リサイクルショップの買取価格が安い理由とは?

皆さんはリサイクルショップで何かを売ったことはあるだろうか?
おそらく初めて売った時の感想としては「え!?そんなに安いの?」ではないだろうか。

「1万円で買ったのにたったの500円?」

といった感じである。
数万円ぐらいになるかと思いきや、買取総額は3,000円と言われてがっかりした経験をしている方も多いだろう。
がっかりしても今更持って買えるのも面倒だし、そのまま売って「もう二度とリサイクルショップでは売らない」と後悔した方も多いはずだ。

そして、数日後、リサイクルショップに再度訪問すると、もう一度がっかりしたり、腹を立てたりするはめになる。

「え、500円で買い取ったのに、5,000円で売ってるってどういうこと?」

こんなことは日常茶飯事である。普通にあることだ。ボッタクリと思うかもしれない。
しかし、これも致し方がないことなのだ。

買取金額が安い理由

新品を仕入れるのであれば、利益を薄くして売っても利益が出る。

新品の場合は5,000円の商品であれば、仕入れ値はだいたい2,500円から3,500円ぐらいだろう。利益は50%~30%程度。それでも利益が出る。
中古品を買い取って販売する場合は、70%~90%程度の利益が欲しいところである。

ここで、中古ならではの利益を必要とする理由を述べてみたい。

  • 価格を調査する手間
    そもそもの価格を調べるのが手間である。新品を問屋などから仕入れる場合には価格がわかっているので何ら手間がいらない。
  • 売れるであろう価格を調査する手間
    中古の商品は一点一点コンディションが違うので、そのコンディションに応じて値段をつける必要がある。傷や汚れ、経年劣化の程度などである。
  • 商品を清掃したりチェックする手間
    店頭に並べる前に壊れていないか一通り確認する手間が必要になる。また、壊れていなかった場合にも一通りきれいに清掃する手間がかかる。
  • 後日故障したり、破損が見つかる危険性を考慮
    良心的なリサイクルショップであれば、家電製品などは保証をつけているはずである。中古である以上、新品より壊れる可能性は高いし、チェック時に見落としていた機能の不具合が発見されることもある。
    そのため、返品される危険性を見込んでおく必要があるのだ。もし10%の確率で返品されるとすれば、10%は利益を多く見込んでおかなければならない。
  • 商品回転率が低い

という中古ならではの理由がある。

実はこの商品回転率が重要なのであるが、わかりにくいので説明しておきたい。

新品の場合、その店舗がある地域の客層を勘案して早く売れそうな商品を仕入れる。
早く売れるのであれば、利益が少なくても儲かる。なぜ早く売れれば儲かるのかは?小売業をやったことのない人は知らないことが多いところなので説明しよう。
※実は商店を経営している経営者でもわかっていないこともある・・・。

10万円使って1,000円の商品を100個仕入れることを想定しよう。
そして、1個売れた場合の利益が300円だとする。

早く売れる場合

平均して10日で全て売れて入れ替わるケースを想定する。
そうすると初回仕入れが全部売り切れると、13万円が残るのでこれを使って10日後は130個仕入れる。
20日後はまた全部売れると16万9千円残るので、これを使って169個仕入れる。そして更に10日後には21万9千円残る。この時点で仕入れをやめたとすると、一ヶ月後には10万円だった現金が2倍以上に増えたことになる。
もし、ありえないことだが1年間このペースで売れたなら、なんと1年後には2億9千万円の現金が残ることになる。

早く売れない場合

もし売れるのに平均1年かかったとすると、1年後に残る現金は13万円である。

これは極端な例であるが、いかに早く売ることが重要かおわかりいただけたかと思う。
一定期間に何回商品が何回売れたかを示す指標を商品回転率という。
早く売れる場合は1年間の商品回転率は36、後者の早く売れない場合は1である。この場合の利益は実に3桁もの差になるのである。

家具のニトリが安いと言われる理由は、この商品回転率の差にある。
ニトリの家具は安物だから安いといわれることもあるのだが、実は商品回転率が高いから利益が出る仕組みになっているのである。
「お値段以上ニトリ」とテレビCMで歌っているのは嘘ではないわけだ。

中古を買い取る場合は、その地域で売るのに向いていない商材も買い取る。
そのため、利益率を高くしないと儲からないわけだ。結局それは買取価格に跳ね返る。

だから、安くしか買ってもらえないという現象が起こるわけだ。

メルカリや、ヤフオクで売れば儲かるのか?

メルカリなどで売れば地域のしばりがないから、儲かると思うかもしれない。しかし、メルカリなどに出品するための手間はかなり膨大なものだ。
写真を撮影して、説明文を考え、入力し、その後梱包して、売却成立後やり取りするという手間を考えたら、1品にかかるトータルの時間は30分~1時間ぐらいかかるだろう。
そうすると、アルバイトの人件費だけで600円~1,000円程度はかかってしまう。
また、メルカリであれば送料と、メルカリ側へ支払う手数料が発生する。

500円で買い取った商品を5,000円でメルカリで売った場合、発生する経費としてはだいたいこんな感じだろう。

  • 仕入原価 500円
  • 買取査定の手間が20分として 400円程度
  • メルカリでの発送業務にかかる人件費 800円程度
  • メルカリに支払う手数料 500円
  • 送料 80サイズとして 850円

総合計約3,050円となり利益率約40%となる。5,000円の新品を仕入れて店に並べて売るのとほぼ同じになる。
手間がかかる割にそれほど儲からないわけである。

結局何が言いたいのか?

リサイクルショップは安く仕入れて高く売っているのは事実だ。
とはいってもこれは決してボッタくっているわけではなく、仕方がないことなのである。

もし、まとまったお金に替えたいなら自分でメルカリなりヤフオクなりで売るべきである。
自分自身の人件費をゼロだとすれば一番儲かる方法である。
その自分自身の作業をアウトソーシングしたと考えるのがリサイクルショップでの売却だ。

もし、手間を掛けるのが惜しくなければ自分でメルカリで売るのがよい。それが面倒で、家の中をきれいに物をさっぱり減らしたいというのであれば、リサイクルショップで引き取ってもらうのが安くても吉である。

3Rという言葉がある。

  • リユース(同じものを再度使う)
  • リデュース(できる限り使う資源の量を減らす)
  • リサイクル(回収したものを再度資源化し材料として使う)

この中で最も環境への負荷が小さいのがリユースである。
リサイクルショップの買取価格は不満かも知れないが、それなりに頑張っているということだ。

極論買取金額がタダだったとしても、再度誰かに使ってもらうというのは気分のよいことである。
メルカリなどの活用が面倒であれば、リサイクルショップの活用を考えていただければ幸いである。

現在、服などはワンシーズンで使い捨てされていることが多いが、もともとの日本はものを大切にし、長く使う文化だった。
例えば江戸時代の日本人であれば、服に穴が空いたらツギをあて、修理しながら数世代にわたって使われているのが普通であった。それでも最終的に生地全体が傷んでどうにも着れなくなったら、最後は雑巾としてこれまた大切に使用してきたのだ。
その文化はすでに忘れられてしまっているのは残念である。

是非リサイクルショップやフリマ、メルカリなどを活用して少しでも長く使うことを心がけていただければと思う次第である。

ファーイーストネットワーク

ファー・イースト・ネットワーク編集部

(株)ファー・イースト・ネットワークは、「他社ではできないリサイクル」を行うことで、地球環境の改善を目指す企業です。2004年からリサイクルビジネスを行ってきた経験をもとに、地球環境に関するさまざまなコラムを執筆し皆様にお届けします。

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