よくご質問をうけるのが、中国製と台湾製どちらがいいですか?という質問です。
結論から申し上げますと、弊社では中国製の機械は取り扱いしていません。
最近の言葉で言いますと「台湾推し」です。
では、なぜそうなったのかを理由と共に記させていただきます。
押出機メーカーの台湾製を取り扱いの経緯
1.押出機メーカー 中国製の洗礼を受ける
12年ほど前、弊社は自社で再生ペレット製造工場を立ち上げました。資金が限られていたので、価格が安い押出機を2台導入しました。
とある日本企業から紹介を受け、香港に本社がある会社でした。経営者の人柄もよく、親身に相談にのっていただき、中国工場で生産した押出機を導入しました。
稼働してから、間もなく中国製の機械の不具合が次々と発覚しました。
中国製の押出機で体験したこと(2010年頃の実話です)
✅ 溶接のレベルが想像以上にひどかった 溶接されていた振動モーターが半年で落ちた。 ✅ 使用している鋼材の質が著しく低かった。ダイスに焼き入れしていないことも発覚、鋼材も薄いのでカバーなどもペラペラ、スクリューも焼きが入っていなかったので半年でまん丸に ✅ネジ穴なども異なっていることさえあった ✅ コストを安くするために構造上、強度を犠牲にしている ✅ オイルシールがすぐに劣化 ✅ 回転体の芯出しが適当 ✅ 電気部品が粗悪で次々と壊れその度に電気の原因を調べるために電気屋を呼んで、日当6万円を払うことに(毎回) ✅ 油圧や水の循環をコントロールする電磁弁などもすぐに壊れるので、その度に機械が停止した ✅ 中国メーカーから部品を取り寄せても、中国製なので、またすぐに壊れるので、日本製に替えるしかない |
※上記は弊社がいままで付き合いのあった中国メーカーの情報をまとめたもので、必ずしも全社に当てはまることではありませんので、ご承知おきください。
日本の機械を勝手に想像して「このくらいは常識だ」ということが何一つ当てはまりませんでした。
ただ、弊社が中国製の押出機で実際に体験した実話です。たぶん弊社は他社よりもトラブルがかなり多い方だったかもしれませんが、すっかりトラウマとなり、中国製はどうしてもお勧めできないのです。
だからといって、製造工程で全ての工程を見張っているわけにもいきません。
機械の打ち合わせでも、ネジやオイルシールまで指定していては、いくら時間があっても足りません。
当時、機械については全くの無知であった私は起きている現象や原因がなんなのか全くわからず、ただオロオロして業者を呼ぶだけでした。
同業者の仲間がよく助けに来てくれましたが、あまりに故障するので、その会社の業務や業績にまで影響が出てしまうほどでした。(本当に申し訳ないことでした)
そんな状態ですので、弊社の生産はほとんど軌道にのらず、故障と修理を繰り返していました。
折しも、リーマンショックになり、機械の故障などで多大な損失を出していたため、工場に早めに見切りをつけて手放すことになりました。弊社は、中国製の機械の手荒い洗礼を受けて、生産業務から撤退しました。
これで、夜に友人と会食をするなかで「機械止まっています」という連絡ももうありません。多大な損失を出しましたが、「機械の故障を心配する日々から解放された!」と、気持ちが晴れ晴れしたのを覚えています
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2.押出機 台湾メーカー(POLYSTYAR社)との出会い
機械を手放し現場作業から解放されて、以前のように様々な国への出張を開始しました。
海外でのプラスチックの展示会にもよく行きました。香港にもよく足を運び、様々な業者とミーティングをしていました。そんなある日、取引のある大手香港の商社が自社でヨーロッパのEREMA社の機械を導入したので、試運転を見に来ないかとお誘いをいただきました。
EREMA社の素晴らしい機械を見ながら、そのオーナーが「あのな、いい押出機メーカーを見つけたんだ」と話し始めました。
彼によると、そのメーカーは「性能はEREMAより若干劣るけど、価格が半額以下なんだ」
「いいぞ~紹介するぞ」と。
EREMAの試運転をしながらそんな話を聞いて不思議に思い、「じゃあ、なんでそのメーカーの機械を買わずにEREMAを買ったんですか?」と質問しました。
「EREMAと契約した後に見つけたメーカーなんだ」ということでした。
彼から紹介を受けて、2週間後には台湾のPOLYSTAR社を訪問することになりました。
3.台湾メーカーのPOLYSTAR社の押出機を取り扱い開始
詳細は割愛しますが、POLYSTAR社を訪問して、弊社は日本での総代理店をすることになりました。
経営者と初めてお会いして、人柄が穏やかで誠実な印象でした。その後も、初対面の印象は変わることはありません。
事務所や本社も大変綺麗なのが印象的でした。
今まで訪問した中国の機械メーカーとの違いをざっと上げておきます。
もちろん、全ての中国メーカー、台湾メーカーがその通りとは言いません。たまたま、弊社が出会った会社を通じて感じたことを記述しておりますので、その点はご了解願います。
<押出機 台湾メーカーのアドバンテージ>
✅ 台湾メーカー、というか台湾人は感覚が日本人に近いので付き合いやすい
✅ 経営者も中国より温厚かつ誠実な傾向である ✅ 工場が綺麗で整理整頓も行き届いている ✅ 中国メーカーにあるガツガツした感じや、売ったら終わりという姿勢ではない ✅ 台湾メーカーは逃げなかった ✅ 品質管理が中国より上 日本メーカーに比べれば分は悪いが、中国メーカーよりはるかにレベルが上である ✅ デザインは圧倒的に洗練されている これは日本メーカーよりも上といえます ✅ 消耗部品は常時ストックがあり、オンライン発注も可能。 デリバリーは3日で到着 ✅ 台湾製押出機は20年以上はもつ |
中国製の押出機は5-10年の「消耗品」のような考え方をしたほうがよいが、台湾製はメンテナンスをして適正に使用すれば10-20年以上は使用可能
※上記は弊社がいままで付き合いのあった台湾メーカーの情報をまとめたもので、必ずしも全社に当てはまることではありませんので、ご承知おきください。
しかしながら、中国製にも大きなメリットはあります。
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4.中国製メーカーによる押出機の最大のメリットとは?
それは何と言っても安い価格でしょう。
上記に挙げた中国製の押出機の品質レベルを認識し、発生したトラブルを自社で対応できる技術力があれば、その価格メリットを大きく享受できると思います。
弊社が中国製で大きな損失を被ったのは、当時は自社ではまったく技術的に対応できず、小さなトラブルでも電気屋や機械屋を呼んでいました。すぐに来れればいいですが、1週間待つこともよくありました。その間は生産停止です。
また、ようやく来た職人さんには、その都度日当がかかり支払いをしていました。
毎月修理代だけでかなりの額になりました。
これが、自社でマイナートラブルをすぐに原因究明して解決できるのであれば、このような事態は避けることができます。
まともに動けば生産量はそれなりにありますから、利益を上げることは可能でしょう。
イニシャルコストも低く済みますから、ビジネスにおおいに貢献することになると思います。
5.押出機メーカー選定 中国製か台湾製か
ズバリ、以下のような結論です。
中国メーカーの押出機を買ってメリットを享受できる会社
押出機についてエキスパートがいて、修理なども含めて自社対応ができる会社。かつ、中国製の品質にいちいち腹を立てずに、粛々と自社で修理ができる会社。
台湾メーカーの押出機でメリットを享受できる会社
自社に押出機に関してエキスパートと呼べるようなスキルを持った人材がいない場合、1か月に何度も機械の故障が起き、生産停止のリスクがあります。
少なくとも台湾製であれば、トラブルはその2割以下と言ってもよく、かつ信じられないようなトラブルからは解放され、安定した生産からビジネスの収益を上げることができます。
ダラダラと書きましたが、中国製については「自分で直せないなら買うな」が、結論かと思います。
自社にエンジニアはいないけど、その価格に目がくらんでいるあなた、どうぞ一回中国製の世界を体験してみたらいかがでしょうか。
止めることはいたしません。
体験して初めてわかることがあると思うからです。その体験後に、「やっぱり台湾製を考えたい」という考え方に変わったときに、またお会いしましょう!
6.台湾メーカーの押出機を購入する予算がない場合
そうは言っても、どうにも台湾メーカーの押出機を購入する予算がない、という会社もあるかもしれません。
そのときの2通りのご提案を申し上げます。
中古機を購入する
単に、未整備のものを購入するということではありません。
しっかりとメンテナンスされた中古機も存在します。中国製並みの価格で入手が可能です。
とは言え、中古は中古ですが、元の機械が日本製やヨーロッパ製、あるいは台湾製であれば、中国製のようなどんなトラブルがあるかわからない恐怖からは逃れられます。
参考記事:フルメンテナンスの中古機、安心の保証付き中古機で即生産開始
日本でメンテナンスされた中国製メーカー新品の押出機を購入する
数は少ないですが、中国製の粉砕機や押出機を、日本の会社が出荷前に検査・調整してから出荷している販売会社もあります。このような会社は中国製とはいえ、壊れやすいポイントを予めチェック・補強・交換などをして、保証付きで販売しています。
参考記事:中国製を日本で出荷前検査・調整!メンテナンスも万全な破砕・粉砕機
中国メーカーからダイレクトに輸入するよりは、その分割高になりますが、予想できないトラブルを相当回避できます。
このような姿勢のメーカーも存在します。どの会社が良いのかわからない方は弊社にお問い合わせください。(ライバルなのでお教えしたくはないですが、、、)
皆様が良いリサイクルの機械を選定して、地球環境に貢献していただけることを願っております。
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