題

大阪府でPFASの汚染がないか調べるために行われた「大阪府民1000人血液検査」の結果、摂津市の住民は血液のPFAS濃度が高い傾向にあると判明しました。

摂津市には、大手メーカーがあり、その工場から出たPFASが原因とみられています。

水道水を飲み水にしている人は、水道水を飲まない人よりも、血液のPFAS濃度が高いと分かり、地域の水道水を賄う井戸水に工場からのPFASが流れ込んだと考えられます。

引用:Yahoo!Japanニュース「大阪のPFAS汚染で府民1000人血液検査の結果発表。3割が「要注意ライン」超えの濃度」

アメリカの大手メーカーがPFASの飲料汚染を広めたとして訴訟された問題

2023年6月、アメリカの大手メーカー3M(スリーエム)社は、飲料水のPFASによる汚染を広めたとして、最大125億ドル(約1兆8000億円)を支払うことが決まりました。

アメリカでは他にも、1999年に廃棄物施設近くの牛が次々に病死したことを受け、デュポン社が訴訟されています。この事件もPFASが原因だったとして、世界でPFASが規制されるきっかけとなりました。

引用:日本経済新聞「PFAS汚染訴訟、米3Mが最大1.8兆円の和解金支払いへ」

水道水からPFASを除去して健康被害を防ごう

PFASには「発がん性」などの人体への影響があるとされます。現在の日本では、水道水にPFASが含まれないように、製造や輸入を禁止したり、各地の水道水の調査が行われたりするなど、規制が強まっています。

家庭でできるPFASの除去方法は、逆浸透膜や備長炭を利用した浄水器を利用することです。

PFASの調査でお悩みの地方自治体や水道事業者の方は、地域の水からPFASを除去するための排水処理装置の導入をおすすめします。

PFASを除去する排水処理設備の詳細は、以下のリンクからご確認ください。
排水処理設備 廃プラ洗浄の水処理を低コストで行うには

タイトルとURLをコピーしました