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真空ポンプ用の油水分離装置で廃液処理費用を削減

油水分離装置

油水分離装置とは

主に工業プロセスや廃水処理などの分野で使用される装置で、油と水が混ざっている状態の廃液から、油分と水分を分けて排出ができるようにした装置のことです。
代表的な分離方法は、油と水の比重差を利用した比重選別方式です。

代表的な油水分離装置の構造

松岡紙業株式会社さんの下記動画では、比重の軽い油が水面に浮かび、比重の重い水は下側に流れている様子が分かりやすいです。

油水分離装置自体は様々な産業で使われていますが、この記事ではプラスチックリサイクルの現場で用いられる油水分離装置の用途や仕組み、構成、装置選定のポイントなどを詳しく解説します。

油水分離装置を導入することで、廃液処理が容易となり、廃液処理費用の低減が見込めます。

この記事を通してプラスチックリサイクルの現場で油水分離装置を用いるメリットや活用方法を知っていただき、皆様の工場運営の改善や効率化に寄与できればと存じます。

油水分離装置の用途

油水分離装置の使用目的は、廃液処理費用の削減です。

リサイクルペレットを製造する際に、発泡を防ぎ製品品質を上げるため押出機へ真空ポンプを接続し、原料プラスチックに含まれる水分やインク等溶剤の油分を除去します。除去した水分や油分は廃液としてタンクへ一時的に貯められます。

この時、タンク内の廃液は水と油分が混じった状態となっており、そのままでは廃液を処理するのは大変です。そのため、油水分離装置で廃液中の水と油分を分けて、廃液を処理しやすい状態にすることで処理費用を削減します。

水と油分が1:1で混じった廃液が仮に1日100L発生するとした場合、廃液処理費用も幅がありますが仮で50円/Lと考えると、廃液処理費として1日に5000円のお金が消えていきます。
もし油水分離装置で処理すべき油分を半分にすることができれば、この廃液処理費を半額にすることができます。

特にエラストマーなどの成分が入っている時は特に油分が多く発生しますので、油水分離装置が有効となります。

油水分離装置の仕組み

プラスチックリサイクルの現場で利用されている油水分離装置の仕組みは「比重分離方式」です。
油と水の比重差によりタンク内で分離した油分を除去する方式で、広範に使用されている方式です。

比重分離方式は、異なる密度(比重)を持つ油と水を、重力から受ける影響の違いによって分離する方法です。水にものを落とした時、水よりも比重の軽いもの(紙や発砲スチロールなど)は浮き、水よりも比重が重いもの(金属類など)は沈む性質を利用しています。
この方式は、廃液中の油と水が自然に分離しやすい場合や、重力による分離が効果的な場合に使用されます。

一般的に、装置内部には仕切りなどが設けられており、廃液の流れを整える構造となっています。廃液が静止状態に近い緩やかな流れとなることで、比重の軽い油は水面に浮き、比重の重い水は相対的に下へ沈むようにして分離が始まります。

油水分離装置の構成

弊社が取り扱う油水分離装置の代表的な構成図を示します。

この装置では、原料プラスチックから脱気して凝集した水分を再利用し、真空ポンプの冷却水に用いています。油水分離装置に溜まった水は熱交換器で冷やされ、真空ポンプへと送られます。
もし水が足りない場合は、油水分離装置へ別途設けている水入口より補給水を投入します。

脱気用真空ポンプと油水分離装置の接続図

油水分離装置の単体図

油水分離装置を選ぶ際のポイント

廃液発生量と貯蔵容量のバランス

単位時間当たりに処理する必要のある廃液量の予想量から、適切な流量と貯蔵容量を持つ油水分離装置を選びます。
例えば、下記条件では廃液が15kg/h出てくる計算となります。

  • 押出機の生産量は500kg/h。
  • 押出機投入前の原料プラスチックは水分量2%の状態。
  • 原料プラスチック中の揮発成分(油分)は1%と仮定。
    ⇒すべての水分・油分を真空ポンプで脱気すると考えた場合、
    廃液量は500kg/h×3%=15kg/h。

装置容量が小さすぎると廃液が溢れる、分離がうまく行われないといったトラブルがあり、大きすぎると費用や設置スペースが嵩むといったデメリットがあります。
原料プラスチックの状態や最大生産量などを押出機メーカーと相談し、装置仕様を決めるようにしましょう。

油の分離効率

油の種類や量によっては、油分と水の分離が追いつかない可能性があります。
そのような場合には、薬剤を使用したり、設置式のセパレーターやエアーを使用して分離効率を高めることもあります。
もし原料プラスチックの量や状態に見通しが立っていない場合、設計時にすべて予想するのは困難な面もありますので、後で改造が容易になるよう設計仕様に要望を盛り込んでおくのがいいでしょう。

メンテナンス性

油水分離の原理によっては、フィルター交換や内部機器の清掃などがあります。
廃液の状態が悪い場合に頻繁なメンテナンスが必要なものもあれば、メンテナンスの手間がかからない装置もあります。
生産性への影響は作業者負担を考えながら、なるべくメンテナンスの手間がかからずランニングコストが低くなる装置を選ぶようにしましょう。

油水分離装置の価格

押出機の脱気真空ポンプ用油水分離装置 本体価格:1,000,000円

消費税別途、配送費用、取り付け費用、試運転費用は含んでおりません
上記は参考価格です。為替相場、鋼材価格市況などにより変動していますので、価格を正確に把握したい場合は必ずお問い合わせより正式見積もりをご依頼ください。

まとめ

油水分離装置とは、主に工業プロセスや廃水処理などで使用される装置で、混ざった状態の廃液から油と水を分けて排出可能にする装置です。特にプラスチックリサイクル現場では、廃液処理費用の削減を実現するために活用されています。

油水分離装置の仕組みは、主に比重分離方式が用いられており、油分と水の比重差を利用して油分のみを除去できるようにします。

装置選定時のポイントは、廃液発生量と貯蔵容量のバランス、油の分離効率、メンテナンス性を考慮して仕様を検討することです。

油水分離装置は、プラスチックリサイクル現場において廃液処理の効率化やコスト削減を実現する重要な装置です。その効果的な活用により、工場運営の改善と効率化に寄与することが期待されます。

油水分離装置についてご相談したい場合は、お問い合わせより連絡をお願いいたします。

Q&A

質問 回答
油水分離装置を使用しない場合、廃液処理はどのように行われますか? 工場から出る油類は産業廃棄物として処理されるため、油と水が混じった廃液全体が産業廃棄物処理の対象となり、水の分だけ処理費用が上がってしまいます。
工場へ既に油水分離槽があるのですが、油水分離装置は必要でしょうか? 既存の油水分離槽の処理能力に余裕があり、原料プラスチックから排出される油分と元から処理している油分で悪影響が出ない場合、油水分離装置は不要です。
油水分離装置のメンテナンスはどのように行うのですか? 油分の蓄積や詰まりを防ぐための定期排出や点検、水循環ラインのフィルター詰まり確認・交換などがあります。

プラスチックリサイクルで、弊社が取り扱っている機械や技術コラムは下記一覧から御覧ください。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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