通常、粉砕機の能力はモーターのKwや馬力で表されることが多くあります。
しかしながら、スクラップは千差万別であり、そのスクラップの形状や特性に合わせた構造を採用することで、少ない力(モーター出力)で効率的に粉砕をすることができます。
ここでは、効率的な粉砕を行うための、粉砕室のデザインや、刃の形状について知っておくべき6つのポイントを解説します。
このポイントを知っておけば、ただ大きいモーターの粉砕機を選ぶということではなく、適切なスペックの粉砕機を選定するということができ、強いては効率的に、電力も少なく生産が可能になります。
粉砕室内をスクラップの適正に合わせる
1.固定刃を水平にした一般的な形(G)
射出成型品などの粉砕に適した最も汎用製がある一般的なタイプになります。
2.固定刃を斜めに配置して、粉砕室内を大きくとる場合(J)
固定刃を斜めにすることで、粉砕室の容積が大きく広がります。
その広がった空間では、大きな射出成型品やブロー成型品などのかさ比重がない大きいスクラップを粉砕すると、回転刃が材料を巻き込んで効率よく粉砕できます。
3.同じく固定刃を斜めにしたうえで、粉砕室の容積を狭くする場合(I)
粉砕室を小さくしたほうが効率よく粉砕できるものがあります。
例えば、長いものや薄いフィルム、シートを入れていく場合は、遊びが少ないほうが効率的に粉砕が進みます。逆に、粉砕室が広いと、長いものは跳ねてしまったり、別のスペースに滞留してしまったりしてしまいます。
イメージとしては、長いものを縦に真っ直ぐ下に入れていくことで、効率よく食い込んでいきます。
刃の形状をスクラップの特性に合わせる
回転刃の間に間隔を設ける理由(O)
わざと回転刃に櫛上の隙間を設けたタイプの回転刃です。櫛状にすることで、粉砕時の剪断熱や摩擦熱による発熱を放熱することができます。
融点が低い材料(粉砕室内で溶けやすい)などを粉砕するときには、効果を発揮します。また、フィルムなどの軽いものを粉砕するときには、下部にブロアなどの空気搬送装置を接続すると、櫛状の間からの風により強力な吸引効果を発揮し、高効率となります。
回転刃の間に間隔がない形式(C)
上記のように、櫛状ではなく、隙間がない形です。
これはロータの重量も上がることと、剛性も高いので、重量物を粉砕するのに適しています。重量物を粉砕するときの衝撃に耐えうる剛性を持ちます。
また、薄物の粉砕をするときに、平刃をわざと斜めに設置するタイプもあります。すると回転刃と固定刃があたかもハサミのようになり、小さな力で鋭く切ることができます。
刃とロータが一体の刃を使う理由(M)
刃とローターが一体となっていることで、非常に重量が重い刃となっています。上記の(C)の形式と比べても2倍程度は重量があります。
重量がある刃が高速で回転することで、重量物を粉砕したときに、質量のエネルギーで衝撃を分散できるので粉砕機が止まりにくいと言われています。
粉砕機は最初の食い込みの負荷が高く、その後の負荷は30%以下ということが多いのですが、この最初の負荷に耐えうるようにモーターなどを選定していますが、M形式の刃であれば、モーターの力だけでなく、刃の自重による力が利用できるので、より小さなモーターでも良くなる可能性があります。
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