容器リサイクル法と製鉄会社

スマホでニュースを見ていましたら、「日本製鉄、廃プラリサイクル効率化に向け提言」という産業新聞の見出しが飛び込んできました。

私は、環境負荷の算出に関する専門家でもなければ、容リプラについて深い知見があるわけではないので、あくまで雑感として感じたことを書きたいと思います。

さて、記事によると、以下を主張しているとのこと。

〇日本製鉄は記者会見まで開いて、同社が採用しているケミカルリサイクル法をもっと取り入れるべきだ。

〇そのためには、今の容リ法も根本的に見直しをすべき。

〇ケミカルリサイクルは残差が少なく、マテリアルリサイクルは 残差が50%発生する。

〇材料リサイクルを優先する合理性は全くない。

ということで、、、

随分気合が入ってるような印象です。鉄鋼会館で会見を開くって、どういうことなんでしょうか。社内の部署が一丸となって、

「これはおかしい!」と叫び声を上げ、部門長も含めて相当力を入れないとこんな会見には至らないですよね、普通。

容器リサイクル法はご存じの通り、元々は材料リサイクルを旨とし、国内でリサイクル材料を使用することを前提としてきました。

日本製鉄が言っているように、材料リサイクルのための残差は平均50%と言われています。これは平均であって、ペレットの品質(純度)を高めようとすると、さらに残差の割合は増えると言われています。

基本的に、この残差を受け入れてきたのは、RPF(固形燃料)でした。知る限り、ほぼ全量をRPF業界が引き受けて、これを燃料としてリサイクル(サーマルリサイクル)していました。

日本製鉄が、「残差が50%発生する」と言っているのですが、その先でRPFになっていることを考えると、ほぼ全てリサイクルされているということになるのではないか?と思ってしまいます。

「残差が50%」というところだけを突くのはどうなのでしょうか?

とは言え、RPF業界も今問題を抱えています。RPFの主要なユーザーであった製紙会社が業績が不調で、RPFの使用量が減っているというのです。紙離れが影響して、製紙業界はなかなか大変なようです。

そんな背景から、製紙会社はRPFの受け入れを制限するようになっているようです。すると確かに、容リの残差問題を取り上げる環境になっているとも言えます。

少し前になりますが、とある容器リサイクルの指定工場で、残差物が異常な量堆積して、指摘を受けるというニュースがありました。

背景には、この工場が品質の良い容リペレットを製造していたため、どうしても残差率が高かったということ。加えて、RPFの受け入れの単価上昇によりコストが上がり、これを嫌った経営者が残差を処理せずに積み始めてしまったようです。

このようなニュースも、マテリアルリサイクル陣営を不利な状況にして、ケミカルリサイクルが勢いづく背景なのかもしれません。

あと思い出すのが、製鉄会社の政治力。

鉄は国家なりと言われ、昔から鉄の業界と政治は非常に近い関係がありましたし、今もその名残は残っていると感じます。

ところが、プラスチックはこの世の中に出てきてまだ半世紀程度。

鉄と比べたら化学業界は政治との繋がりも非常に希薄です。

まとまりもあまりないように思います。

ましてや、リサイクル業界の連携などは、材料同様にとても軽い希薄なものです。

果たして、鉄業界の猛攻にプラスチックリサイクル業界は耐えられるのでしょうか。

村井健児

株式会社ファー・イースト・ネットワーク 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業、三菱銀行(現三菱UFJ)にて法人融資、株式会社宣伝会議にて環境雑誌に関わる業務を経て、2002年からプラスチックリサイクル業界で経験を積む。
2006年株式会社ファー・イースト・ネットワーク創業。プラスチックフクラップ売買、再生樹脂ペレット売買、リサイクル用機械・プラントの輸入販売を行う。

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