廃プラの現地確認の10のポイント

プラスチックリサイクルビジネス

※このテーマの動画はこちらから

プラスチックリサイクルビジネスの営業についていろいろと話をしてきています。
別のページで、実際にどのような先をどんなきっかけで営業アポイントを入れるかという話をしました。

では、実際にリストから電話をかけてアポイントが取れたとき、
訪問した時に何をすれば良いのでしょうか?

スクラップが発生しているの工場でどういうことを確認すればいいのでしょうか?ということをお話してみたいと思います。

実際に訪問した時何が大事かというのを一つずつ話してみたいと思います。

スクラップの確認

一番大事なのはスクラップの確認ということになります。

スクラップというのは非常に多種多様なわけです。同じスクラップであってもその汚れ方とか保管状況でお客さん(排出工場)によって千差万別で、全然違うこともあります。ですのでとにかく現物を現場で見るということはとても大事なことになってくるわけです。

荷姿

でそれがフレコンに入っているのか、バラ積みで野積みなのか、それか鉄かごなどに入っているのか、ふわふわなのかどうなのかというのを見わけます。

荷姿によってだいたいトラックにどのぐらいのるかということがわかるわけです。
僕らのプラスチックリサイクルビジネスの中で非常に大事なのは、この運賃のコストを最小限に抑える運送コスト小さくするということがもう至上命題なのです。
ということでその荷姿次第では運賃が思いのほかかかってしまう、あるいは非常に効率よく運べるのか、これが変わってくるわけです。ですので、この荷姿の確認というのが非常に大事になってきます。

一番一般的な荷姿としてはフレコンなどが多いかと思いますが、やはり1フレコン500キロぐらいは欲しいところです。やはり300キロきってくるとちょっと厳しいです。

比重

それから今言った比重です。
①の話とかぶりますけれどもやっぱりスクラップの形状がふわふわなのか、あるいはとても重いのかを確認します。
例えば発泡スチロールなんかですと非常に軽いわけです。
トラック満載にしても1トンもいかないことがよくあるわけです。
こういうようなことになるとその運賃だけで莫大なコストがかかってしまうということになってそのリサイクルが成り立たなくなるわけです。

ということでその比重を確認する、比重を確認する理由としてはその運送コストをいかに安くできるかというのを予測するために比重を確認するという風に考えます。

形状

それから形状です。

形状これも思いのほかかさばる形状をしているとか、あるいはフォークリフトでつり上げられない形をしているとか、自分が考えているのと全く違うあるいは普段使っているものと全く違う形状でないかどうか、というのはやはり確認する必要があります。

スクラップだからといってやはり同じ形状とは常には限らないのでこれは必ず確認します。
形状は比重とも関係してくるのです。
成形不良などは成形不良のまま製品のまま置いてあるのか、あるいは粉砕した形の形状で置いてあるのか、これによって比重も全く違ってきます。
形も全く違ってきます。ハンドリングのしやすさも全く変わってくるわけです。その形状をしっかり確認しましょう。

処理状態

それから処理の状態です。
前処理が必要なのか、不要なのか判断します。

前処理とは、粉砕してあるのか圧縮してあるのか、溶融してあるのか洗浄が必要なのか。何らかの前処理がされて比重が軽くなっている、あるいはハンドリングしやすくなっているのであれば、加工の際の手間も少なくて済みます。

逆に、全く前処理がされておらずハンドリングが非常に悪いと、運送や加工時に余計なコストがかかるので買取価格にも反映させなくてはなりません。

この処理の状態によって、前処理の状態によってまたこちらの追加になるコストが変わってくるのでこれも確認しましょう。

水分

それから押出機の樹脂加工の大敵である水濡れ。水に濡れているか濡れていないか、これによって生産量や樹脂の品質に関わってきます。
押出機というのは実は約200度以上にスクリューとシリンダーが熱せられます。
この熱せられたスクリューとシリンダーの中に水分が入っていきますと、その中で水分が1500倍にボンと膨らみます。そうすると内部で圧力差が生じて、生産が安定しなくなります。

このため、水分が入っているのか入っていないのかで、前処理の仕方も生産量も変わってきます。
水に濡れていなければそのまま投入をしていくことができるものも、水に濡れていた場合なんらかの乾燥なり、水をきったり、水を切ってもそれでも水分が残って濡れていますから良い影響はないのです。この水濡れがあるかないか、というのは必ず確認が必要です。

汚れ

汚れがひどい場合これはやはり押出機に通せません。
泥がついている、ホコリがついている、異物がついている、シールが貼ってある、などなど。このようなものについてはやはりプラスチックのリサイクルのペレット加工がしづらいわけです。こういった汚れがついているかついていないかきちんと確認する必要があります。

異物

異物、これはプラスチックの中に石、木、金属などが入っていたらいけないわけです。
こういう異物、プラスチックでないもの、これが入っていないかどうか確認する必要があります。特に金属は押出機の中に入りますと、スクリューやシリンダーにダメージを与えることになります。

分別

分別の状況も重要です。

仮にプラスチックだけになっていたとしても、同じプラスチックでも種類が違うプラスチックがごちゃ混ぜになっていたら、これはリサイクルが難しくなります。
異なる樹脂を混ぜて、全部のプラスチックを融かしてしまうと、燃料くらいしか用途がないのです。プラスチックというのは千差万別いろんな種類があるのですけども、それぞれが与えられた機能を発揮できるようにそれぞれの物性を持っています。

その物性を保ってその機能が発揮できるようにきちんと分別をされていないと、その特徴を発揮できないのです。
そういうわけでどのように分別されているのかというのをきちんと見てくるということが大事になります。分別されているかどうかというのを見たときにどの樹脂が混ざっているのだというのを見分けができないと分別がされているかがわかりにくいわけです。

ということである程度プラスチックの樹脂の目利きができないと難しい、判別ができないと難しいです。

管理状況

全般を総合した話になりますが、その管理状況を確認します。
たかがスクラップされどスクラップでして、きちんとした会社はきちんとした管理をしています。

スクラップであっても梱包され、重量も測ってあり、水に濡れないように屋根下保管またはカバーがかけてあるようなら安心です。
管理をしてくれる会社というのは工場も綺麗ですし、生産工程も非常にスッキリしている会社が多いです。
こういった生産面も含めた管理状況を現地で確認したほうがよいでしょう。生産現場も含めて乱雑で汚い工場から出てくるスクラップは、異物混入や水濡れなど、トラブルの原因となる事象もよく起きます。

積み込み作業

スクラップの確認ばかりではなくて積み下ろしの作業、積んだり降ろしたりする作業がスムーズでにできるかどうかを確認します。

そもそも、大型トラックが入れるかから始まります。
トラックで運ぶためにパレットの上に乗っているか、いないのか。
フレコンの中に入っているか。あるいはそれをフォークリフトでトラックに乗せる作業をするスペースがあるのかどうか。

道路付けとかこういった細かいことまで確認していかないと、当日トラックが入れませんとか、フォークがいきませんとかいうことで積み下ろしができない事態が生じてしまうのが最悪の状況です。

それを起こさないために、現地現物を確認したときにトラックの作業スペース、フォークリフトのスペース、積み下ろしの荷物を置いておくスペース、こういったことを確認するようにいたしましょう。

支給資材

お客様によってはうちでは予算がでないからフレコンを支給してくれ、というような場合もあります。
こういった場合フレコンを支給するのか、あるいはパレットを支給するのか、あるいは鉄カゴを支給すればいいのか、場合によっては設備(粉砕機や圧縮機)を支給しなきゃいけない場合もあり得るのです。

写真

お客様に許可をもらった上で写真は撮影しておいたほうがよいです。

みなさんが仕入れたスクラップをペレットに加工するのか、あるいはどこかに転売するのか、これは分かりませんが、仮に転売することになった場合、商談を進める中でサンプルというのも必要ですけれども、置き場での荷姿の写真、こういったものを求められる場合も意外とあるわけです。

やはり今私がずっと話してきたことの内容を、販売する先のお客さんも確認したい場合というのは結構あるわけなのです。
それを写真を見て安心できるのか、なにか不安になる点が出てくるのか、それを写真で見たいということがあるので、現地に行った時に写真はなるべく撮るようにします。

上記の事項を確認したら、我々がやらなければいけないのはこういったことを全部加味した上でようやくプラスチックのスクラップの輸送コストがわかりますその後に、販売価格を確認します。

いくらで売れるのか確認し、そこから運送コストを引いて、ようやく仕入れの価格を出すことができます。さらに、いくら利益が残るのかがわかります
ただし、このときはまだお客様はその仕入れ価格に納得していただけるという保証はないのです。仕入れ価格をいくらでお客さんに提示すればご納得いただけるのだろうか、ということを考えて見積もり提案(単価提示)します。

今まであげてきたこと全てを網羅して勘案して、ようやく値だし見積書の作成ということができるわけです。その後はお客様にその価格が刺さるかささらないか、こちらに出してみようかなと思ってもらえるのかもらえないのかはお客様のその状況次第タイミング次第ということになります。

後は皆さんの営業努力ということになります。(頑張ってください!)

スクラップの仕入れ、これについて現地現場で確認することをもう1回おさらいしますと

✅ 荷姿:フレコンなのか何なのか

✅ 比重:軽いのか重いのか

✅ 前処理:処理の状態が圧縮されているか減容されているか

✅ 水濡れ:水があったらペレット加工で非常に支障がでます。濡れているのか濡れていないのか、外においてあるのか中に置いてあるのか、

✅ 汚れ:泥がついているのか洗わなきゃいけないのか、洗わなくても十分大丈夫なのか

✅ 異物の混入状況:プラスチック以外のものがないか

✅ 分別状況:樹脂同士がきちんと分けられているかその純度はどのくらいなのか

✅ 管理の状況:スクラップとしてあるいは資源としてちゃんと保管されているのか

✅ 積み下ろしの作業:きちんとトラックが入っていけるか、フォークも作業できるのか

✅ 支給材の有無:フレコンやパレットを支給する必要はないのか鉄カゴはいらないのか

✅ 写真撮影:その後の販売の過程でも写真を要求されることがあります

上記の確認を数多く繰り返して、いろんな現場を見てだんだんスクラップの見る目が養われていくものだと思います。

それでは今日は現地で確認することについてお話しさせていただきました。ありがとうございました。営業の成功を祈ります。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックスクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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