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日本は「化石賞」を3連続受賞!最も気候変動対策に消極的と評価される

1 COP27で日本が「化石賞」を3連続受賞

2022年11月10日、エジプトで開催されているCOP27(第27回国連気候変動枠組条約締約国会議)において、日本が「本日の化石賞(Fossil of the Day)」を受賞しました。
気候変動対策に消極的で、足を引っ張った国に対して贈られる不名誉な賞です。

日本は2019年のCOP25から3連続の同賞の受賞となります。

日本は「化石賞」を2022年も受賞

出典:CAN-Japan 『日本が「本日の化石賞」を受賞 1.5℃目標の達成を阻む、石炭火力の延命に対する警鐘(2022年11月10日)』

2 化石賞とは

「化石賞」は、1999年のCOP5から始まった、国際環境NGOである気候行動ネットワーク(Climate Action Network, CAN)[1]が主催している賞です。

CAN-Japan(CANの日本拠点)[2]は以下のように記しています。

「本日の化石賞[3]」は、COP[4]などの会議において、気候変動交渉・対策の足を引っ張った国に毎日贈られるもので、その国に対する批判と改善への期待の意味が込められています。

また、COPなどの交渉において希望の光となる国々に「本日の宝石賞」を授与しています。

同賞は、複数の国が同日に1位を受賞することもあり、また、会議が複数の日に渡って開催される場合には同一会議において複数回受賞することもあります。

3 受賞理由(何を批判されているのか)

では、日本は何を批判されて「化石賞」を受賞したのでしょうか。
その理由は以下になります[5]

  • 化石燃料に世界で最も多く拠出
    日本は、2019年から2021年の間に、石油、ガス、石炭などの化石燃料に対して、世界最大の公的支援である年平均106億米ドル(約1兆5000億円)を拠出している。
  • アンモニア利用によって火力発電の延命を図ろうとしており、しかも海外へ輸出しようとしている
    1.5℃目標[6]の達成は化石燃料への投資を止めることを意味するという国際的な認識と逆行している。
  • 岸田首相がCOP27不参加
    取り組み意欲がみられず、前述の理由と合わせて反感を買った。

4 過去の日本の化石賞受賞内容

日本が2019年から2022年まで3連続受賞した化石賞の受賞内容を紹介します。
これらの経緯を理解するだけでも、化石賞のターゲットがどういうものかが少し見えてくると思います。

  1. 2019年:COP25
    • 経済産業大臣の「石炭火力発電など化石燃料の発電所を選択肢として残していきたい」旨のコメントが、交渉に水を差すものと判断された[7]
    • 環境大臣の発言が、脱石炭および温室効果ガス排出削減目標引き上げの意思を示さなかった。また、石炭を推進している政策について転換する方向性を示さない姿勢がゼロ回答と捉えられた[8]
  2.  2021年:COP26
    • 首相の「化石燃料の火力発電を推進している」旨のスピーチが受賞理由[9]。アンモニア・水素を利用した火力発電も本理由に含まれる。
  3. 2022年:COP27(今回)
    • 化石燃料に世界で最も多く拠出、火力発電へ延命のためのアンモニア利用の取り組み、などが受賞理由(上述の受賞理由参照)。

5 気候行動ネットワーク(CAN)とは

そもそも、気候行動ネットワーク(CAN)とは、どういった組織なのでしょうか?

CAN-Japan(CANの日本拠点)の情報[10]より引用します。

  • CANは、130カ国・1800以上のNGOからなる国際ネットワーク組織です。
  • CANは1989年に設立され、人為的な気候変動を環境が持続可能であるレベルにとどめるため、政府・個人の行動を促進する活動をしています。

旨が記されています。
また、会則や憲章の情報も掲示されています。

CANインターナショナルのWebサイト[11]には、CANのビジョンや歴史について詳細に書かれていますので参考にしてください。

6 どう捉えるべきか

ここでは、紹介してきた情報をもとに、我々は化石賞の受賞をどう捉えるべきなのか、について考えてみたいと思います。

世間の捉え方

まず、世間の捉え方を整理したいと思います。

「化石賞」という単語でネット検索すると、概ね次のようなことが発信されているようです。

  • 「化石賞」の受賞は不名誉。
  • 「化石賞」について騒いでいるのは日本だけで、海外ではあまり取り沙汰されていない。
  • 他国から評価されていることもある。
  • 発表内容や概要などの事実のみ。

少なくとも日本では、「日本はもう少しちゃんと対応すべき」「気にしなくてよい」のように意見や見解がわかれています。

CANのスタンス

では、そもそもCANはどういうスタンスで化石賞を実施しているのでしょうか。

あらためてCAN-Japanの説明[12]で見てみましょう。

「本日の化石賞」は、気候変動交渉・対策の足を引っ張った国に毎日贈られるもので、その国に対する批判と改善への期待の意味が込められている

と書かれています。

はっきりと「批判」と「改善への期待」と書かれており、少なくともここに掲示されている思いとしては、「単なる煽り」ではなく、「はげましに近いもの」だとも読み取ることができます。

筆者の捉え方

これらを総合して、筆者自身は「化石賞」を次のように捉えるべきと考えました。

  • あくまで警鐘であり、卑屈にならなくてよい。
  • 偏りはあるかもしれないが、嘘八百という意見でもない。
  • 少なくとも、何を批判されているのかは知っておいてもよい。
  • 声高に発言しないまでも、自分はどう考えるかという意見はあってもよい。
  • 考えるきっかけとして用いればよい。
  • (政治的には)日本がアピール下手といえるかもしれない。

しかし、そもそもこの問題に興味のない方がほとんどだと思います。

COPに関しては日本の中でもニュースでの取り上げられ方も小さいものです。環境問題に対して、関心の低さがうかがえます。「少し興味を持った」と思えた方は、関心を持つところから始めてみませんか。

また環境問題は正解がない分野であるため、自分の持っている意見に固執してしまうことがよくあります。
自分の意見と同じ意見だけを受け入れ反対意見を聞かない、聞きたくないという思考に陥ると視野が狭くなります。このようなニュースをきっかけに改めてまっさらな視点で考えてみるのはいかがでしょう。

松本拓矢

松本拓矢

電機/家電メーカー2社(18年)に勤務し、黒物から白物まで、カーネルからアプリまで、広範囲なソフトウェア開発に従事。2019年に「らびっじ・らぼ」を開業。家事・育児・仕事をマルチにこなす兼業主夫として日々奮闘中。


[1] 参考:CAN (Climate Action Network)
https://climatenetwork.org/

[2] 参考:CAN-Japan
https://www.can-japan.org/press-release-ja/3439

[3] 参考:CAN “Fossil of the Day Archives”
https://climatenetwork.org/resource_type/fossil-of-the-day/

[4] 参考:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)
https://unfccc.int/

[5] 参考:CAN-Japan 『日本が「本日の化石賞」を受賞 1.5℃目標の達成を阻む、石炭火力の延命に対する警鐘(2022年11月10日)』
https://www.can-japan.org/press-release-ja/3439

[6] 2015年にCOP21で締結されたパリ協定で明示された目標値で、平均気温上昇「1.5度未満」を目指すというものです。COP26の全体決定にも盛り込まれました。https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r04/pdf/1_1.pdf

[7] 参考:CAN-Japan 『日本、COP25マドリード会議で「化石賞」受賞 梶山経産大臣の石炭火力発電推進発言で(2019/12/3)』
https://www.can-japan.org/press-release-ja/2636

[8] 参考:CAN-Japan 『日本、COP25マドリード会議で2度目の「化石賞」 小泉環境大臣、脱石炭も目標引き上げ意思も示さず、世界の要請にゼロ回答(2019/12/11)』
https://www.can-japan.org/press-release-ja/2643

[9] 参考:CAN-Japan 『日本、「本日の化石賞」を受賞 岸田首相の演説で:COP26グラスゴー会議(2021年11月2日)』

[10] 参考:CAN-Japan 「CAN-Japanとは」
https://www.can-japan.org/about-us

[11] 参考:CAN “About CAN”
https://climatenetwork.org/overview/

[12] 参考:CAN-Japan 『日本が「本日の化石賞」を受賞 1.5℃目標の達成を阻む、石炭火力の延命に対する警鐘(2022年11月10日)』
https://www.can-japan.org/press-release-ja/3439

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