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押出機 メーカーと選び方【導入を初めて検討するかた向け】
このページでは、初めて原料リサイクルのために押出機の導入を検討している方が、押出機メーカー、押出機タイプ、押出機の仕様決定をするためのポイントをまとめます。超初心者向け中心の記事です。
✔ そもそも、押出機がよくわからない ✔ どんな押出機が自社にあっているのかわからない ✔ 細かい仕様を決めたいが、判断基準も持っていないのでわからない |
そんな方が、方向性を決めれるように選び方のポイントをまとめました。
✔この記事のテーマ
自社の用途に合った押出機の希望が明確になり、機械販売会社のいいなりにならいようになれる
選び方のポイントについて書く前に、弊社がこの記事をどういう立場で書いているのか簡単に申し上げると、
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再生ペレットのプロ
弊社はプラスチックリサイクルの再生ペレット材料の売買が本業です。製造したペレットはマーケットで販売が上手くいってこそ成功です。再生ペレットがしっかりマーケットで受け入れられることを踏まえて記事を書いています。
一般的に、再生原料の市場動向については浅い知識だけで、機械を販売しているケースがほとんどです。
自社工場で再生ペレットを製造経験あり
多くの機械販売会社は自社で再生ペレットを製造した経験がなく機械を販売しています。弊社は、自社で機械を導入して再生ペレットを製造していた経験(特に失敗体験)があり、プロセスを良く理解しています。再生ペレット加工の辛い部分も自社で経験しているので、「機械を買いさえすれば儲かります」とは申し上げません。経験を基に、これを読む皆さんが失敗を少しでも避けれるようにしたいと思います。スクラップ材料選定の超初期段階からの考え方を記していきます。
要は、機械販売サイドのみの立場で本記事を書いているのではないということをご理解いただければと思います。
そして、、、
どのようなスクラップ材料にも、機械にもメリットとデメリットがありますので、それも併せて示していきたいと思います。
この記事を読むことで、理解が一歩進み、メーカーの機械のパンフレットを見て、「ああ、この部分はこうして欲しいなあ」など自分の希望がイメージできるようになります。
そもそも、押出機とはどんな機械なの?
押出機をよくご存じの方はスクロールしてとばしてくださいね。
押出機とは、樹脂を可塑化(溶融)・混練してダイス(先端の金型)から一定の形状で押出し、それを冷却してカットし、樹脂原料を製造する機械製品です。
一般的には、以下のユニットの設計から成り立っています。
投入する:ホッパーなど
溶融する:スクリュー(混練)とシリンダー(バレルとも言う)
動力:モーター、ギア(減速機)
加熱する:加熱帯をヒーターで温度調節する
押し出す:ダイス
冷却する:水槽(ストランドの場合)
樹脂をカットする:ペレタイザー
樹脂のサイズを揃える:振動ふるい
ペレットを搬送・保管:ブロアとサイロタンク
今はまだ、細部についてわからなくても大丈夫です。これから一つづつご説明していきます。
では、早速見てみましょう。
選定の大雑把なポイントは以下です。
1.押出機 一軸スクリューか二軸スクリューか 2.押出機 樹脂(加工するスクラップ)の状態から選ぶ 3.押出機 生産量から選ぶ 4.押出機 省力化できる機械を選ぶ 5.押出機 小型機を探したい 6.押出機 とにかく安いのが欲しい 7.押出機 仕様の決め方(付帯装置含む) 8.押出機 最も汎用性が高い選び方 9.押出機 メーカーの選び方 |
押出機 一軸か二軸か
かなり大雑把な分け方をすると1軸と2軸に分かれます。一軸はスクリューが一本、二軸はスクリューが二本です。
スクリュー表面処理は耐摩耗の窒化処理やメッキ加工されます。
スクリューの回転速度は樹脂の溶融温度や状態によりインバータで回転速度を手動式で調整します。
スクリューがシリンダー内で回転することで、樹脂は溶融しながら混練されます。そしてスクリューの回転により溶融された樹脂は圧力でダイスから押し出されます。
製造するペレットの種類が素通し(スクラップからペレット加工するだけ)か、良く混錬する必要があるかで変わります。
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一軸押出機を選ぶ場合
スクラップをペレットに加工するだけ(1次加工)の場合は、一軸(スクリューが一本)を選ぶことが多いです。リサイクル工場の9割以上は一軸スクリューの押出機を選定します。
前提としては、スクラップの樹脂の種類が単一で混錬性をそれほど必要としない場合は、複雑な構造の二軸は不要です。
二軸押出機を選ぶ場合
添加剤や顔料を混ぜたペレットを製造するために、混錬を十分にしなくてはいけないときや、複数の樹脂を混ぜて原料を製造する場合は、スクリューが二本の二軸を選定する必要がある場合があります。
一般的に、スクリューは一本より二本(二軸)の方が、混錬は格段に良くなり、一軸よりも均質に分散します。
これは主にコンパウンドと呼ばれる二次加工の場合が多いです。複数のスクラップの配合や、添加剤、顔料などのノウハウも必要な上、納品時には物性測定データを添付することも要求されることが多く、初めて押出機を導入する方には荷が重いかもしれません。
なので、この場合は二軸のスクリュー(スクリューが二本)を使うことが多いです。異なる樹脂や添加剤、顔料を良く混錬させなければならいからです。
※一軸でも練りをよくする工夫はできますので、一軸で行っている工場もたくさんあります。
また、顔料を練り込む場合は、顔料をスクリューに供給する定量供給機を設置することが必要です。
参考:一軸と二軸の比較記事
押出機 樹脂の形状や状態から選ぶ
リサイクルにおけるスクラップ(樹脂)の状態は様々です。
加工を予定しているスクラップの形状や材質、特性、状態に最適化した設備を選ぶことが大事です。
例えば、硬質プラスチックの粉砕品を加工するのに適している押出機で、軟質フィルムのスクラップを加工しようとしても、生産が全くあがりません。
細かい条件を分類すると無限にあるので、簡単に分類します。
粉砕品の場合 成型品やフィルムのままの場合(未粉砕) 汚れている場合 異物がある場合 |
粉砕品の場合
スクラップの前処理で一番一般的な前処理は粉砕ですが、粉砕(前処理)が既に済んでいる場合についてです。
大きく分けて、硬質プラスチックと軟質プラスチック(フィルム系)に分けて考えます。この場合は、投入方法だけについて考えていきます。
硬質プラスチックの場合
ホッパー付きの一軸
粉砕がすでにされているので、ホッパーからの投入で十分です。
軟質プラスチックの場合
ホッパー付き一軸
粉砕がされている軟質フィルムについてフィルムをスクリューに供給する押し込み装置が必要
どんなタイプの軟質フィルム各種をペレット加工可能な設計
参考
成型品やフィルムのままの場合(未粉砕)
未粉砕の場合は、ホッパーでの投入ができません。したがって、前処理のために粉砕機を別途買う必要があります。
参考記事:粉砕の前処理不要な粉砕機内蔵型の押出機
前処理は硬質と軟質で分かれますので、押出機も2タイプになります。
軟質プラスチック(フィルム系)の場合
カッターコンパクター付き押出機
近年では、軟質系のフィルムの用途にはコンパクター付きペレット製造装置を選択することが主流になってきました。カッターコンパクターは、加工の最適条件が満たされた時には、大きな生産性向上の効果があります。
前処理されていないフィルムの場合はこのタイプが一番作業者も少なく、生産量も多くできるでしょう。
硬質プラスチック・不織布の場合
粉砕機一体型押出機
まだ日本ではそれほど普及していませんが、前処理なしで再生ペレット加工が可能です。
参考:粉砕機一体型押出機
スクラップが汚れている場合
汚れているスクラップは、前処理として洗浄する必要があります。洗浄後については、上記のスクラップの状態によって選定すればOKです。
洗浄後には、乾燥の必要もあることを忘れないようにしましょう。
異物がある場合
スクリーンフィルターという網で異物を除去する機能がついてます。しかし、異物(異樹脂、金属、木、ほこり、砂、紙、ほか)が多すぎると、フィルターを交換するサイクルが短くなり、作業効率が悪くなります。
異物の状況 | 適合 | |
スライドタイプ | 工業端材で異物が少ない場合で、人手による交換 | 〇 |
デュアルピストン | 工業端材で異物が少ない場合で、人手による交換 | 〇 |
バックフラッシュ | 異物の割合が1%程度まで、省力化可能 | 〇 |
レーザーフィルター | 異物の割合が3-5%程度まで、完全無人化可能 | 〇 |
特に、金属が混入すると機械内部、スクリューやシリンダーの内壁を傷つけてしまうので、大きな故障に繋がります。金属の混入の可能性がある場合は金属探知機を設置します。
高品質ペレタイズが可能に | ペレタイズの人件費コストゼロ | メンテナンスが気になる |
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押出機 生産量から選ぶ
生産量は、一軸でも二軸でも、スクリューの直径の太さで選ぶことになります。
生産量は、プロジェクトの収支に大きく関わってきます。
自社が集めることができるスクラップの数量や、製造したペレットの販売のしやすさなどによって、総合的に判断します。
以下に、一軸の直径と押出量の参考値を掲載しておきます。条件は、樹脂はLDPEで、汚れや水分などがない状態のスクラップを投入した場合の生産量です。
※後述しますが、スクラップに異物や水濡れがあると生産量は落ちます
スクリュー径と生産量
スクリュー直径(mm) |
65 |
85 |
100 |
120 |
150 |
165 |
180 |
生產量 |
80-120 Kg/hr |
100~180 kg/hr |
200~300 kg/hr |
300~450 kg/hr |
450~700 kg/hr |
700~900 kg/hr |
900~1100 kg/hr |
一般的なリサイクル事業者が選ぶのは、100mmまたは120mmで80%くらいではないでしょうか。
参考記事:押出機とスクリューについて
押出機 省力化できる機械を選ぶ
人手不足のなか、省力化、合理化できる設備を購入する事業者が増えています。
ニップローラー:フィルムのロールを自動で巻き取って供給します
スクリューコンベア:粉砕品の供給を自動制御するので、作業者を減らせます
粉砕機一体型押出機:粉砕の前工程を省略して、粉砕と押出を一機通貫で行います。
レーザーフィルター:異物を除去するフィルター交換作業を無人化できます
小型機を探したい
小型機は、スクリューの細いものを選ぶことになります。あるいは、構造のなかで、スペースをとるのは樹脂を冷却するためのユニットでもあるので、これを空冷にしたタイプも小型です。
小型機のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
どこにでも置きやすい 安い インフレメーカー向け |
生産量が少ない 事業採算性としては良くない
|
参考:小型押出機
押出機 価格がとにかく安いのが欲しい
これは、中国製または中古機を探してください。
メリット | デメリット | |
中国製 | 価格が安い |
イージーな故障がかなり多い メンテナンスが悪い |
中古機 |
価格が安い |
保証がない ラインで揃うとは限らない |
中国製は、安いです。弊社も自社工場を立ち上げたときには中国製を購入しました。
が、、、
本当に苦労しました。
突然の停止が相次ぎ、工場がまともに動きませんでした。(※メーカーにより差はあります)
スタートの資金がない方の気持ちは本当にわかります。その際は、販売会社が完璧なサポートをしてくれるか、自社で故障に対応できる体制を整えたうえで中国製を導入しましょう。
中古も、安いです。が、保証はありません。機械の目利きができるか、故障しても自社で対応できる体制が必要です。中古なので、押出機の全ユニットが揃ったラインでの出物でない場合は、ユニットをそれぞれかき集めて組み合わせなければラインができません。
中古押出機をリフレッシュした上で、保証を付けて、ラインで不足しているユニットがあるときは、これを補ってラインで供給している販売会社もあります。(弊社も手掛けています)
参考記事:中国製押出機に関する記事
押出機 仕様の決め方
これも細かく上げるとキリがないので、付帯装置の代表的なものに止めました。
詳しく知りたい方は、下のリンク部分をクリックすれば、詳しいページで解説を読むことができます。
参考記事:パーツやオプションの選び方に関する記事
メリット | デメリット | |
供給方法 手による供給 ホッパー |
設備が不要 設備が簡易 自動制御できる 自動制御できる フィルムロール省力化 |
危険 フィルムに弱い 散らかりやすい
ロールの付け替えは必要 |
スクリュー 一軸 二軸 |
構造がシンプル 練りが良い 練りが良くなり、処理能力(吐出)高い 樹脂の熱による劣化が少ない |
練りが弱い、生産量少 構造が複雑 樹脂の熱劣化が起こる可能性 練りがよくない |
ベント(脱気口) ノーベント |
シンプル 脱気ができる ベントから更に脱気できる |
脱気できない ベントアップなどの対応が必要 ベントアップ時対応が必要 |
スクリーンチェンジャー スライドタイプ バックフラッシュ |
素早く交換できる ストランドが切れない 少量の異物を効率的に除去 完全無人化、フィルター交換は週一回 |
人による交換作業が必要 人による交換作業が必要 価格が高く、ダンゴが多く発生 価格が高い |
ペレタイザー ストランド方式 アンダーウォーター |
信頼性が高い 省人化できる 低粘度の樹脂でもペレット化 |
人手がかかる 回転刃の調整が必要 価格 |
さて、かなり大雑把なくくりで説明してきました。皆様のお役にたてなら幸いです。
さらに詳しい説明が必要な場合は、弊社宛にお問い合わせください。
可能な限りお答えさせていただきます。
押出機 最も汎用性が高い選び方
中には、加工する樹脂が決まらず、押出機を決めかねている方もいるかもしれません。「でも、一台備えておきたい」という方には、どのような目的にも対応できる、最も標準的な押出機をお勧めします。
✔ ホッパー付き一軸押出機
これであれば、硬質でも軟質でも対応可能です。軟質フィルムでスクリューへの食い込みが悪いときは、ホッパーに押し込み装置を使います。
押出機 メーカーの選び方
押出機はシンプルな機械ですが、それだけに奥は深いです。初めて購入する場合は、特にアフターメンテナンスは重要です。品質の精度、アフターサービス、価格を含めてトータルで判断することになります。
参考記事:押出機 メーカーの選び方
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