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スクラップ、再生樹脂ペレット、リサイクル機械についての課題を解決するプロフェッショナルです

2024環境展・地球温暖化防止展 5/22~24 東京ビッグサイトに出展します

ファストファッションはなぜ環境問題を引き起こしているのか?

ファストファッションとは、アパレルメーカーが最先端の流行を取り入れたファッションを低価格で提供する販売形態のことをいいます。
短いサイクルで世界的な規模で大量生産することが大きな特徴です。
最近では春夏秋冬だけでなく、一週間といったとても短いスパンで新しい商品を展開しているブランドもあります。

移り変わりの早いファッション業界において低価格でおしゃれが楽しめるというのは消費者にとってはとても魅力的である反面、ファッション業界は地球環境に非常に大きな打撃を与えていることをご存じでしょうか。

今や毎日のように耳にする地球温暖化や海洋プラスチックなど、地球上では様々な環境問題があります。
その中でもアパレル産業は石油産業に次ぐ、世界で2番目に大きな環境汚染産業といわれています。その環境汚染を加速させているのがファストファッションなのです。

みんなお洒落は大好き、だから新しい服を買う。それは決して間違っていることではありません。ですが地球の未来のためにも一度考えてみませんか。

ファストファッション、何が悪いの?

では実際に何が影響しているのかを探っていきましょう。
ファッション業界が環境へ打撃を与えている要素は大きく分けてこの4つ。

1.地球温暖化の大きな原因になっている

最近ではよくカーボンボンニュートラルという言葉をよく耳にすると思います。
これは温室効果ガスであるCO2の排出をゼロにすることで、地球温暖化を防ごうという取り組みです。
ファストファッションは地球温暖化を加速させる要因ともなっています。

ひとつは自動車や船舶の排気ガスによるCO2排出です。現在日本で売られている衣類の約98%が海外から輸入されていますが、その輸送だけでも相当な排出量といえます[1]

また、プラスチックのパッケージや服の素材を廃棄して燃やす際にもCO2が発生します。大量に生産しているということは、同時に大量に廃棄されていることも意味しているのです。
使用した後の服の約66%は焼却されているとされており、大量のCO2の排出につながっています[2]

2.生地の染料による河川や海の汚染

カラフルな色の服、欲しくなりますよね。
ですがこの色を作り出す工程で発生する染料を使うことが、環境破壊へつながっています。
化学的な染料には有毒な物質もあり、使用することで河川、海の汚染が問題となります。
また染める作業をする工場での労働者環境はとても良いとはいえません。


写真引用:https://unsplash.com/photos/pouTfHUG430

3.大量の水の消費・汚染

染料を使用するための水の汚染だけでなく、製造工程でも大量の水を要します。
製造の工程や家庭での洗濯、ドライクリーニング等をすることで、わずかながらも細かな繊維が水中へと流れ出しマイクロプラスチックとなり、下水を潜り抜けて川や海に流れていることも忘れてはいけません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。増え続ける海洋ごみ マイクロプラスチックを放置できない3つの理由

4.化学繊維は天然素材に比べて自然分解に時間がかかる

化学繊維はファストファッションの発展とともに生産が伸びている素材です。
下記のグラフからは特に緑のポリエステルが近年大量に生産されているのかが分かると思います。
綿や天然素材は廃棄されればいずれ自然に分解され土にかえります。しかし、化学繊維は自然に分解されることは難しく、ゴミとして残り続けます。
こういった化学繊維は洗濯等の扱いも簡単なので有難いのですが、この素材が分解されるのにかかる期間はなんと200年といわれています。

化学繊維はリサイクルが難しく、焼却の際に発生する熱を利用するという形で再利用されていますが、燃やした後の灰は最終的にはゴミになってしまいます。[3]

繊維の生産量の内訳

ファストファッションは何故なくならないのか。

ファストファッションが人気の理由は、デザインの良さはもちろん、トレンド品が低価格で購入できることです。
安い製品を作るために必要なことは「①安い素材を使い」「②安い経費で製造する」この二つだけです。
実際私たちの生活からは見えませんが、低賃金で働く工場では日本では考えられない労働条件で働いている人々がいます。
日本も含め欧米のファストファッションの製造は人件費の安い国へと移行しました。

工場は低賃金で大量生産が出来る工場が残り、対応できない工場は衰退していきました。そして市場には低価格、低品質な商品が溢れ出しました。ファッションブランドはコストカットと売上と速さだけを重視し、より安い労働者を雇える国を探しました。
消費者には労働環境や自然環境は見えない(もしくは見ない)ので、ファストファッションは今もなお流行し続けているわけです。


写真引用:https://unsplash.com/photos/KriW_PG-qrI

消費者に見えない労働環境

労働環境においては低賃金を求めるがゆえ、児童を雇い入れる児童強制労働の問題を作り出していることも問題です。
そして衣料業界の労働環境も非常に不健康です。

  • 整っているとはいえない労働環境
  • 生活費の捻出すら難しい低賃金
  • 原料を得るための過度な労働を強いられる労働者へのリスク
  • 速いトレンドに対応すための無理な生産スケジュールに対応すべく、常に過労を強いられる労働者達

ファストファッションが存在する限りこの人権侵害は続いて行くのです。

2012年にはバングラディッシュの衣料品工場の火災で約200人が死亡した事件がありました。
こういった生産工場は安全対策もずさんで老朽化した建物や、整備もままならない工場も多くあり、火災やビル崩壊に巻き込まれて従業員が死亡する事故が発生しています。
多くの従業員は危険を知っていながらも勤務を続けさせられていたといいます。これはバングラディッシュだけでなく世界中の多くの衣料工場で発生し得る事故といえます。[4]

消費者の声が企業に届いた?環境へ対応するファッションブランドが続々。


写真引用:https://unsplash.com/photos/dkGjswObGPY

ファッション企業は環境破壊という問題に直面しながらファッション産業として存在し続けるためにもちろん努力をしています。
特にGreenpeaceという国際環境NGO団体が展開した「デトックスキャンペーン」は耳にされた方もいるのではないでしょうか。
ファストファッションだけでなく、大手スポーツ、アウトドアブランド、小売業者までも次々とこの運動に参加しています。ユニクロ、ZARA、H&Mも含めた世界中のトップファッションブランドも有害化学物質の排出をゼロにすることを宣言しています。

ファッション企業は、有害化学物質の排水を続けている工場への発注を取りやめたり、地域排水処理設備の見直し、代替素材の開発などできる限りの対応を始めました。
まだまだ進行形の運動ではありますが、消費者の我々と企業とが同じ考えで問題に立ち向かうことは素晴らしいことだと思います。[5]

サスティナブルなワードローブを目指して

ファストファッション企業の今後も大変興味深いですが、今消費者として私達ができることは一体どんなことでしょうか。

お買い物は企業への投票です
企業背景を知り、企業の発展に一票を投じる気でお買い物するのも良いかもしれません。

小さなステップかもしれませんが、この消費者の小さな一歩が確実に環境を変えるのも事実です。今すぐにでも私達ができることをまとめてみました。

  • 新しい服を買う量を減らす。
  • ユースド商品を買う。
  • 服を捨てない努力をする。
  • 長く着られる物を選ぶ。
  • リサイクル素材を使った商品を選ぶ。
  • 天然素材100%の製品を選ぶ。
    100%の綿、リネン、シルク、ヘンプ、ウール、ジュートなどでも有機肥料として土にかえすこともできます。たとえ焼却して埋め立てても自然素材は合成繊維より早く土にかえるため、こういった自然繊維の服を選ぶのも重要です。
  • 出来るだけ服を洗わない。
    サスティナブルブランド、ステラ=マッカートニー。デザイナーの彼女は服を出来るだけ洗濯しないという有名な発言があります。
    彼女の考えでは洗濯やクリーニングをすることは水中へと流れだすマイクロプラスチックが増え、海洋汚染に繋がると。[6]
  • 本当に欲しい物か自問自答して買う。
    セールやアウトレットに出向くとつい衝動買いしてしまいがち。本当に必要か考えて買う習慣をつける。
  • 冠婚葬祭の特別な服はレンタルするか人に借りる。
  • 身近で手に入るお店で買う。
    商品が業者によって運ばれる度にCO2 の排出量が増えます。同じ商品でも自分の身近な店で手に入る商品を購入することで環境への負担が減ります。


写真引用:https://unsplash.com/photos/J6MJPuJiDPo

まとめ

生活する上で服は必需品です。ですが私達が選ぶ服によっては環境への負担を減らすこともできるのは事実です。
服だけでなく食材や生活用品など小さな買い物でも、環境に良い選択をすることが今私たちにできることです。お買い物は企業への投票です。お買い物に対する意識を是非変えてみてください。

執筆:園山茅


[1][2] 環境省 SUSTAINABLE FASHION
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

[3] nature The environmental price of fast fashion
https://www.nature.com/articles/s43017-020-0039-9.epdf?

[4] Wikipedia 2012 Dhaka garment factory fire
https://en.wikipedia.org/wiki/2012_Dhaka_garment_factory_fire

[5] GREENPEACE ユニクロ、ZARA、H&M 世界の80ブランドが汚染物質ゼロを目指した10年
https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2020/11/19/46010/
Destination Zero      https://www.greenpeace.org/international/publication/17612/destination-zero/

[6] Guardian Stella McCartney: ‘It’s not like I’m here for an easy life’
https://www.theguardian.com/fashion/2019/jul/07/stella-mccartney-its-not-like-i-am-here-for-an-easy-life

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