印刷会社、コンバータ、製袋工場から排出されるラミネートフィルムの処分費用が高騰してきています。
大きなきっかけになったのは、中国が日本から年間160万トンを受け入れてきた廃プラスチックを禁輸措置としたことが引き金になりました。
今まで中国で分別、洗浄など手間をかけてリサイクルされていた資源が、日本国内に誰も有価買取をしてくれない「廃棄物」としてあふれることになりました。
現在ではどの処分方法も高騰してきています。
焼却処分、埋め立て処分、RPF、セメント原料化、どれをとっても処分費が上昇しており、ご担当者の方々にとっては頭の痛いところだと思います。
あまりこのような現場の状況を知らない、経営幹部から「廃棄物費用をなんとかしろ!」、「安いところ見つけろ」、「リサイクル率を上げろ」などとプレッシャーをかけられているご担当者様には同情申し上げる次第です。
もう、現状でできることはやりつくしましたよね、、、
そんな中で、「自社で処理したらどうだ?」という提案が社内で上がることもしばしば聞かれます。今回は、その自社処分の方法についてメリットとデメリットを考えてみようと思います。
初回の本編では、ペレット加工について考えます。
ここでは、ラミネートフィルムに限ってのペレット加工について考えます。
なぜなら、単体のフィルムは現状でも売却ができていると思われるため、廃棄物処理コスト問題とは切り離してよいと考えます。
自社工場でペレットの加工を行うことは、不可能ではありませんが、かなり困難な道を歩むことになると思われます。
困難が予想されること
1)ラミフィルムの仕分け
ペレットのユーザーの要望に合ったペレットを製造する作業は、まず正確な仕分けから始まります。この仕分け作業ができないと、ペレットが売れないばかりか、ペレットの加工作業自体ができなくなります。押出機(ルーダー)のシリンダー内の樹脂圧が大きく上下し、サージングと呼ばれる現象が起きるでしょう。
これは、樹脂の性状が一定していないことに加えて、再生ペレットの形状不良にもなります。
2)押出工程
排出されるラミネートフィルムのスクラップは非常に多種類です。
これを、ある程度安定させて押出加工して造粒(ペレット化)するには、リサイクル工場で作業を10年していた作業者でも難しいかもしれません。
特に、単体のフィルムだけを再生加工していたような作業者は、まずできないと思われます。(不可能とは言いませんが、、、)
温度設定、スクリューの回転速度、機械の仕様を含め、相当の技術と知見が必要となるでしょう。
3)複合ペレットの販売
様々な種類の樹脂が混ざった複合ペレットは、製造も難しいですが、それを使用するユーザーを見つけるのも大変困難です。
使用する用途は限られ、万が一販売先(ユーザー)が見つかっても、その販売単価は相当安くなることが予想されます。場合によっては製造にかかったコストをカバーできない可能性も考えられます。
その他、細かいことを申し上げればきりがないのですが、業界のベテランでもなかなか手を出さないペレット加工を軌道に乗せるには、損失が長期間発生することを考える必要があります。
総じて、自社でのペレット加工はおススメできません。
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