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2024環境展・地球温暖化防止展 5/22~24 東京ビッグサイトに出展します

光学選別機とは

光学選別機

光学選別機とは

光学選別機は、様々な種類が混じった材料プラスチックや異物を自動で選別し、条件に合致した材料ごとに分ける機械です。

材質や色、大きさなどで認識し、搬送用のベルトコンベア末端において、エアジェットで材料を自動で弾き飛ばして分別します。
一般的に分別精度は70-90%(素材や条件による)です。

下記動画でも光学選別機について詳しく解説していますので、是非ご覧になってみてください。

ざっくりと光学選別機の流れを知りたい方はメーカーの下記動画がオススメです。

この記事では、光学選別機の原理や仕組み、工場への導入メリット、機械選定のポイントなどを詳しく解説します。実機の写真も交えながら構造をできる限りわかりやすく解説してみました。
また光学選別機の使用例や選別可能な材料も紹介していますので、是非参考にされてください。

光学選別機を導入することで、原料選別の効率向上、生産コストの削減、製品品質の向上、さらには利用の難しい混在品を有価である単一素材まで分別することができるため、コスト競争力アップが期待できます。

この記事を通して光学選別機のメリットや活用方法を知っていただき、皆様の工場運営の改善や効率化に寄与できればと存じます。

光学選別機の仕組み

光学選別機の大まかなプロセス

  1. PPやPE、異物など、様々なものが混じったプラスチックをコンベアで輸送します。
  2. 光学センサー部で材料に光を当て、材料ごとに異なる反射光をセンサーが感知します。
  3. センサーで感知した色を選別機内のプログラムで、周波数スペクトル[1]を解析し材料の種類・色などを特定します。またカメラによる画像認識も行います。
  4. 材料ごとにジェットエアー噴射のタイミングと場所を正確に指示することで、エアを命中させて各エリアに落とし、条件に従って分別します。
    上記図では例として、有色プラスチック、無色プラスチック、金属類で分別しています。

[1]:周波数とは光であれば光の色に相当します。その光の色を分解してにどんな色がどのような割合で含まれているかの内訳が光の周波数スペクトルです。物質は固有の光の色を吸収・散乱させる特性を持つため、物質に光を照射し周波数スペクトルを測定することで、物質を特定することができます。

実機で見る光学選別機の構成

ベルトコンベアによる輸送

ベルトコンベアは選別精度を管理するため速度を調整することができます。
ここで材料プラスチックが重なると選別精度が低下してしまうので、材料を均一に広げるための治具をベルトコンベア途中に設置することもあります。

センサーでセンシング

光学センサー部では、様々な材料を選別できるように複数種類のセンサーと、ハイパースペクトルカメラ[2]やハイスピードカメラ[3]などが組み合わせられています。

[2]:目に見える光である可視光だけでなく目には見えない近赤外線、遠赤外線など、広い範囲の光の周波数スペクトルを高い精度で取得できる特殊なカメラです。
[3]:高速で動く対象物や高速な現象を撮影することに特化したカメラです。

エアノズルを通過する様子

ジェットエアーによる分別

光学センサー部で材料を判定したら、ベルトコンベアの位置と速度を計算してエアノズルからジェットエアーが噴射され、材料を吹き飛ばし分別します。
エアは上向きと下向きがあり、エアーを吹かない材料(エアーを使わず自然落下)と合わせると1台の光学選別機で最大3種類の分別が可能です(ただしメーカーによる)。

エアーで吹かれた材料は区画されたエリアに分けられます。
分別精度は一般的に70-90%くらい(素材や異物の混入状況による)が一般的です。

通常1台の光学選別機では2~3種類までの材料分別しかできません。そのため分別したい材料が多い場合は、複数の光学選別機を組み合わせることで対応します。

光学選別機を複数使った分別例

 

分別精度を100%に近づける場合も、光学選別機に複数回通すことで分別精度を高めていきます。

光学選別機を導入するメリット

材料品質の向上

選別対象物のスペクトルから外観、形状、色、サイズなどの特徴を細かく解析・検出することで精度の高い選別が可能になります。また手作業と異なり選別品質が一定となります。
これにより材料中の不良品や異物混入を減らし、結果として製品品質の向上に寄与します。

人件費の削減かつ生産量アップ

短時間で大量の対象物を自動選別可能なため、人手不足の問題を解消し、労力と時間を節約することができます。
また光学選別機は1台あたり4トン/hまで処理可能など、人間では不可能な大量処理が可能となります。そのため今までよりも多くの材料を処理することで生産量アップに繋がります。

生産コストの削減

不良品や異物混入を減らすことができるため、製品の再加工や不良品割合が減ることで生産コストが下がります。

光学選別機選定のポイント

選別対象物の特性把握

選別したい対象物の特性をよく知ることが重要です。選別したい物質のサイズ、形状、色、密度などの特性によって、適切な光学選別機のタイプや性能が異なる場合があります。
選別対象の具体的な特性を把握し、それに適した機種を選びましょう。

処理量と生産性

購入する光学選別機の処理量が、工場の生産ニーズに合致しているか確認しましょう。処理量が足りないと生産効率が低下する恐れがありますが、逆に過剰な処理能力はコスト増につながります。
工場の現状だけでなく、今後の生産計画や予測にも基づいて適切な処理能力を選定しましょう。

選別精度と速度

選別精度は材料や機械によって振れ幅があります。また高精度な選別が必要な場合はコンベア速度を遅くする=生産量が落ちる可能性もあります。
高精度且つ高精度な選別と求める場合は、対応できる性能の機種をメーカーに要望しましょう。

光学選別機の使用例

ここでは光学選別の使用例をご紹介します。

材料ごとに分ける

プラスチックリサイクルではこの用途が主流です。光の波長を幅広く測定し、材料のスペクトル情報を解析する高度な光学選別です。

色で分ける

色で材料を識別し、不要な色の異物を取り除きます。
特定色の材料を除去する、逆に特定色の材料だけ集めたいときに利用されます。

形で分ける

形状で材料を識別し、不要な形状の材料を取り除きます。
製品選別等で欠陥のある形状を選別し、良品のみを取り出すのに役立ちます。

大きさで分ける

材料のサイズを測定し、指定されたサイズ範囲に合わない異物を取り除きます。
小さすぎる、または大きすぎる物体を選別することで、後工程での製造効率や品質を向上させることができます。

光学選別機で選別可能な材料

可能:PP/PE/PS/ABS/PET/PC/PMMA/PA/木/紙/金属ほか

不可:ガラス、陶器、黒色の物体

ガラス、陶器、黒色のものが選別不可である理由

光学選別機は、物体の光学的な特性に基づいて異なる材料や色を識別します。
ガラス、陶器、および黒色の物体は、その特性により選別が難しいです。以下にそれぞれの理由を説明します。

ガラス

光学選別機は一般的に物体の反射光を解析して識別しますが、ガラスは光を非常によく透過する特性があります。そのため、光が透過した別の物体を識別してしまう、光が屈折してセンサーに正しく反射してこないといった問題から、反射光を検出することが困難なため、ガラスを適切に検出・選別することが難しいです。

陶器

陶器は一般的に土や粘土を主成分とするもので、色や質感が多様で均一ではありません。光学選別機は表面の色や反射特性に基づいて物体を判別するため、陶器の多様な表面特性を適切に識別することが難しいです。

黒色の物体

黒色は光を吸収する性質を持っており、光の反射が少ないため、光学選別機では十分な信号が得られず、正確な選別が難しいです。

まとめ

光学選別機は、光センサーで検知した材料を自動で分別し、様々な種類が混じった材料を単一材料ごとに分ける機械です。材料や条件によりますが、一般的な分別精度は70-90%程度です。

光学選別機を工場に導入するメリットとしては、不良品や異物混入が減ることで材料品質の向上・生産コストの低減・製品品質の向上が見込めます。また短時間で大量の対象物を自動選別できるため、人手不足の問題を解消し、生産量アップも期待できるでしょう。

光学選別機を選ぶ際のポイントは、以下のようになります。

  1. 選別対象物の特性把握
    選別したい対象物のサイズ、形状、色などの特性によって、適切な光学選別機のタイプや性能が異なります。
  2. 処理量と生産性
    現状だけなく将来計画も含めて工場の生産ニーズに合致しているか確認しましょう。処理量は過不足ない状態にしないとコスト負担が増えてしまいます。
  3. 選別精度と速度
    高精度な選別が必要な場合はコンベア速度を遅くする=生産量が落ちる可能性もあります。

光学選別機の使用例として、材料ごとに分ける、色で分ける、形で分ける、大きさで分けるなどがあります。
光学選別機で選別可能な材料には、PP/PE/PS/ABS/PET/PC/PMMA/PA/木/紙/金属などですが、ガラスや陶器、黒色のものは選別できない点に注意しましょう。

光学選別機はプラスチックリサイクルや他の産業において重要な役割を果たす技術であり、工場の効率化や製品品質向上に寄与します。導入する際は、適切な機種を選定し、運用とメンテナンスにも十分注意することが成功へのカギとなります。

光学選別機についてご相談したい場合は、お問い合わせより連絡をお願いいたします。

Q&A

質問 回答
光学選別機の原理や仕組みを教えてください。
またプラスチックの分別方法はどのように行われていますか?
物体に光を当て、光の反射・吸収・透過などの特性を検知することで、異なる特徴を持つ物体を選別します。
プラスチックの場合、異なる色や形状、透明度などの特性を光学センサーが認識し、それに基づいて分別を行います。
光学選別機の導入にあたり注意すべきポイントはありますか? 材料の種別や大きさが光学選別に適応しているものか、求める選別品質と処理能力は合致しているか、メーカーの指導体制やメンテナンス体制が整っているかなど、複数の注意ポイントがあります。
光学選別機の価格帯はどれくらいですか? 小規模なもので数百万円から、大規模なもので数千万円になります。コスト面での利点として、リサイクル効率の向上による収益増加や、製品品質の向上による競争力の強化などが挙げられます。

光学選別機 取扱いメーカーの一覧

国内および海外で光学選別機を取り扱っているメーカーを紹介します。
海外は主なメーカーを記載しています。

国内メーカー

日本シーム株式会社
株式会社フジテックス
株式会社リョーシン
株式会社森田環境テック
ナラサキ産業株式会社
株式会社サタケ
トムラソーティング株式会社
株式会社アーステクニカ
ダイオーエンジニアリング株式会社

海外メーカー

フランス

Pellenc SA(ペレンク・セレクティブ・テクノロジーズ)

ドイツ

ALLGAIER WERKE GMBH
STEINERT

オランダ

Bollegraaf Recycling Solutions

スイス

Bühler Group

スペイン

PICVISA

イタリア

IST SRL

ポーランド

Comex

トルコ

Eco Spectrum

USA

NATIONAL RECOVERY TECHNOLOGIES
CP Manufacturing

中国

蘇州城野環境技術有限会社(Suzhou JONO Environmental Technology)
弓叶科技(Databeyond Technology)
安徽文尧智能光电科技有限公司(Anhui Wenyao Intelligent Photoelectronic Technology)

プラスチックリサイクルで、弊社が取り扱っている機械や技術コラムは下記一覧から御覧ください。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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