中学生時代からラグビーをしていたため、体形が既存のスーツに全く合わずに社会人になってから31年間ずっとスーツはオーダーメイドで作ってきました。日本国内の工場直営のテーラーで作っています。
31年前に社会人直前に、(吊るしが着れない)ラグビー部の仲間と連れ立ってこの店に来てからずっとこのテーラー一筋です。工場は豊橋、東京の店舗は西麻布にあります。某百貨店や某有名スーツ店の下請けなどもしているので、品質は折り紙付きです。これを工場卸価格で直接購入できます。
この日は来年4月に社会人になる次男を連れて彼の社会人生活スタートのためのスーツを作りに連れてきました。
自分が社会人をスタートを切ったスーツ屋に息子を連れてきて同じスーツを作るというのは感慨深いものがありました。
それはそうと、洋服と言えば、最近はファッション業界が環境に与える影響が問題視されています。
特にファストファッションのブランドは使い捨てとまではいかないまでも、非常に早い洋服の寿命でワンシーズンだけのような洋服づくりをして、消費者もその安い価格をエンジョイしています。
しかし、その生産工程や生産ロス、販売ロス、着用後の廃棄などが環境問題となっています。
職業病でしょうか。
「ん?じゃあオーダースーツはどうなんだ?」
と思いつき、ググってみました。
すると、、、出てくる出てくる!
「オーダースーツはSDGs!」
という文章が多数のテーラーやブランドから発信されていました。
だいたい以下のような主張です。
大量生産・大量廃棄をしない
手入れして長く着用できる(体に合っているから痛みも少ない) 仕立て残りの生地の有効利用 テーラーバッグやハンガーの簡素化 |
様々な角度からSDGsを提案していました。
変わり種の活動では以下を見つけました。
フランス発の服地商社DORMEUIL(ドーメル)社が産地・育成環境・生産工程をトレーサビリティできるシステムを導入しているとのこと。
生産工程などで気を付けているとのことですが、記事を読む限りでは単なるトレーサビリティのシステムの話なのでしょうか。(誤解でしたらすみません)定量的にどのくらいの環境負荷削減になっているのかが記事には言及されていませんでしたので不明です。
「セコDGs」という言葉もあるという記事を見ました。
スーツの上下を同じ生地、同じ色で3-4着を作り、パンツやジャケットが痛んでも、他のものと組み合わせることで同じスーツの組み合わせとして長く着れるということでした。
「なるほど!」と思った側面もありますが、ジャケットとパンツが異なるジャケパンスタイルにすれば問題ないのでは??とも思いますね。
最近はビジネスの現場でもジャケットとパンツのスタイルも受け入れられてきていますよね。
クリーニングの環境負荷に注目したスーツもありました。
環境負荷の高いドライクリーニングではなく、水洗い可能なウォッシャブルスーツだそうです。
なるほど。洗う側面でも環境負荷は確かに発生しますよね。ドライクリーニング工場での環境対策というのも気になりますが、今はそこまで周辺環境に負荷を与えるような方法でクリーニングしているとは思えないのですが、どうなんでしょうか。
有名ブランドのゼニアは、工場端材を再度無駄にせずに生地として再生したLOOPという商品を立ち上げたようです。
これは、普通の生地メーカーはしていないことなのでしょうか。素人なのでわかりませんが、工場端材をリサイクルして使用するのはプラスチックでは当たり前のことなので、個人的には驚きはありません。
自分達の利益率向上のためにもっと前から黙ってやればいいのに、とも思いました。(プラスチックリサイクルの立場からの感想ですが)
いろいろな提案があり、昔に比べればだいぶメーカー側の環境意識も高まりました。
実効性があるなしはいいとして、なんとか環境面で消費者にアピールし、(あわよくば)売り上げ増加につなげたいというのは健全なビジネスマンの発想なのでいいのではないかと思いました。
しかし、オーダースーツの場合、どう解釈するのがよいのでしょうか?
あくまで個人的かつ直感的な意見ですが、
「身体に合った上質なスーツを大事に手入れして長く着る」
というのが王道ではないかと思った次第です。
スーツも毎年少しづつシルエットが変化します。5年ほど経つと、なんとなく古臭くなるのも事実です。気に入った柄のスーツやジャケットは修正などしてリメイクすれば更に何年か着ることができます。
で、パンツかジャケットどちらかが痛んだら、残ったジャケットかパンツを別と組み合わせてジャケパンスタイルで更に着用する。
これでどうでしょうか!