プラスチックリサイクル商社の適正マージンはいくら?

プラスチックリサイクルビジネス

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プラスチックリサイクルビジネスの中で、商品(スクラップや再生ペレット)を流通させていくとき、マージン(利益)が生じます。

さて、このマージンをいったいどのぐらいで設定するのでしょうか?という質問に対してお答えしたいと思います。

マージンというのは商社が材料を仕入れて販売する時の利ザヤですが、例えば再生ペレットを仕入れます。そのペレットを仕入れたものを直接使う工場に仮に納めたとします。そうするとその間に運賃と利ザヤをのせたもので販売します。その際の利ザヤ(マージン)はどれぐらいが適正なのでしょうか

まず絶対にかかってくるのが運賃です。近いところに運ぶ場合それとも遠いところに運ぶ場合、これは当然違いがありますが、近いところに運ぶ場合で1円2円まあ3円/kg程度で抑えたいところです。ちょっと遠いところ、中距離100キロ以上、200キロ~ 300キロの場合には何とか5円で抑えたいです。関東から例えば大阪とかいう場合には何とか7円以内で抑えたいというのが、商社が考える思考です。

そして、どのようにしたら安くできるかを考えますと、トラックに「なるべく多く積む」努力をします。10トン車、特に10トンの増トン車に、12トン13トンぐらい積み込みますとキロ当たりの運賃コストこれが下がってきます。

逆に、極端な話ですが大型10トン車に2トン、あるいは1トンしか乗りませんとなると、キロ当たりの運賃コストは10倍変わってしまいます。そうするともう仕事が成立しなくなってしまいます。とにかくリサイクル業をやる場合は輸送効率を極力下げるということが必要になります。

ただこのコストはどうしてもかかってくる費用ですので仕入先にトラックを向けて仕入れる。そしてそこから納め先に送る。その間にどうしても運賃がかかる、このコストは削れないコストなわけです。運ばなければなりませんので。

そこに更に自分のマージンをどのくらいのせるのでしょうか?ということになるわけです。

例えば、マージンを1円/kgのせるというのはどうなのでしょうか。1キロ当たり1円、13トン販売すると13,000円の利益ということになります。ではこの13,000円の利益というのは適正なのでしょうか、適正ではないのでしょうか。

皆さんはどう思われますか?1台13トントラックを1台動かすと13,000円の利益になる、ところが2円にすると26,000円の利益になるわけです。これはいったいどこが適正値なのでしょうか、というところを考えてみたいと思います。

これはもう答えというのはあってないと思います。1キロ当たりの利益を1円や2円でやっているところも結構あります。しかも特に大量にやっているようなところあれば何百トン何千トンという材料を動かす場合は1円とか2円でも十分な利益が出てくるわけです。

ところがせいぜい100トン200トン300トン、その程度しか動かしてない場合ですと1円2円だとそんなに利益があがらないわけです。自分の会社の諸々の経費などを引くとカツカツだったりするわけです。ではどのぐらいが適正なのかというと他の周りの仲間などを見ていてもざっと考えて1キロ当たり3円から5円程度が適正なのではないかなと思っています。

3-5円/kgの利益であればあいつはどうも儲けすぎだと後ろ指を指されないですむように思います。

逆に、その水準以上の利益をとろうとして、「俺は1キロ10円全体利益をとるんだ!」と言ったところでその10円/kgの利益を乗せた途端にお客さんが買ってくれなくなる可能性も高いのです。お客さんが買ってくれなければ、いくら10円乗せると意地をはっても意味がないわけです。やはり買っていただける値段の範囲内で自分のマージンを設定し、その利益を削り出していくわけです。

というところで今までの経験上で利益0であったり、1円/kgである2円/kgであるというと意外と簡単に決まる案件も多いのですが、10円/kg利益をとってみようと思うと大体ぽしゃります。

プラスチックの再生原料の価格はピンキリではありますが、だいたいの相場感というのはありますし、そこから大きく離れた価格ではなかなか販売はできません。

大きく利益を確保したのであれば、かなり高度な技術と管理で高品質なペレットを製造しなくてはなりません

キロ当たり10円以上の利益を取ったらなかなか成立しません。

どのくらいの利益レベルの仕事が成立するのかな、と見てみると3円から5円/kg、この辺で決まることが多いと思います。

お客さんに買っていただけるところ、あるいは仕入先に売っていただける値段、この辺でうまくバランスをとっていくと、自然と3円から5円の利益で話がまとまることが多いように思います。これは誰が決めているわけでもないのですけれどもだいたい経験則でそのくらいに収まっているように思います。それはケインズではありませんが、神の手なのかなんなのかは分かりません。

もちろん、10円/kgの利益が出ている取引も中にはあります。時に20円/kgの利益が出ている場合だってあります。しかし、それはたまたま出ているのであってなかなか狙って出せるような状況ではないと思います。

昔プラスチックの輸出がかなり盛んだったころ20年前とかは結構10円/kg以上の利益が取れていることもありましたが、だんだん誰でもこの仕事をやるようになったり、インターネットが普及してきて誰でもみんな相場を知るようになったりしてくると、利益を一人で独占することはもうできません。

やはり市場マーケット価格の中で、いかに自分の適正な利益を確保するかということを地道にやるしかないのではないでしょうか。そのレベルとしてはだいたい約3円/kgから5円/kgくらいではないかなというふうに思っております。

それではプラスチックリサイクルビジネス、特に商社のマージンはいくらぐらいで設定したらいいのかということについてお話しさせていただきました。どうもありがとうございます。

おまけ

利益を増やす方法として、「安く仕入れて高く売る」ということは考えればすぐにわかります。しかし、プラスチックのスクラップで安いスクラップというのは何か理由があります。例えば汚れている、異樹脂があるなど。

何かが混ざってしまっていると、人手で取り除くのは大変なわけです。

しかし、それ(異物除去)を機械が自動で、しかも無人でやってくれるなら、「低グレードのスクラップ」をワンランクアップさせて販売することができます

つまり、安く仕入れて高く売ることが可能になります。

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村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックスクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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