プラスチックリサイクル業界の主要プレーヤーは誰?

プラスチックリサイクルビジネスの主要プレーヤー

プラスチックのリサイクル業界にはどのようなプレーヤーがいるんでしょうかというご質問をいただきましたので、簡単にまとめてみました。

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リサイクルの業界内分業体制

まず、プラスチックリサイクル業者というのも、どういう範囲がリサイクル業者なのか。
実はプラスチックのリサイクルといいましても、非常に細かく分業されています。

構内作業受託業者

まずプラスチックスクラップが発生するわけですが、工場からスクラップが発生してそれを工場の中に拠点を構えて分別したりする人がいます。
これは社内でやる場合も当然あるわけなんですが、業者に委託している場合もあります。
こういう構内業者これも当然リサイクル業者というくくりになろうかと思います。

運搬業者

発生したプラスチックスクラップを運ぶ人がいます。運ぶだけで、プラスチックリサイクルをやっているという人も存在します。

商社・バイヤー・ブローカー

僕がこの業界に入ったちょっと昔なんかは、まだ怪しげなおっさんブローカーがよくいました。
バイヤーやプローカーは車もトラックもヤードも何も持たずに、ネットワークだけで商売しています。

参考記事:リサイクルを用いた最強ビジネスモデル

粉砕業者・中間処理業者(圧縮・粉砕など)

粉砕機を持ち、例えば射出成形工場から出てきた成形不良を粉砕をして粒度をそろえて次に流す業者がいます。

粉砕機を何台か持ってて、あるいは1台だけの場合もありますが、粉砕屋に成形不良品を持って行って、減容処理するわけです。粉砕するだけでビジネスとしてなりたつわけです。

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粉砕ビジネススタートするにはまずこの一台

押出加工 1次加工(素通し)

次はいよいよ再生加工になります。押出機というプラスチックを溶融してペレットに加工する機械を持った工場に粉砕品がたどり着くことになります。

その押出機を持っている工場に粉砕品を持っていくと溶融されて、ペレットとなって出てきます。
スクラップからペレットに加工することを素通しという言い方します。
スクラップから単に何にもしないでそのままペレットにすることです。

参考記事:再生樹脂ペレットを誰に売るべきか?

押出加工 コンパウンド

コンパウンドというのは何かというと、製品を製造するための物性に再生原料を改質する工程です。

このコンパウンド業者は、ユーザーの製品が要求する物性を調整したりして、ユーザーの要求通りの原料を製造するわけです。

再生原料のユーザー

参考記事 プラスチックリサイクルビジネスの収支計画の立て方

さて、プラスチックリサイクルの工程は非常に長い道のりを経て、細かく分業されていているこということがお判りいただけたでしょうか。

あとは、自分たちがスクラップを仕入れるルートをはっきり持つということが大事です。逆に技術がなくてもネットワークだけで勝負している人もいます。

運送機能を持っている粉砕屋さんもあれば、粉砕機能を持っている素通し屋もいます。

これは、全部一社で一気通貫で製品まで販売するという会社もあります。

したがって、仕入れのネットワークや加工の知識があるなら、この最強モデルを目指すことをお勧めしたいと思います。

参考記事:再生プラスチックの用途を樹脂別にお教えします

新規参入業者

リサイクル会社(既存業者)

どういう業界からリサイクル業界に参入してくるかを書いてみたいと思います。

リサイクル会社(既存業者)

リサイクル会社の場合は親の代からやってたというパターンが結構あります。老舗リサイクル会社は大抵2代目となっています。

たまに三代目なんていう世代の会社もあります。

廃棄物業者(新規参入)

廃棄物業者さんが自分たちの廃棄物として人ってたものをそれを自分たちでリサイクルを始める、こういう廃棄物業界からの参入組も当然あります。

プラスチック業界(新規参入)

このプラスチック境界からの参入っていうのもあります。

自分たちでプラスチックの製品を作っているわけですが、この製品を自分たちで回収してもう1回製品を作るという形で参入してくる会社があります。ちなみに、このモデルは最強モデルですから、成功すれば利益率も、市場シェアも獲得することができます。

大手メーカー連合

昨今のSDGsや資源循環の流れ、脱炭素社会、海洋プラスチックゴミなどの問題から、以前にはない勢いで大手企業が環境経営に舵を切っています。そのなかで、大手のメーカーが連携してプラスチックの回収に当たるというケースが増えています。

かなり大資本を投下して大量のスクラップを回収する動きで、PETボトルが代表的だと思います。アパレルではナイロンなども大きくリサイクルされるようになりました。大手メーカーの動きは再生プラスチック市場の流れを大きく変えつつあります。

大手企業の環境担当者独立系

プラスチック部品、あるいは製品を製造している工場がありますが、この工場から排出されるプラスチックをリサイクルしうる担当者などが、独立するケ-スがあります。大手の工場でリサイクル担当というポジションにいると、プラスチックリサイクルに関するノウハウとか人脈とかネットワークができてくるのです。

そうすると、そういう方が定年退職した時に何を考えるかというと、「ん?俺もひょっとしてなんか商社みたいなことだったら出来るわなぁ」と気づくわけです。

担当者のときに培ったネットワークもあるし、誰に売ればいいか知っているわけです。
昔企業のリサイクルの担当者だった方がこういう業界で独立するっていうことも結構あります。

何十年か働いたベテランもいれば、2~3年働いてそういうノウハウを得て独立する方もいらっしゃいます。

プラスチックリサイクル企業からの独立系

プラスチックリサイクルの会社に入ってノウハウを得て独立するという方も多くいます。かくいう私はこの系統で独立しています。

これは独立に関しては、トラブルになることが多いので、円満退社のためには相当なコミュニケーション能力が必要になります。

全くの異業種から独立

それから、全くの異業種の方っていうのも業界中にはいます。ファッション業界から来ましたとか、あるいはシステムエンジニアやってましたとか。こういう方はすごいなと思いますね。

リサイクル業者には、一体どんなプレーヤーがいるのか、抜けもあったかもしれませんが、大体こんな感じの皆さんが今、リサイクル業界といわれる中で動いているということです。

プラスチックリサイクルビジネスを始めてみたいという方の、少しでもご参考になればなと思います。


村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックスクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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