リサイクル機械とは
リサイクル機械とは、廃棄物や使用済み材料を再利用可能な製品や材料に変換するための機械です。リサイクルに伴い、廃棄物の削減、原料利用率の向上、環境への負荷軽減などの目的で広く使用されています。
下記POLYSTARの動画では、押出機でプラスチック廃棄物をリサイクルし、中間材料となるプラスチックペレットが製造される様子を見ることができます。
この記事では、リサイクル機械を使用するメリットや使われる分野、機械の種類、選び方などを解説しています。また、弊社ではプラスチックのリサイクル機械を扱っていますので、各工程の機械を詳しく解説した記事紹介も載せています。
弊社で取り扱っている押出機は、下記記事リンク先で材料別にご紹介しています。
詳しく知りたい方は、お問い合わせよりご連絡をお願いします。
POLYSTARとは? 押出機 8機種をご紹介(リサイクル機械)
リサイクル機械を導入するメリット
労働コストの削減
リサイクル機械を使用することで、今まで人が行っていた作業を、より短時間で大量に行うことができるため、人手を削減することができます。これにより、単純に人件費を削減したり、他作業に人を充てることで製品価値を高めるなど、価格競争力を高めることが可能となります。
生産品質の安定化
人が作業することと比較し、機械での作業は品質が安定します。そのため、生産ラインで使用する原料の大きさや種類のばらつきなどが均一となり、製品品質が安定することで、工場稼働率も高まります。ただし、機械が故障すると生産が止まってしまいますので、日々のメンテナンスは忘れずに行うようにしましょう。
危険作業からの労働者保護
適切なリサイクル機械を導入することで、危険源から人を遠ざけ、労働災害を起こさずに安全に作業ができるようになります。例として、破砕機や粉砕機に材料を投入する際、人手で投入すると巻き込まれの恐れ、破砕・粉砕物が飛び散って目に入る可能性などがあります。これをコンベアでの投入方法に変更すれば、人が行う作業はコンベアに材料を載せるだけとなり、安全に作業することができます。
労働災害が発生してしまうと、工場の稼働停止だけでなく、従業員に対するケアも非常に大変ですので、リサイクル機械を使用して労働者の安全を保護することは重要となります。
リサイクル機械が使われる主な分野
プラスチックリサイクル
工場や家庭から出たプラスチック廃棄物を原料とし、再生ペレットやフィルムを製造します。
大きい材料は破砕機や粉砕機で小さくし、汚れた材料は洗浄機で綺麗にして脱水機で水分を飛ばします。小さく、綺麗になった原料から、押出機を通して再生ペレットを製造します。
再生ペレットは射出成形機の原料として自社で使用したり、ペレットのまま販売したりします。
下記記事では、廃プラスチックがリサイクルされるまでの流れや、使用する機械などを説明しています。
紙リサイクル
使用済み紙製品やダンボールを利用して、再生紙やダンボールへリサイクルします。各リサイクル工程を担う機械を揃えて小規模に行うというより、専用設備を伴う大規模プラントがほとんどです。
例えば、再生紙へのリサイクルは、以下のステップからなります。
- 供給
使用済み紙製品(新聞、カートン、事務用紙など)を供給します。 - 離解
紙製品と水、薬品を混ぜ、繊維を分解します。 - 除塵
混入している異物を取り除きます。 - 脱インク
繊維に付着しているインクを取り除きます。 - 漂白
漂白剤で紙の純白度を調整します。 - 洗浄
水で洗って綺麗にします。 - 抄紙
古紙パルプを原料として再生紙を製造します。
金属リサイクル
主に金属部分とそれ以外の材料が混じった材料を破砕・粉砕し、選別機で金属種ごとに振り分け、単一金属を再度溶かして使用したり、単一金属をそのまま外部へと販売します。
破砕・粉砕は金属シュレッダーで行われ、小さな部品単位まで分解されます。選別機では、金属の重さや特性を利用し、液体や風を使った比重選別、磁力を利用した磁気選別、電流値で判別をする過電流選別などで分別されます。
破砕・粉砕機は単体機械で各メーカーが出していますが、選別機は複数工程を行うことから大型となり、選別金属に合わせて専用機械もしくはプラントを設計することになります。
機械例としては、佐藤鉄工株式会社のクロスフローシュレッダーなどがあります。
ガラスリサイクル
使用済みガラス容器を処理し、再生ガラスや断熱材、建築資材として再利用します。
回収したガラスは色ごとに分別され、破砕・粉砕を経た後に異物除去を行い、ガラス瓶になったり、断熱材としてグラスウールに加工されたり、地盤改良や軽量土木材として利用されます。
供給: 使用済みガラス容器が供給され、機械に投入されます。
破砕: ローターや刃物によってガラス容器が粉砕され、小さなガラス断片や粉末に変換されます。
保存: 回収されたガラス粉末は再生ガラスの原料として保管され、ガラス製品の製造に使用されます。
ガラスリサイクルも破砕・粉砕までは個別機械がありますが、その後の異物除去や再生工程では大型機械やプラントを設計し、対応する形となります。
破砕機としては鎌長製衡株式会社のCRシリーズ、粉砕機としては中工精機株式会社のボールミルやチューブミルがあります。
ゴムリサイクル
使用済みのゴム製品をゴムチップにしたり、燃料にしたりします。
ゴムは再生したとしても再生前より強度が落ちてしまうため、材料としてそのまま利用するのが難しい素材です。そのため、タイヤなどのゴム素材をリサイクルする場合、破砕・粉砕して、歩道などに使われるゴムチップやゴムマット、サーマルリサイクルの燃料として用いられます。
素材としての再生を目指す場合、脱硫工程や脱臭工程が必要となってきます。この分野では豊田合成株式会社が技術開発を行っており、2023年度内にも再生処理ラインを増設する予定です。
ゴムタイヤの破砕・粉砕・選別機械などは、寿産業株式会社が有名です。
リサイクル機械の種類
リサイクル分野によって、使われる機械は異なりますが、ここではどの分野でも用いられる主な機械ついて説明いたします。
破砕機
対象物の大きさを、大きい状態から小さい状態にするための機械です。大きさを指定する用途よりは、大きいものをまずは小さくという使い方です。破砕するため方法としては、圧縮、衝撃、せん断、摩砕などがあります。対象物を小さくすることで、貯留性や次工程の加工性を向上させます。
粉砕機
破砕機で小さくした物体をさらに細かくし、材料の大きさをコントロールする目的でよく使用されます。粉砕するため方法としては、圧縮、衝撃、摩砕などがあります。
選別機
材料を種類別に分ける機械です。例えばプラスチックリサイクルであれば、プラスチックとそれ以外に分け、その後プラスチックもPP、PE、PETなど、素材ごとに分別します。
選別方法としては、赤外線や比重を用いて、液体や圧縮空気を使って材料を分別していきます。分別基準としては、材質、色、大きさなどがあります。
リサイクル機械の選び方
処理材料の種類
例えばプラスチックリサイクル用の機械を選ぶとして、材料に応じて最適な機械は異なります。ある材料は処理できても、他の材料は処理できないということがよくあるため、工場でどの材料を処理して、どのような製品を作りたいか計画を立ててから機械を選ぶようにしましょう。
機械の選び方が分からない場合は、処理材料の種類、処理能力、生産品などの情報を整理してメーカーに質問すれば、メーカー側も最適な提案を出してくれるでしょう。
処理能力
稼働時間あたりどれだけの量を処理する必要があるか、事前に計画を立てておくことが大切です。
リサイクル機械の処理能力が不足していると、材料が溜まっていき、想定していた保管スペースでは足りなくなり、工場運営や安全に支障をきたします。
また、機械トラブルなどが起こった際は、一時的に通常運転よりも多くの材料を処理することもありますので、想定する平均処理量よりも余裕をみてリサイクル機械を選ぶことをおすすめします。
安全性
リサイクル機械には高速回転する部品や刃があるものなど危険源が存在するため、安全装置が不可欠です。緊急停止装置や安全ガード、二重スイッチなど、安全を確保する機能があることを確認しましょう。
メンテナンス性
材料を処理することで徐々に各部品が摩耗したり、汚れることでリサイクル効率は徐々に落ちていきます。モーター等の駆動ユニットもあるため、ベルトの張り調整やオイル交換のような作業も発生します。
定期点検だけでなく日常点検もありますので、メンテナンスしやすく、作業員に負荷がかかりにくいリサイクル機械を選ぶことで、工場の生産効率を上げることができます。
プラスチックリサイクル機械の詳しい解説
弊社ではプラスチックリサイクルの機械を取り扱っていますので、ここからはプラスチックリサイクルで使用される各機械の詳しい解説記事をご紹介していきます。
破砕機
対象物の大きさを、大きい状態から小さい状態にします。用途としては、粉砕機に投入する前の一次処理や、材料の貯留性向上なとです。
粉砕機
破砕機と同様に、対象物の大きさを、大きい状態から小さい状態にします。用途としては、原料の大きさを均一にすることで、生産プロセスおよび製品品質の安定化を図ります。
粉砕機とは プラスチックや木材加工に役立つ構造や選び方を解説
光学選別機
光学センサーを使って、様々な種類が混じった材料プラスチックや異物を自動で選別し、条件に合致した材料ごとに分ける機械です。複数材料が混在したまま生産をすると、不良品発生率が上がるため、生産開始前に材料を単一素材ごとに分けることが重要となります。
洗浄ライン
材料が汚れている場合、洗浄ラインで綺麗な状態にします。汚れたままの材料で生産を行うと、不良品ができるだけでなく、生産機械にも損傷を与える恐れがあります。
造粒機
軟質プラスチックのフィルムなどを洗浄した後に、材料の脱水目的で使用します。材料の水分率が高い状態のままだと、後工程の押出機で不良品のペレットができてしまうため、造粒機で乾燥させておくことが必要となります。
※以下で紹介する押出機(あるいはペレタイザー)として「造粒機」という場合もありますが、ここでは押出機とは区別します。
造粒機でプラスチックの生産性向上 仕組みや選定方法、利用例を解説
押出機(ペレタイザー)
製品ペレット(原料としての樹脂ペレット)を生産する機械です。材料が混じっておらず単一であること、材料の大きさが揃っていること、材料の水分率が低いことなど、生産条件が整っていないと不良品が出来るため、材料受入段階から前処理を計画的に実行されていることが重要です。
押出機とは 構造【仕組みについての詳細解説 メーカー一覧付】
まとめ
リサイクル機械は、廃棄物や使用済み材料を、再利用可能な製品や材料に変換するための機械です。
リサイクルすることによって、廃棄物が原料に変わるため、原料購入量や廃棄物処理費用の削減、原価低減による製品の価格競争力向上、BCP対応やリスク分散といったメリットがあります。
リサイクルに用いられる機械としては、材料の大きさを小さくする破砕機、材料の大きさを揃える粉砕機、材料を種類別に分ける選別機などがどの分野でも使われています。
その他の機械については、分野に応じて専用の大型機械やプラントを設計することが多いです。
リサイクルが行われている分野としては、プラスチック、紙、金属、ガラス、ゴムなどがあります。
プラスチックリサイクルで再生ペレットを作る押出機は、弊社で取り扱っている機械を下記記事リンク先で材料別にご紹介しています。
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POLYSTARとは? 押出機 8機種をご紹介(リサイクル機械)
Q&A
質問 | 回答 |
リサイクルにはどのような方法がありますか? | 材料を溶かすなどして製品材料として利用するマテリアルリサイクル、バージン材素材レベルまでの分解や化学反応に用いられるケミカルリサイクル、燃料として主に熱利用されるサーマルリサイクルがあります。 |
リサイクルで気をつけるポイントはなんですか? | 以下のようなポイントを計画するようにしてみてください。
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リサイクル機械に関わる法規制はありますか? | 機械の騒音や振動が大きい場合、騒音特定施設や振動特定施設の対象となり、官公庁への届け出が必要となります。 また、洗浄プロセスも行う場合で下水等へ排水する場合、水質汚濁防止法や地域の環境規制を満たせなければいけません。 |