引用:Coca-Cola(Japan)Company, Limited
ラベルレスボトルとは
ラベルレスボトルとは、商品名などが書かれたラベルが付いていないペットボトル飲料のことです。
ラベルをはがす手間がないこと、プラスチック使用量を削減できるという点から注目されてきています。
このラベルレスボトルは2018年から通販サイトを中心に、主に段ボール箱単位で販売されています。
ちなみに、以下のような容器でセット販売されている製品もあります。
出典:食品産業新聞
今までラベルに記載されていた商品名や原材料名、消費期限や販売先などを、段ボール箱やその他の外装に記載することで、ラベルレスを実現しました。
また、以下のように、段ボール等の箱にではなく、商品名などが記載されたシールをボトル自体に貼ったりすることで、ラベルレス風を実現している製品もあります。
出典:食品産業新聞
ラベルレスボトルには3つのお得がある
今までのラベルの付いたペットボトルと比べると、ラベルレスボトルには以下の特徴があります。
1.環境に優しい
ペットボトルに付いているラベルはプラスチックで作られており、プラスチックは石油由来です。
それゆえ、ラベルをなくすことで石油資源の削減に繋がります。
また、近年プラスチックによる海洋汚染も深刻化しています。
ラベルレスボトルは、海へのラベルの流出をなくすことができます。
プラスチックによる海洋汚染についてくわしくはこちらを御覧ください。「海洋プラスチック問題とは」
また、プラスチック焼却時は、大量のCO2が排出し地球温暖化を促進させています。ラベルレスによるプラスチック削減は、ごみ焼却時のCO2排出削減にも寄与し、地球温暖化防止につながります。
ラベルの平均重量を大雑把に1g[1]とすると、ラベルの材質はポリスチレン(PS)なので、1枚のラベルを焼却すると3.39gのCO2 [2]が排出されます。
日本国内では、2020年の統計では年間217億本[3]のペットボトルが消費されているといいます。
つまり、全てラベルレスになれば7万3千トン以上ものCO2削減につながるわけですね。こう考えるととても大きいですよね。
2.手間が省ける
ペットボトルには、PETという三角のリサイクルマークが付いており、ごみ分別の対象となっています。
そして、分別の際には、キャップ、ラベル、ペットボトル本体に分ける必要があります。
全てプラスチックなのに何故分ける必要があるのかというと、ペットボトルとラベルでは、プラスチックの材質が異なるからです。プラスチックは違う材質のプラスチックを混ぜてしまうと、もともとの材質が持っていた優れた性質をそこなってしまうのです。
ペットボトルからまた新しいプラスチック製品をつくるには、単一の素材にすることが不可欠なのです。
そのためリサイクルの観点からペットボトルを分別する際には、ラベルを一つ一つはがさないといけないのですが、これがまた面倒な作業です。
これに対して、ラベルレスボトルはラベルをはがす必要がないので、手間のかからない分、リサイクル率をあげることにもつながります。
3.デザインがオシャレ
従来のペットボトルは、ラベルに商品名やデザインを記載し、他社との差別化を図っていました。
これに対してラベルレスは、ラベルにではなく、ペットボトルに直接刻印、あるいはボトルの形状に変化をもたらすことで、独自の商品の価値をアピールしています。
そのため、ペットボトル自体が以前のものよりとてもオシャレになっています。
例えば「LOHACO Water」は、スウェーデンのデザイナー集団監修のもと、20本セットの飲料水に、滝・雫・霧・雪といった水が生まれるまでの過程をモチーフに、それぞれ2種類ずつ計8種類のデザインがボトル自体に描かれています。
ちなみに、LOHACO Waterは、2019年にグッドデザイン賞を受賞しています。
出典:CreatorZine
また、2022年7月5日から数量限定で販売されているサントリー天然水のラベルレスボトル「氷雪ピュアボトル」は、水源に積もる雪や氷をイメージしてボトル上部に凸凹を施しています。
さらに、ボトル前面にサントリー天然水のロゴを入れて自社ブランドをアピールしています。
これからのトレンドはラベルレスボトル!続々と参入する企業
2018年からアサヒ飲料が先駆けてラベルレスボトルを販売し始めました。
その後、社会全体の環境意識が高まってきたことや、コロナ渦でお家需要が高まってきたことも相まって、通販サイトでの飲料水のセット販売の売れ行きが増加していきました。
その結果、コカ・コーラ社やサントリー、生協など、大手メーカーのラベルレスボトルの参入が、次々とはじまっています。
また、2020年に資源有効利用促進法省令が一部改正されました。
リサイクルマークの表示を外装におこなえば、個別表示を省略できるようになったのです。[4]
これがラベルレス化への促進を後押ししました。
当初は、通販サイトでのセット売りが基本でしたが、上記のようなラベルレス化の波を受け、大手メーカーでのコンビニやスーパーでの個別販売も実現しています。
その際に、アサヒやサントリーでは、原材料などの表示タグを首掛け式にする方法でラベルレス化を実現しています。
また、LOHACO Waterでは、キャップの天面に2次元コードを記載し、そのコードから商品サイトに入り原材料などを参照できる工夫がされています。
出典:PR TIMES
さらにラベルレスボトルの先駆者ともいえるアサヒ飲料は、ラベルレス専用商品の「アサヒ緑茶」の入った段ボール箱にトントン相撲が出来るデザインを施しています。
このような遊びごころがあると楽しくて良いですよね。
ラベルレスボトルの問題点(注意点)
ラベルレスボトルが普及しつつありますが、注意すべき点を以下にまとめました。
ラベルレスボトルを不特定多数の人に譲渡する場合
通販サイトで購入したラベルレス飲料の段ボール箱には、「ケース販売専用商品 お店で開封しないで下さい」という注意が記載されています。
これは、段ボールから取り出した時点で食品表示等の情報がわからなくなることを防ぐためのものです。
購入者が町内イベントなどの不特定多数の人にラベルレスボトルを配ることを控えてほしい旨の意味を含んでいます。
実際、爽健美茶などの段ボールには、「ラベルレスボトル単独での譲渡には十分に注意して下さい」との記載があります。
ラベルレスボトルにより問題が起きた際の責任の帰属は?
購入者が箱買いラベルレスボトル飲料を個別に不特定多数の人に配り、食品アレルギーなどのトラブルが起きてしまった場合には、メーカーか、個別に配った購入者のどちらに責任が及ぶのかという問題があります。
この問題は責任の帰属は個別に配った購入者にあるとされています。[5]
まとめ
以上、環境に優しい・手間が省ける・デザインがオシャレといった特徴を中心に、注目のラベルレスボトルについてお伝えしてきました。
飲料のまとめ買いをする際には、ラベルレスボトルを選ぶというチョイスがあることを思い出していただければ幸いです。
これもプラスチックの使用量を少なくしようという取り組みの一環ですが、これだけでなく身近なところから実践されてみてはいかがでしょう。
[1] 環境省 PETボトル等のリユースによる環境負荷分析結果について(詳細)
https://www.env.go.jp/council/36pet-junkan/y360-06/ref02.pdf
[2] 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課循環型社会推進室https://www.env.go.jp/press/files/jp/19747.pdf P.60
[3] PETボトルリサイクル推進協議会
https://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/new.pdf
[4] 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/pdf/steel_alumi_pet_pamph.pdf
[5] 消費者庁 食品基準表示Q&Ą
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms101_210317_12.pdf