プラスチックは軽くて丈夫で、自由に形が作れ、水や薬品にも耐え、衛生的であるといった様々な素晴らしい特性があります。
身の回りを見渡してみると、ペットボトルや食品の容器、レジ袋、消しゴムなどの文房具、おもちゃなど、プラスチックは身近に利用されています。
引用:暮らしの中のいろいろなプラスチック(日本プラスチック工業連盟)
しかし、世界中でこのプラスチックが問題になっています。
その問題には主にこの3つがあります。
- 地球温暖化への影響
- プラスチックリサイクルの限界
- プラスチックが海に流れ出て行き、海を汚染している
問題に対処するため日本でもプラスチックを削減するために様々な取り組みが行われています。
そこで、今回の記事では以下の3点について説明します。
「プラスチックにかかわる問題とは何か」
「日本のプラスチック削減の取り組み」
「プラスチック削減のために私たちができること」
1.プラスチックにかかわる問題とは何か
プラスチックにかかわる問題には大きく分けて3つあります。
- 地球温暖化につながる
- 海洋プラスチック問題
- リサイクルの限界
以下に、それぞれ3つの問題点について詳しく説明します。
1-1.地球温暖化につながる
プラスチックは生産時だけではなくリサイクル時にもCO2が排出され、地球温暖化につながるという問題があります。
①プラスチック生産時に由来するCO2排出
世界中でプラスチック由来のCO2がどれだけ排出されているのでしょうか。
ここでは“CIRLULAR ECONOMY JAPAN”より引用したデータを示します。
引用:CIRLULAR ECONOMY JAPAN「プラスチックによる二酸化炭素排出量はどれくらいか」
2015年で7.18億トンのCO2が排出されていることが分かります。さらにCO2排出量は2050年には2,800億トンにまで増加とすると推定されています。
プラスチックの生産によるCO2排出は、今後も増加の見通しのため地球温暖化への影響が強く懸念されています。
② サーマルリサイクルによるCO2排出
プラスチックは焼却処分するとCO2が排出されます。
そこで、次に日本のプラスチックのリサイクルや廃棄時にどれだけCO2が出るのか見てみましょう。
下記データ(2018年度)を見てみると、リサイクルされている分も含めて1年で約1,600万トンのCO2が排出されています。
さて、注目すべきは、サーマルリサイクルです。
サーマルリサイクルとは、燃料としてプラスチックを使うというリサイクル方法です。
現在、多くの焼却処分施設では焼却炉の温度を高温に保つため燃料を使って処分を行っています。この燃料の代わりにプラスチックを利用しているのです。
プラスチックのリサイクルの半分以上はゴミと一緒に燃やすことを指しているのです。ご存知でしたか?
引用:経済産業省 資源エネルギー庁「カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)」
燃やしているわけですから当然CO2は排出されてしまいます。
1-2.海洋プラスチック問題
海洋プラスチック問題とは「プラスチックが海を汚染している問題」のことです。
海に流れ出たプラスチックごみは、海の生物に悪影響を及ぼしています。
例えば、ビニール袋を餌と間違えて食べてしまったり、プラスチック製の袋や網が体に絡まってしまい、それが原因で死んでしまったり、傷ついてしまったりしています。
では、どのくらいのプラスチックごみが海へ流れ出てしまっているのでしょうか。
環境省によると、なんと年間800万トンのプラスチックごみが海へ流出してしまっているのです。
参考:環境省 エコジン
さらに、世界経済フォーラムは、2050年には海洋プラスチック流出の拡大により、「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」という予測を発表しています。
このようにプラスチックが海を汚染していることが、問題として注目されています。
海洋プラスチック問題についてさらに詳しくはこちら「海洋プラスチック問題とは」をご覧ください。
1-3.リサイクルの限界
プラスチックのリサイクルといっても、その方法の大部分はサーマルリサイクルです。
つまり、プラスチックから再びプラスチックを生み出しているわけではありません。
プラスチックからプラスチックを生み出すようなリサイクルを水平リサイクルといいますが、この割合は全世界で2%程度といわれています。
引用: プラスチック循環利用境界 プラスチックリサイクルの基礎知識2022
現状のリサイクルの方法では、プラスチックを使い続ける以上は新たにプラスチックを製造する必要があり、根本的な解決にはならないのです。
2.プラスチック削減のための日本の取り組み
では、日本ではプラスチック削減のためにどのような取り組みがされているのでしょうか。
日本で行われている取組やアクションプランとして以下の2つを紹介します。
- プラスチック資源循環戦略
- 海洋プラスチックごみ対策アクションプラン
2-1.プラスチック資源循環戦略
プラスチック資源循環戦略は、消費者庁、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の9つの省庁が連携して、2019年5月に策定した戦略です。
プラスチック資源循環戦略の中では、資源有効利用や海洋プラスチックごみ問題や、アジア諸国の輸入制限への対応等への課題へ対処するための、具体的な重点戦略と目標数値が示されています。
プラスチック資源循環戦略目標値(プラスチック資源循環戦略 概要より抜粋)
引用:環境省 プラスチック資源循環戦略の概要
この取り組みのひとつがレジ袋の有料化です。
レジ袋の有料化は使い捨てプラスチックの使用削減を目標としていますが、私たちの生活にも大分定着してきたのではないでしょうか。
さらに最近では、プラスチック素材のストローを紙製などに変更して提供しているお店も見られるようになってきました。
2-2.海洋プラスチックごみ対策アクションプラン
海洋プラスチックごみ対策アクションプランは、2019年に環境省より策定されました。
海洋プラスチックごみによる海の汚染問題への対処は、全世界で取り組む必要があります。
そのため日本では、廃棄物処理制度による回収、ポイ捨て・流出防止、散乱・漂着ごみの回収、イノベーションによる代替素材への転換、途上国支援など8項目の具体的なプランを打ち出しています。
そして、日本の経験や技術を国際的に発信・展開していくことも目標として掲げています。
この取り組みの中に「プラスチック・スマート」があります。個人のごみ拾いイベントへの参加やマイバッグの活用などを“#プラスチックスマート”とつけて投稿するキャンペーンも展開されています。
例えばこのような投稿がなされています。
Instagram:https://www.instagram.com/explore/tags/プラスチックスマート
Twitter:https://twitter.com/search?q=プラスチックスマート&src=recent_search_click
Facebook:https://www.facebook.com/search/posts/?q=プラスチックスマート
個人での取り組み内容を発信してみることを是非お勧めします。
一人ひとりのちからは小さいものの、他の人の行動を促すきっかけになるからです。
3.プラスチック削減のために私たちができること
プラスチックによる問題の解決のための、様々な取り組みについて説明してきました。
ここでは、私達がプラスチック削減のためにできることをご紹介します。
以下に具体的な内容を紹介しますので、今日から取り組んでみてください。
① マイバック・エコバックを使う
こちらはレジ袋の有料化に伴い、実践している方も多いのではないでしょうか。
スーパーやコンビニなどではレジ袋を使わずに、マイバックなどを使用しましょう。
② マイボトルやマイ箸などを使う
マイバックと同じように、マイボトルやマイ箸などを利用することができれば、プラスチック製の食器やペットボトルなどの使用を抑えることが可能です。
カフェなどでもテイクアウトするためのカップを持参可能なお店も出てきていますし、マイボトル用の給水スタンドを設置している自治体などもあります。
【まとめ】マイタンブラーを持っていくと割引してくれるお店
誰でも給水できる「ウォータースタンド」は「給水スタンド」へ
③ 詰替え製品を利用する
シャンプーやせっけんなどは詰替え用の製品が販売されていますよね。
もう、多くの方が利用されていると思いますが、できる限りこれら詰替え製品を利用し、ボトルを再利用しましょう。
④ マイ容器を使える店舗を利用する
近年量り売りショップが増えてきています。
量り売りショップでは、パッケージ無しで商品を販売しており、マイ容器を持参すすれば、プラスチックごみも出ません。
日本の量り売りショップには、例えばナッツや穀物などの食品や、お酒の量り売りなどがあります。日本全国の量り売りショップを調べるには下記サイトが参考になります。
プラなし生活 日本の「量り売りショップ」が見つかる!マップとリストで一挙に紹介
⑤ 情報発信する
自分自身の取り組みを様々な人に知ってもらうことは、モチベーションアップにつながります。
そこで、自分の取り込みを先ほど紹介した「プラスチックスマート」を利用して、発信することもおすすめです。
そこで、同じような取り組みをしている人とつながれれば、さらに、モチベーションも上がるでしょう。
また、今までプラスチック問題に興味がなかった人に、興味を持ってもらうきっかけにもなります。
4.まとめ
以上、プラスチックにかかわる問題や日本の取り組み、そして、私たちがすぐに実施できることについて紹介してきました。
プラスチックをリサイクルには限界があるので、できるだけプラスチックを利用しないようにすることも大切です。
そのために、マイバックだけでなく、マイボトルやマイ箸など他にもできることもあります。
個人でもできることはあります。できると感じたことは今日からやってみませんか。