※解説動画はこのページの一番下にあります
イタリアのFIMIC社のレーザーフィルターは他社と多くの違いを有していますが、そのの差がいったいどこから来るのか、どのような差が生まれるのかについて解説します。
違いを生み出す違い:ろ過面積
写真を見ても分かるようにフィルターとしては、かなり大きいということがお分かりになると思います。この大きなフィルター(ろ過面積)が一つFIMIC社のフィルターの特徴ということになっています。
では、なぜこの大きなろ過面積が他社との差を生んでいるのでしょうか。
圧力が低い
ろ過面積が大きいと、フィルター表面にかかる圧力が高くなりません。圧力が高くないということが、更なる違いを生み出していきます。
メリット1:異物がフィルターを抜けにくい。圧力が高いと、表面に詰まっている異物のうち、いくつかは圧力によりフィルターを抜けてしまうのです。
圧力が低い状態であれば、異物はフィルター表面に残留して、ブレードに回収されて排出されます。樹脂に異物が混入する確率が低くなるのです。
温度が変わらない
ろ過面積の小さなフィルターの場合、異物の詰まりにより、フィルター表面の圧力が上がり(狭いので)、そこで温度が急上昇します。(圧力が高くなると温度が上昇します)
場合によっては30度くらい高くなることもあるわけなのです。
一方で、大きなろ過面積の場合、圧力が上昇しないので、フィルター面の温度上昇が少ないということが言えます。(実際にフィルター入口の温度と出口の温度が±1度程度のことがほとんどです)
温度が変わらないことによるメリットが出てきます。
メリット2:樹脂の熱分解を防げる。温度上昇がないので、熱による樹脂の分解や、焦げ、ヤケがありません。熱分解が抑えられるので、樹脂の物性が保たれます。
メリット3:焦げやヤケがないので、色もクリアな色を保つことができます。
メリット4:フィルター表面の異物が炭化しない。圧力により樹脂温が急に上がると、例えば紙などの異物がフィルター表面で炭化します。ここに木や紙などがあると炭化をするということになります。そうしますと、炭化した炭化物がフィルターの穴を通ってその先に通っていってしまうわけです。そこでやはり色に関しても多少の影響は出るということがあります。
参考記事:水分率3%に高効率、高速脱水できる脱水機に関する記事はこちら
ガスの発生が抑えられる
上記の炭化した異物はガスを発生させ、そのガスがペレットのなかに入りますと、「発泡」というトラブルになります。しかし、FIMICのフィルターでは炭化が起きにくいので、炭化が起こらずガスの発生が少なくて済みます。
メリット5:発泡トラブルを回避できる
フィルターに引っかかった異物が圧力が低いので抜けないのです。抜けないというよりも抜けにくいといった方が適切かもしれません。圧力が高いとなにかの形で押してしまった時に異物が抜けてしまうという事が起こりうるわけです。そういうわけで異物が抜けやすいか抜けにくいかも圧力と関係があります。
また、異物の炭化、これはFIMICの場合は非常に起きにくい、他社メーカーの場合は炭化しやすいと言えます。
異物の炭化についてわかりやすい写真がありますのでご覧頂こうかと思います。
このLDPEの紙を除去したもの、この紙をここでみていただければこれが除去した異物なのですが茶色いのはお分かりになると思います。黒くなってないわけです。これが黒くなっていないというところがポイントです。
他社のフィルターですと非常に狭い所で圧力がかかりますので温度が上がって結構炭化しているケースが多く見られます。
実際にFIMICフィルター内で温度が変わっていないというところをご覧頂きます。
これは実際のフィミックの操作パネルの写真です。この操作パネルには温度が設定されています。
フィルター入口の温度とフィルター出口の温度が ±1度の差しかない
この赤い丸で囲ったところがその温度が表示されているところなのですけれどもこちらから樹脂が入ってくる押出機から樹脂が入ってきますが、これが中の温度です。
この入る温度と中の温度は200度と200度で変わっていません。
さらにこの中の温度と出て行く時の温度これも200度と200度で変わってません。
プラスマイナス1、2度の差になっているのがご確認いただけるかと思います。
要は温度の変化がほとんどないということがポイントです。
まとめ
FIMICフィルター面積が広い ⇔ 他社は狭い
フィルター内の圧力低い ⇔ フィルター上の圧力高い
異物が抜けにくい
フィルター表面温度低い ⇔ フィルター表面温度高い
樹脂劣化少ない
ヤケ少ない
異物が炭化しない ⇔ 異物が炭化する
ガス発生が少ない
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